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2026-03-15

【相撲編集部が選ぶ春場所8日目の一番】横綱・大関総崩れで豊昇龍も2敗目。1敗対決に勝った霧島ら4人がトップに

調子を上げてきたかに思われていた豊昇龍は、大栄翔の回り込みについていけず2敗目。1敗を守った4人の先行を許す形となった

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大栄翔(叩き込み)豊昇龍

ともに1敗の、元大関でもある関脇同士の対決は、1分23秒の熱戦で霧島が髙安を破り、1敗をキープ。“中日の「きょうの一番」は、まあこれだろう”と思っていたら、いやいや、この日もその後、浪速の春は荒れに荒れた。
 
すでに優勝争いから脱落加減の大関陣はこの日もさえない。安青錦は1敗の隆の勝の突きからの叩きに珍しく前に落ち、3連敗となる5敗目。琴櫻は平戸海に立ち合いで二本入られ、右を巻き替えるところを出られて寄り切りに敗れ、五分の星に戻る4敗目だ。

そして波乱の連鎖は結びの横綱にも及んだ。先場所叩き込みに敗れている大栄翔との一番を迎えた豊昇龍だ。立ち合いは、素早く立って左からの張り。特に悪いようには見えなかった。だが、左から起こされた後、大栄翔の右の突きか胸元にヒット、少し腰が入るような形になってしまう。それでも横綱は左からイナして相手に横を向かせ、右腰につくようにして大栄翔を追い詰めて、その瞬間は「ああ大丈夫だな」と思わせたのだが……。
 
ここからの「あれしかなかった」という大栄翔の引き足は機敏だった。横綱を振りほどきながら俵伝いに左に回り、体を入れ替えていく。このため横綱は距離を詰められず、逆に自分のほうが俵が近い空間に入ってしまって左足が送れなくなるような具合になり、またも叩き込みに敗れることになった。

「落ち着いて攻められたので、流れがよかったと思う。体が動いていて、よかったです」と大栄翔。これで豊昇龍からは2場所連続の金星だ。まだ突き押しの威力が三役を張っていた当時のものに戻ったとは言えない気はするが、実戦の中での動きの勘はさすが、というところか。
 
横綱豊昇龍は、ここ2、3日は、場所の序盤と打って変わって、「この展開になったら俺が優勝する以外にないでしょ」と言わんばかりの好内容の白星を重ねていただけに、この日の黒星は一気に優勝争いを混戦にするものとなった。
 
中日を終わり、優勝争いは、大関復帰を目指す関脇霧島、力強い相撲が続く隆の勝、昨年7月に優勝の実績を持つ琴勝峰、ご当所の声援を背に馬力復活の豪ノ山の4人が1敗でトップを並走、その後を横綱豊昇龍と関脇髙安、琴栄峰の3人が2敗で追う形での折り返しとなった。
 
地力でも経験でも一枚上の豊昇龍が、1敗勢との対戦をすべて残しているので、1差はまだ逆転可能な範囲内であり、相対的には最も高い可能性をを有する存在であるとは思うが、ほかの力士に前を行かれる形になったことで、ここからしばらくの戦いに対する「もう負けられない」というプレッシャーは高くなるはずで、そのあたりがどう影響してくるか。そういう意味でも、あすの隆の勝戦は注目だ。
 
きのうまでは、「荒れる春とは言っても、まあ最後は横綱のものだろう」という感じがあったが、そうとばかりは言えなくなってきた。

「大関が崩れて、横綱もその流れを止められず」というのが、この日一日だけのことで済むならいいが、今後の豊昇龍の星いかんでは、場所全体がそのような感じになる可能性も……。場所前には思いもしなかった展開になってきたが、果たしてこの場所には、どんな結末が用意されているのだろうか。

文=藤本泰祐

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