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2026-03-18

【相撲編集部が選ぶ春場所11日目の一番】1敗対決は霧島が豪ノ山の攻めをしのぎ、単独トップ。あす豊昇龍との大一番へ

霧島は土俵際、俵の上の左足一本で残して豪ノ山を突き落とし。豪ノ山は手をつきながら霧島の足に視線を投げるがわずかに及ばす

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霧島(突き落とし)豪ノ山

さすが、今場所の単独トップに立つ男を決める一番だ。時間は短かったが、攻めるほうもよく攻め、守るほうもよくしのぎ、紙一重の攻防だった。
 
最後はやはり地力のある霧島が俵の上、左足一本で残して勝利。幕内ただ一人の1敗として残った。
 
過去、この対戦のカギは、霧島の立ち合いにあった。霧島は張っていったり、差しにいったりと圧力の強くない立ち合いをしたときには、概して結果はよくなく、とりあえず一度ガツッと当たれたときにはいい結果を得ていた。
 
今場所の霧島は、きのうのこのコラムでも書いたとおり「当たれる霧島」。「(立ち合いは)当たろうと思った。いつも合わせづらいので、しっかり先に手をつこうと」と、右はカチ上げるように、左は下から、頭も低くしてしっかりと当たっていった。ただそれでも立ち合いはやはりここの一撃にかける豪ノ山の威力が勝った。霧島は左からイナしてかわすが、豪ノ山が追撃、本人は「分からなかった」とのことだが、霧島は一瞬左足が滑って流れ、バランスを崩した。ここが勝負、と出る豪ノ山。右のノド輪をグイッと伸ばしたが、腕を伸ばして一気に出たため、「左はハズに入っていたが、右が(脇が)空いて浮いてしまった」(豪ノ山)。まだ腰が崩されるまでにはなっていなかった霧島は、俵を伝って左に回り、突き落とした。

「当たっているから、(立ち合いのあとの)そういう動きができた」と霧島。これでついに、単独トップに立った。
 
この日は豊昇龍は髙安を退け、琴勝峰は大関安青錦に勝って2敗をキープ、1敗の霧島を、豊昇龍、琴勝峰、豪ノ山の3人が2敗で追う形となった。
 
そして、霧島が「あした誰ですか?」と報道陣に逆質問したその相手は何と豊昇龍になった。番付順なら13日目の対戦となるのが普通だが、ここは豊昇龍に平幕から誰を当てるべきかを遅くまで見極めたいという審判部の判断かもしれない。12日目に、本割では今場所のメーンイベントとなる対決が組まれることになった。
 
霧島はここで勝てば、あとは大関戦を残すとはいえ、むしろ琴勝峰戦に負けさえしなければ、というような状況になるので、かなり優勝に近づくことになる。そしてもし優勝となれば、一気に今場所後の大関復帰という話も出てくるだろう。直近では三役がまだ2場所目だが、その前は上位総当たりの前頭2枚目で11勝。安青錦の例を見ると、3場所前の上位総当たりの平幕での11勝が起点になって、三役2場所で通過しているので、同様の判断がされる可能性は十分ある。
 
一方、豊昇龍が勝った場合には、優勝争いは再び混戦に突入する、地力から行くと、その場合でも豊昇龍と霧島を中心とした争いになるとみるが、この2人の比較では、「精神面と直接対決になった場合の強さでは豊昇龍、残り3日の対戦相手では霧島有利」と言えようか。豊昇龍は、追ってきたものの強みがあるうえ、ここ一番の精神力ではやはり霧島より一枚上のはず。ただ残る対戦相手としては、大の苦手の安青錦を残しているのが不安だ。もちろん安青錦は今場所不調なので、豊昇龍にとっては初めて勝つ大チャンスともいえるが、安青錦が7勝7敗で勝ち越しをかけて千秋楽、ということになる可能性もあり、この場合には相手も必死の土俵になるのでかなり怖い。豊昇龍としては、何とか並びで千秋楽の優勝決定戦に持ち込み、霧島との直接対決に強いというポイントを生かしたいところだ。
 
ともあれ、状況がどうなるかはあすの直接対決の結果次第。まずは本割での今場所のメーンイベントを楽しみにしたい。

文=藤本泰祐

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