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2025-09-20

【相撲編集部が選ぶ秋場所7日目の一番】注目の「低空対決」は後輩の安青錦に軍配。若隆景は大関取りへ厳しい3敗目

若隆景は安青錦に圧力負けして押し出され3敗目。今場所後の大関取りへは後半戦の大爆発が必要になり、厳しい状況になってきた

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安青錦(押し出し)若隆景

勝者は、後輩のほうだった。

対戦成績1対1のあとを受けた、今場所の若隆景-安青錦の対決。若隆景が大関への流れをつくれるかも絡み、注目の一番となったが、先場所に続き、圧力勝ちしたのは若い安青錦だった。

低い体勢での強さが武器の二人の「低空対決」。となれば当然、どちらがより相手に下から力をかけて起こせるか、が焦点だ。

立ち合いは低い当たり合い。最初に安青錦が繰り出した左の突きはさほど効果を表さなかったが、そのあと、左からおっつけていったのが効いた。これがガシッとハマって若隆景は後退。左に回って前廻しを探りにいったが、これで胸の前が空いたところで、安青錦はすかさず突きに手を替え、若隆景の上体を起こすことに成功した。起こせてしまえばあとは勢い。そのまま押し出して安青錦が白星を挙げた。

「(おっつけは)特に狙っていったわけじゃない。胸を合わせないように。胸を合わせたら相手のほうが技術があるので」と安青錦。目標としてきた先輩に正面から圧力勝ちし、これで対戦成績も勝ち越しとしたのは、今後へ向けても大きな自信になることだろう。今場所はまだ豊昇龍との対戦を残しているだけに、後半戦も楽しみだ。
 
一方、取組後に首をひねる羽目になったのは若隆景。「切り替えてまたあした。自分の相撲に集中して、下からの攻めを出していきたい」と、いつもの敗戦後と同様のコメントだったが、これで4勝3敗となり、星勘定の上では、今場所後の大関昇進は、結構厳しいことになってきた。
 
二ケタの10勝を目標として考えた場合でも、残り8日間には6勝2敗が要求されることになるが、それは具体的にイメージすればこういうことだ。若隆景は横綱・大関戦3番をすべて残しているので、少なくとも今場所好調な両横綱を含むこの3番のうち1つは食ったうえで、自分より下位の力士には5人に対して一番も落とさず全勝しなければならない。
 
そう考えると、かなり厳しい状況ではあるが、もちろんそれは裏を返せば、「横綱・大関にいくつも勝って、後半一気に強さをアピールするチャンスが残っている」という見方もできるので、定評のある後半戦の強さを何とか発揮して、この後も大関取りなるかの興味をつないでいってほしいところだ。
 
優勝争いのほうは、豊昇龍が平戸海に攻め込まれながらも右からの掬い投げで逆転し、全勝をキープ。きのうまで8人いた1敗勢は、横綱大の里は豪ノ山のぶちかましをはね返して豪快に押し倒して勝ったが、大関琴櫻が終始守勢に回って王鵬に押し出されるなど、4人が黒星を喫して、大の里、隆の勝、宇良、正代の4人となった。
 
1敗の平幕3人は、いずれも役力士対戦圏外の番付なので、まずは上位との対戦が組まれる後半戦まで食いついていけるか、ということになるが、やはりだんだんと、展開は両横綱によるマッチレースに向かいつつあるといえる。

文=藤本泰祐

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