close

2026-03-12

【相撲編集部が選ぶ春場所5日目の一番】強い、うまい! 髙安5連勝。いよいよ今場所こそ悲願達成の大チャンス⁉

これまでのカチ上げからの突きでなく、左差しから一気の寄りに戦法を変えて義ノ富士を退け、5連勝の髙安。今度こそ悲願の優勝の大チャンス⁉

全ての画像を見る
髙安(寄り切り)義ノ富士

「荒れる春」の中、初日からきれいに白星を並べて、きょうが5つ目だ。
 
この日は、差し身のいい義ノ富士を相手に、立ち合いでしっかり圧力をかけて左を差し勝ち、一気に攻め切り。義ノ富士に「差し負けました」と嘆かせた。

「流れがよかった。理想の相撲が取れてよかったです」と会心の相撲を振り返ったのは、関脇の髙安だ。
 
過去、義ノ富士との対戦は3連勝だったが、今までの3番はカチ上げからの突きで攻め切る内容が多かったので、今場所は、結果が出ている中で戦法を変えて成功した形。今場所の髙安はカチ上げよりも左差し狙いで当たる形に、より手応えを得ているのかもしれない。
 
髙安は、立ち合いからのパワーと圧力が魅力的だが、状況に応じて繰り出す細かい技のうまさも光る力士だ。今場所の5連勝の内容を見ても、この日のように理想的な相撲ばかりではないが、その中でも展開に応じて、相手の得意技を封じるうまさと、力強さを見せて勝ってきている。
 
初日の美ノ海戦は相手に二本入られ、一番苦しい展開になったが、一枚廻しの右上手を頼りに、無理に動かず。のびた廻しをつかみながら、握りこぶしで相手の上体を押して圧力を掛け、その反動を使って上手出し投げで仕留めた。
 
2日目はうるさい藤ノ川を、左を深く差してつかまえ、正面から逃がさず、最後は掬い投げ。
 
3日目、左四つ得意の若元春に敢えて左差し狙いにいったのには驚いたが、圧力勝ちしてじりじり攻め込んだ後、冷静に突きに切り替えて相手の土俵際の逆転技を封じ、最後は突き落とし。
 
4日目は琴櫻に差し負けて右四つになるも、左上手を引きつけて、相手が差し手から起こしてくるのを許さず、先に動いて出し投げで崩して寄り切り。
 
どうだろう。ここまで、思いどおりに取れればもちろん強し、予想外の戦法を取って強し、そして相手の流れになりかけても冷静に対処してやはり強し、と、なかなか味わい深い白星が並んでいる。
 
ちょうど一年前のこの大阪で、優勝決定戦で大の里に敗れたのをはじめ、過去、優勝まであとわずかに迫って逃した数の多さは、ここで書き出せばスペースがなくなってしまうほどで、ファンの「一度優勝が見たい力士」のナンバーワンである髙安。場所の展開からしても、ここまでの調子からしても、今場所は空前絶後の大チャンスということはいえるだろう。
 
もちろん元大関でもあるので、ここまで書いてきたように相撲の強さとうまさは折り紙つきだ。それだけに、この人の場合はまず体のコンディショニングが大事になってくるだろう。その辺は、「(序盤戦は)全体的によかった。力が相手に伝わっている。(ここからも)しっかりいい状態をキープしていきたい。毎日体は変化するので、臨機応変に体のケア、トレーニングをして、連日過ごしています」と、本人も十分意識している。
 
コンディショニングがうまく運べば、これまで立ちはだかってきた場所終盤のプレッシャーをはねのける力が生まれることにもつながるはず。積み重ねた経験を生かして、このあともどこまでも好調をキープしていけるか。
 
できるだけ静かに見守ってあげたい……、というファンも多いとは思うが、今度こそ、力強くプレッシャーをはね返す姿を見せてもらいたい、というのも、またファンの願いだろう。

文=藤本泰祐

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事