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2025-10-14

【陸上】国スポ・少年女子A100mで東京学館新潟高の秋澤理沙が優勝 つらいときもそばで励ましてくれた父へ「優勝」をプレゼント

今夏のインターハイはケガで出場を断念した秋澤。9月のU20日本選手権200mに続いて全国タイトルを獲得した(写真/黒崎雅久)

10月3日から7日までの5日間、滋賀県の平和堂HATOスタジアムで行われた国民スポーツ大会(国スポ)。1週間前のU20日本選手権女子200mを、高校歴代10位の23秒72で制した秋澤理沙(新潟・東京学館新潟高3年)が、好調を維持して少年女子A100mに挑んだ。

ケガでインターハイを断念した悔しさ晴らす

2日目の予選を11秒87(+0.5)、準決勝を11秒74(+1.5)と、順調に組1着で通過。翌日に行われた決勝では、「タイムは気にせず、勝ちにこだわって」(秋澤)、スタートラインに立った。5レーンの秋澤は好スタートを切ると、中盤から山崎心愛(北海道・旭川志峯高3年)、前田さくら(鳥取・鳥取敬愛高3年)を振り切って優勝。フィニッシュ後は笑みを浮かべながらも、感極まった表情でスタンドからの祝福の声に応えた。
「前半から行って、中盤以降も快調に走れました。相手を気にすると硬くなってしまうのですが、今日は自分の走りに集中できたと思います」
高校歴代10位タイの11秒56(+0.8)と、タイムもついてきた。

2年時には福岡インターハイの200mを制し、今夏の広島で連覇を目指したが、5月上旬に左ハムストリングスを痛めてしまった。幸いにして軽度だったため、約3週間後の新潟県大会は100mを棄権し、200mに絞って出場。6位以内に入れば北信越大会に進出できることから、東京学館新潟高の顧問で、秋澤の父でもある田村和宏先生は「6番でもいいよ」と伝えたという。それでも、いざレースになれば負けたくない。秋澤は県大会通過を第一に考えながらも、「勝ちたい気持ちがあった」と1位を取った。レース後、田村先生と顔を合わせた秋澤は、「お父さんと目が合った瞬間にホッとして、泣いちゃいました」と涙が止まらなかった。

ただ、徐々に調子を上げていこうとした矢先、再びケガが悪化。北信越大会を棄権し、インターハイ路線を断念した。1カ月後の広島インターハイには、チームが4×100mRで勝ち上がっていた。ケガが回復していたこともあり、秋澤自身はメンバーとして走るつもりでいたが、田村先生は無理をさせなかった。そんな田村先生の決断を、秋澤は悔しさをこらえ、「今後のために必要な判断だと思って」、受け入れたという。

そして、夏合宿で自信を取り戻して臨んだ秋のU20日本選手権、滋賀国スポで2週連続の全国タイトル獲得を果たした。国スポでは100mの後、成年少年男女混合4×400mRに新潟県のアンカーとして出場。東京学館新潟高の同期生であり、U20日本選手権の男子200mを制した佐藤克樹とバトンをつなぎ、高校ラストシーズンの幕を閉じた。

3年間を振り返り、「悔しい思いをたくさんしてきましたが、支えてくれた人たちのおかげで、ここまで来ることができました。特に、顧問である父の存在が大きかった。つらいときもそばで励ましてくれたので、優勝をプレゼントできて良かったです」と涙ぐんだ秋澤。来季からは大学という新たなステージで、再び日本一を目指す。

文/石井安里 写真/黒崎雅久

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