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2025-09-20

歴代“BBMスー女”座談会 『大相撲カード』の魅力を語り尽くす!【後編】

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東西の横綱が揃い大相撲が盛り上がる中、『大相撲カード』の人気も高まっています。『BBM2025年大相撲カード 和-NAGOMI-』は和装をメインにした華やかな雰囲気で、サブセット「Smile!」や新企画「My Favorite」といった、普段はなかなか見ることのできない力士の素顔に迫った企画も大好評でした。今後さらに大相撲ファンに楽しんでいただけるカードを作るために、歴代の制作スタッフである“BBMスー女”たちが集結! 当時の制作秘話や、印象に残っているカードについてなど、大いに語らいました。合わせて、思い出の大相撲カードを開封するお宝(!?)映像もお届けします。
前編はこちら



【参加者】
M:入社1年目にトレーディングカードの制作部署に配属され、同年、大相撲カード担当に。2005、2006年の2商品を制作した。

T
:トレーディングカードの制作部署に約7年間在籍。大相撲カードは2009年~2011年の3商品を手掛けた。

K
(司会):月刊『相撲』に約13年間在籍。当時から大相撲カードには校正などで携わっており、現在も大相撲を中心にフリー編集者として活動している。

Y
:2022年夏からトレーディングカード制作に携わり、23年大相撲カード第2弾「」から担当に。BBMカードのYouTubeチャンネルでは開封動画も任されている。



【トークテーマ②】
担当以外で印象的だった、あのカード


K ここからは、担当した以外で印象に残っているカードを教えてください。まずはMさん、いかがですか?


M これはもう、なんと言っても、ビン付け油の香りがするカードですね。

TY 同感です!

M 両国国技館に入るとフワッと感じる甘い香りがカードから香るなんて、衝撃的でしたよね。

T お相撲さんの髷を結う時に使うビン付け油って、独特な香りですよね。

Y 私も最初にこのカードを知った時は驚きました。今でもカードショップMINTの店長さんが「あれはすごいカードだった」と言ってくださっているんです。調べたところ、封入されたのは『’98西(下半期版)・大相撲カード』。その「インサートカード/鬢付けの香りカード」は日本初の香り付きカードだったそうです。

一同 日本初!

Y なんと、今日はそのカードを資料室から探して持ってまいりました。

一同 おぉー!

ビン付け油カード
インサートカード/鬢付けの香りカード

Y ぜひ、嗅いでみてください。カードの左下、土俵の中をこすると、香りがするそうです。開封後で長年、バインダーに収めていたものですが、いかがですか…?

M わぁ、香りがします! ちゃんと残っているのですね。私、一度でいいから生きている間に嗅ぎたいと思っていたので嬉しい(笑)。香りって、実物を手に取らないとわからないものだから。

T 貴重ですよね。これは後世に語り継がれるべきカードだと思います。

Y アイディアはもちろんですが、印刷の技術が素晴らしい。当時の担当者いわく、ビン付け油をそのまま使うと匂いが強すぎて他のカードに匂いが移る可能性があったため、エキスだけを抽出するなどして実現させたそうです。

T そんな優れた技術が使われていたのですね。

Y カードのデザインもこだわっていますよね。こする部分が土俵の形になっていたり、裏面の写真は6種すべて別々の力士の写真ですが、1枚目から順に並べると、大銀杏が結い上がるまでの写真となっているんです。裏には手順まで書かれていて、作り込まれていますよね。当時制作していた編集スタッフが完成した見本カードを新横綱の若乃花関に見せて感想を賜ったところ、「自分ら、毎日この匂いを嗅いでいるので」とけんもほろろに言われてしまったらしいですが(笑)。

K それは少しさみしいですね(笑)。Yさんは、この他に印象に残っているカードはありますか?

Y 今回の座談会を実施するにあたっていろいろ調べたところ、大相撲カードには“日本初”のカードが他にもあるんです。まず、大相撲カードの初代である、97年の商品に封入された和紙を使ったインサートカード。それに、99年上半期版のレーザーカット・カード。どちらも実物を持ってきました!

M おぉ。どちらの紙も相撲に合っていますね。


BBM1997大相撲カード/和紙のインサートカード 曙


インサートカード/レーザーカット・カード 若乃花

K レーザーカット…これは、紙をレーザーで切り抜いているということでしょうか。

Y デザインされた波模様を、レーザーで切り抜いているそうです。カードの性質上、現在のような表面のコーティング加工がされておらず破れやすいのが難点とのことですが、デザインも相まって素敵ですよね。

K 相撲ファンに喜ばれそう。

Y そうですよね。今、また和紙を使ったカードを作りたいなと密かに思っているんです。いろいろチャレンジできた時代のカードを知ると、すごく刺激になります。

K たしか、大相撲カードが誕生した1997年には、1989年九州場所から8年に渡って続いた満員御礼が666日で途切れたんですよね。若貴ブームも落ち着いてきた頃で…。

Y 大相撲カードは時代的には逆風の中で誕生したのですね。それでも、いろいろな日本初にチャレンジしていたのは、担当者の情熱を感じます。当時のリストを見ると、かなりマニアックなものもたくさんありますが(笑)、だからこそ、相撲ファンに喜んでいただけたのでしょうね。

K たしかにマニアックな企画カードがたくさんありますね。(『’98西』のバインダーを見ながら)本場所のポスターをカードにしていたのですか。これはすごい。


BBM’98西・大相撲カード/大相撲本場所ポスターコレクション

M 時代を感じられていいですね。そういえば、メモラビリアカードもありましたよね? 私が担当する少し前に…。

Y 「浴衣カード」ですね!

M それです! 浴衣の断片を挟み込んでいたような。

Y 2001年の商品では横綱・貴乃花関、2002年の商品では大関の栃東関、千代大海関のものがありました。ちなみに貴乃花関の浴衣カードは500枚作ったそうです。

M けっこうたくさんあったのですね。

T やっぱりお相撲さんは体が大きい分、浴衣も大きくなりますから、1着から作れる枚数も多いですよね。


BBM2001大相撲カード/浴衣カード 貴乃花

Y 当時は野球やサッカーに負けないインパクトのあるインサートカードを作ろうと、担当者が意気込んでいたようです。まさに、インパクト大ですよね。あと、インパクトで言えば、『‘99大相撲カード下半期版』にあったサブセットの「力士会運動会カード」が私的にはたまらないです。力士たちが仮装した写真がカードになっていて…。

M セーラームーンに、幼稚園児? これは衝撃的!(笑)

K たしかに当時、そういうイベントがありましたね。ユニークな仮装行列をやっていたんですよ。


力士会運動会カード

Y いい時代だなぁ~。カードって、こうして形になって残るからいいですよね。あと、同じ商品の中に「粋・着物姿」というカードがあるのですが、裏面に、やくみつるさんのイラストが入っているんです。これがとっても素敵で。

K それぞれの似顔絵ですね。やくさんは今も『相撲』で連載をしてくださっていますが、似顔絵は、力士が関取になった時点で描いてもらっていたので、それを使ったのではないかと思います。

Y 表面に使って、イラストカードにしたいくらいのクオリティです。当時、今のようにSNSがあったらどんな反応だったんだろう。

T 注目されたでしょうね。

M 今はSNSもあるから、カードを広く知ってもらえる機会もありますし、反応がわかるのも嬉しいですよね。コスト面など様々な難しさはあると思いますが、ぜひ、今後もいろいろなチャレンジを続けて楽しいカードを作っていってほしいです。

T 私も”歴代BBMスー女”として、とても楽しみにしています。

Y ありがとうございます! これからもT記者やKさん、Kカメラマン、編集部の皆さんの力をお借りしながら、カードファン、相撲ファンの皆さんに喜んでいただけるカードを作れるように頑張ってまいります!

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