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2026-01-30

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第35回「景気のいい話」その1

平成29年初場所2日目、日馬富士を破って初金星を挙げた御嶽海は、懸賞32本を獲得

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新しい年がやってきました。
身も心もリフレッシュして再スタート、といきたいところで、景気のいい話はありませんか。
大相撲界で景気のいい話、と言えば、やっぱり懸賞でしょうか。
令和2年初場所から「ポケットモンスター」とのコラボによる懸賞も倍増し、力士たちは分厚くなった懸賞の束を手にほくほく顔でした。
1本につき7万円(懸賞袋の中は3万円、現在は1万円)。
こんな心、いやフトコロの温まる話はありません。
そんな懸賞の、さらに景気のいい話を集めました。

歓喜の初金星

懸賞は、いつもらってもうれしいもののようだ。とりわけ、横綱に勝って金星を挙げたときの喜びはひとしおだ。
 
平成29(2017)年初場所2日目、万年大関候補、と嫌味さえ言われた実力者の御嶽海は、横綱日馬富士を右四つから攻め込み、なんとか回り込もうとするところ、右ヒザをうまく使って寄り切り、初金星を挙げた。初土俵から12場所目の初金星で、これは千代大龍と並んで史上8位のスピード獲得だった。
 
御嶽海が飛び上がって喜んだのは言うまでもない。飛ぶような足取りで花道を引き揚げてくると、

「めちゃめちゃうれしい。テレビでは見たことがあるけど、あそこ(土俵の上)で座布団が飛ぶのを見たのは初めて。めっちゃ、うれしかった」
 
とはじけた。
 
手にした懸賞は自己最多の32本。手取りは96万円だ。新年早々、心が沸き立つ臨時収入だ。取り囲んだ報道陣に使い道を聞かれると、御嶽海は茶目っ気たっぷりに、

「記者さん一人ひとりに1本ずつ、あげたいところですけどね」
 
と気を持たせ、ぜひお願いします、と報道陣が前のめりになったところで、

「ま、それは止めといて。ちょっと親にあげようかな」
 
と笑い転げた。こんな心臓に悪い冗談は、ぜひ止めてほしい。ずっこけるじゃないですか。
 
まあ、それはともかく、この場所の御嶽海の笑いはこれだけでは収まらなかった。この2日後には鶴竜(現音羽山親方)を押し出して2個目の金星を挙げるなど、11勝を挙げて翌場所の三役昇進を確実にした上、初の技能賞まで獲得したのだ。
 
まさに初場所早々、上々の滑り出しで、この年の御嶽海は6場所すべてに勝ち越し、翌年の初優勝につなげた。

月刊『相撲』令和4年2月号掲載

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