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2025-09-21

【相撲編集部が選ぶ秋場所8日目の一番】居反り許さず。正代が宇良との1敗対決に勝って、早くも勝ち越しリーチ

正代は、脇の下に潜られそうになりながらも、押しつぶすような上手投げで宇良を破り、1敗対決に勝利。あすは5年ぶりの9日目勝ち越しに挑戦だ

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正代(上手投げ)宇良

もしあした勝てば、”大関になる前以来“の快進撃だ。
 
元大関の正代が元気だ。この日は1敗同士の宇良との対戦だったが、左脇に頭を突っ込まれる形になりながらも、宇良得意の居反りを仕掛けることは許さず、右から押しつぶすような上手投げで退けた。これで6日目の藤ノ川、7日目の翠富士に続いて、潜らせるとうるさい相手に危なげなく3連勝、7勝1敗と早くも勝ち越しに王手を掛けての折り返しとした。
 
もしあす勝って、9日目で勝ち越しを決めることになれば、5年前の優勝した場所(9月場所)よりさらに前の、令和2年7月場所以来となる(ちなみにその場所は最終的に11勝4敗)。それは何と、正代が大関に上がるよりさらに前の話だ。

「(相手が居反りの体勢になり)前に出ていたら、危なかったような気がします。無理に前に出ることなく、さばいたのが、きょうに関してはよかった」と正代。このあたりの冷静さは、さすがにベテランだ。
 
序盤戦は先に攻められて逆転しての白星も多かったが、星勘定の良さでだんだんノッてもきたのか、5日目以降はほとんど危なげなしの内容になってきた。
 
今場所の正代は、何といっても立ち合いガツっと右差し狙いで当たれているのがいい。この日の立ち合いについては、「立ち合いから入られたんで、立ち合い鋭い感覚はない」ということだったが、序盤戦には、自らも「土俵際に行くまでのところでしっかりやれているので、そのあと体を入れ替えたりできるのかな」と自ら分析していた。今場所はこの立ち合いの当たりが、そのあとの余裕を持った動きにつながっているように見える。
 
この日は、全勝の豊昇龍と1敗の大の里の両横綱が揺るがず白星を伸ばし、1敗勢では正代のほかに隆の勝が勝利。正代に敗れた宇良が後退し、全勝の豊昇龍を、1差で大の里、隆の勝、正代が追うという形になった。
 
2日目だったか、好スタートを切ったことについて聞かれ、「これからですね。いつ崩れるか分からないんで。崩れたら修正できるようにしないと……。それじゃあ、崩れる前提ですけど」と笑っていた正代だが、いやいや、この調子なら、しばらく崩れる心配はしなくていいかも。
 
優勝争いについては、「全然意識してない。初優勝のときは、コロナ中であまりワイワイされず、優勝旗を持って帰っただけ。今思えば、撮影ぐらいはしたかった」と、まだまだ意識するところではなさそうだが、このまま両横綱に食いついていければ面白い存在。このところ上位から遠ざかってはいるが、そこは元大関。一番近いところで上位にいた今年の1月場所では、豊昇龍や琴櫻にも勝っており、後半上位に当てられることになっても食っていける可能性はないわけではないはず。ぜひこの後も、前回撮り逃した記念写真を目指して、奮闘を続けてほしいものだ。

文=藤本泰祐

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