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2025-09-12

【陸上】二度の輝きを放った桐生祥秀の「10秒01」 13日から始まる陸上世界選手権に名門・洛南高から4人が日本代表入り

2013年の織田記念、広島広域公園で桐生が樹立した10秒01の高校記録(写真/毛受亮介)

このほど日本代表選手80名が発表され、いよいよ9月13日から東京・国立競技場で「東京2025世界選手権」が開幕する。
男子100mの桐生祥秀(日本生命)のほか、男子3000mSCの三浦龍司(SUBARU)、男子400mHの井之上駿太(富士通)、そして男子20km競歩・35km競歩の丸尾知司(愛知製鋼)と4人の日本代表を輩出しているのが、京都の名門・洛南高だ。

“あの日”と同じバックスタンドで見届けた高校記録

今夏、広島で開催されたインターハイでは、桐生が12年前に樹立した男子100m高校記録を清水空跳(星稜高2年・石川)が更新した。衝撃の高校新記録10秒00(+1.7)は、同時に日本歴代5位タイ、U20世界歴代8位タイ(当時)、U18世界最高記録と歴史を塗り替える大記録だった。高校2年生の清水は、この世界選手権にもリレー日本代表として選出されている。

その清水の衝撃的な「10秒00」を、“あの日”と同じバックスタンドで見届けていたのが、洛南高で40年指導する柴田博之先生だった。

桐生が前高校記録(10秒01)を樹立した12年前の織田記念。その日も同じ、広島広域公園陸上競技場のバックスタンドで、柴田先生は見ていた。

「あの日を思い出しましたね。隣のレーンに飯塚君(翔太、ミズノ、当時・中大)がいて、あれから12年経ったのかと。金輪際抜かれることはないと言われていた10秒01という記録。それが、あの日と同じ場所で抜かれた。当時の光景がフラッシュバックしたとき、あの記録が再び輝きを放ったような気がしました。清水君には素晴らしいレースを見せてもらいました。と同時に、桐生君の記録がどれだけ衝撃的なものだったか。記録っていうのは、二度輝きを放つんだと、感慨深かったですね」

桐生は今年7月の日本選手権で5年ぶりに優勝し、翌月には8年ぶりの9秒台となる9秒99(+1.5)をマークして代表入りした。男子100mの日本記録は、2021年に山縣亮太(セイコー)がマークした「9秒95」。
明日の世界選手権男子100m予選には桐生、サニブラウン・アブデルハキーム(東レ)、そして日本選手権7位の守祐陽(大東文化大4年)と3人が登場する。

34年ぶりに東京で開催される世界選手権では、国内外の選手が、自身の目指す記録に挑む。新記録が誕生したとき、その史上最高の記録とともに、二度目の輝きを放つ記録にも思いを馳せたい。

2025年の広島インターハイ。再び広島広域公園で高校記録10秒00が樹立された(写真/黒崎雅久)
2025年の広島インターハイ。再び広島広域公園陸上競技場で高校記録10秒00が樹立された(写真/黒崎雅久)

文/新甫條利子 写真/毛受亮介、黒崎雅久

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