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2025-11-24

【アメフト】早稲田がランで東北大を圧倒 RB安藤慶太郎が3TD獲得し立命館との準決勝へ

3TD 116ydの走りで大会MVPを獲得した安藤慶太郎=撮影:北川直樹

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全日本大学選手権の準々決勝AOBA BOWLは、早稲田大学ビッグベアーズが31-7で東北大学ホーネッツを下した。早稲田は準決勝で立命館大学と対戦する。試合は、早稲田のツインランナーRB安藤慶太郎(4年=早大学院)とRB長内一航(3年=早稲田実業)が中心となって展開した。この2人は合計で232ydを獲得し、早稲田の総獲得距離(339yd)の大部分を稼ぎ出した。一方で、早稲田はパス攻撃が振るわず苦しみながらも、計4つのターンオーバーを奪ったディフェンスの修正力が勝利を決定づけた。【北川直樹】

早稲田大学 ○31-7● 東北大学(ユアテックスタジアム仙台)
早稲田がランオフェンスで突き放す

序盤戦の均衡を破ったのは早稲田。1Q残り8分08秒、RB長内が中央右サイドを突くランプレーから先制のTDランを決め、7-0とリードを奪った。

東北大もランで応酬する。1Q残り3分49秒、RB植村祐斗(4年=土浦第一)がTDランで同点に追いつき、譲らない。

早稲田はQB船橋怜(4年=早大学院)のパスを東北大DB伊藤諒太(3年=東農大一)にインターセプトされるが、東北大のショートしたパントから攻撃権を敵陣で獲得。最初のプレーでRB安藤にボールを託し、TDを奪って1Q残り1分52秒にリードを奪い返した。

2Qに入ると早稲田のラン攻撃が支配した。RB安藤が走り、残り6分42秒に2本目となるTDを奪い、21-7に。

東北大はオフェンスでファンブルが発生し、早稲田が敵陣20ydでリカバー。この好機もRB安藤が中央を抜けてTDを決め、残り4分23秒に28-7とした。安藤は前半だけで3TDという驚異的な活躍を見せ、早稲田は28-7で前半を折り返した。

後半はディフェンスでも圧倒

後半、早稲田ディフェンスの勢いは衰えず、3Q開始直後に東北大のパスをDB小笠原崇文(4年=筑波大附属)がインターセプトするなど、ターンオーバーで主導権を握り続けた。

早稲田はQBを木庭修克(2年=都立三田)に交代し、RB田中大晴(4年=川越東)らを起用しながら着実にランでゲインを重ねる。4Q残り7分11秒にK出口弥生(1年=本郷)のFG成功で31-7とするダメ押しで加点した。

この試合、早稲田はパス成功率が低く、QB船橋は苦戦を強いられたものの、東北大もQB坂西亜玲(3年=都立国分寺)、水野壯哉(3年=東京学芸大学附属)合わせて3INTを喫し、得点に繋げられなかった。早稲田はランと守備の力で勝利を手繰り寄せ、準決勝で昨年の王者・立命館大学との対戦を決めた。

早稲田は昨年の全日本トーナメント準決勝で立命館に52-27で敗れた。また、今春の交流戦では49-0で完封負けを喫している。今季からヘッドコーチに就任した荒木延祥さんの元で関東大学リーグTOP8を全勝で勝ち上がり、自信をつけてきた早稲田守備が立命館の強力ラン攻撃にどう立ち向かうか。OLユニットがエース安藤、長内らを如何に走らせられるかが争点となる。

東北大RB植村は奮闘したが、早稲田守備に厳しくマークされた=撮影:北川直樹
東北大RB植村は奮闘したが、早稲田守備に厳しくマークされた=撮影:北川直樹

荒木延祥ヘッドコーチの話


今日は難しい試合でした。これまで出場機会を得られなかった4年生をフィールドに立たせたいという思いがありました。次の立命館戦では競った展開も想定されるため、その前に経験を積ませたいという意図もありました。学生スポーツである以上、できるだけ多くの選手にプレーさせてあげたい思いがある一方で、流れをどうするか、どのタイミングで選手を入れ替えるかは簡単ではありません。

次の立命館大学戦については、春のスコア(0-49)をそのまま比較材料にする必要はないと思っています。あの試合は後半から相手が多くの2軍選手を起用しており、状況が大きく異なっています。秋の立命館は完成度が高く、どのポジションもレベルが高い。特にランを止められなければフットボールでは勝てないので、どのように強力なランに対応するかが大きなポイントになります。自分たちのフットボールをしっかり準備して、思い切ってぶつかりたいと思います。

荒木HCはレギュラーではない選手を多く起用した背景を話した=撮影:北川直樹
荒木HCはレギュラーではない選手を多く起用した背景を話した=撮影:北川直樹

主将LB功能誠也の話

今シーズンは、毎試合しんどい試合を積み重ねてきた印象です。勝ちながらもできていないことが明確に見える試合ばかりでした。キャプテンとして大事にしてきたのは"全員で成長すること"です。僕たちは突出したタレントがそろったチームではなく、強いと言い切れるチームでもありません。その中で、一人ひとりが自分に与えられたワンプレーに本気で取り組み、良い・悪いを反省して次につなげることを、ずっと全員に伝えてきました。

立命館については、去年も今年の春も圧倒的なフィジカルとファンダメンタル、スピードを持ったチームだと感じました。春は49-0で完封されましたが、そこで"これが日本一との本当の差なんだ"と痛感しました。今年のチームは『49-0から始まった1年』です。あの差を埋めるためにやってきたので、再び戦える機会が来たことに感謝しています。自分たちが積み上げてきたフィジカルとファンダメンタルが立命館に通用するか、当日までやり切って全部ぶつけたいと思っています。

QB船橋怜の話

最初のシリーズからドライブが続かず、自分たち本来のプレーができていませんでした。東北大のディフェンスフロントはプレッシャーが強く、ランへの集まりも早かったです。得点できるようになったのは、1対1で勝てるようになったからだと思います。

去年の立命戦はベンチから見ていて、勝てるイメージが全く持てませんでした。今年の春も最初のインターセプトやランが全く出ない展開で、修正しないまま終わってしまいました。今シーズン関東で戦ってきたことで、"プレッシャー下でも思ったところに投げ切れる"という成長を実感できています。来週の立命戦は、春に取れなかった相手に対して自分たちのオフェンスがどこまで通用するのか、純粋に楽しみです。最初のシリーズから勝負できるオフェンスをつくり、勝ち切りたいです。

 今年大きな成長を果たした船橋はリベンジに燃えている
今年大きな成長を果たした船橋はリベンジに燃えている

RB安藤慶太郎の話

チームとして振り返ると、反省点の多い試合でした。誰が出ても1対1を勝ち切るのが理想の姿ですが、今日はオフェンス・ディフェンス・キッキングすべてで自滅につながるミスやファンダメンタルエラーが出てしまいました。個人としては、タッチダウンまで持っていけたと思う場面を決めきれなかった悔しさがあります。一方で、3本のタッチダウンを決められたことやMVPをいただけたことは素直に嬉しいですし、良いブロックをしてくれた仲間に感謝しています。

今年のチームは春の立命館戦で0–49と大敗したところから始まったという意識を持ち続けてきました。あの屈辱を忘れず、ただ立命館を倒すことだけを考えて1年間やってきました。もう一度戦えるチャンスを得られたので、すべてをぶつけて勝ちたいと思います。

安藤は巧みなコース取り、走りで独走した=撮影:北川直樹
安藤は巧みなコース取り、走りで独走した=撮影:北川直樹

 
6回53ydを獲得して奮闘した東北大WR甲斐聖人(3年=愛知県立横須賀)=撮影:北川直樹

早稲田RB長内に強烈なタックルを浴びせた東北大主将DL吉川大輝(4年=県立浦和)=撮影:北川直樹
終盤に登場して力強い走りを見せたRB田中=撮影:北川直樹

 終盤に登場し攻撃を率いたQB野田知樹(4年=早稲田実業)=撮影:北川直樹
終盤に登場し攻撃を率いたQB野田知樹(4年=早稲田実業)=撮影:北川直樹

北川直樹

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