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2026-03-19

【相撲編集部が選ぶ春場所12日目の一番】霧島が豊昇龍を投げ飛ばす! 1敗キープで優勝と大関復帰へ大きく前進

霧島は左からの上手投げで豊昇龍を破り、横綱に星で並ばれることを阻止。14場所ぶりの優勝と、大関復帰へ大きく前進した

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霧島(上手投げ)豊昇龍

横綱を投げ捨て、「ヨシッ」とばかりに土俵上で声を上げ、受け取った懸賞金の束を額に当てて押し頂いた。
 
完全に、“大関の強さ”が戻ってきた。関脇霧島が豊昇龍との対決を制して、星の上で並ばれるのを阻止。横綱を圏外に近い位置まで追いやって、14場所ぶりの優勝と、大関復帰へ大きく前進した。
 
今場所の優勝の行方を大きく左右する一番。二人の対戦成績はこの一年は2勝2敗だが、その前は豊昇龍が3連勝。霧島は、一時の歯が立たない状況から、ようやくいい勝負に持ち込みつつある、という状況だった。
 
立ち合い、霧島は右差し左上手狙い。豊昇龍は張り差しで、左で張っての右差し狙いだった。相手を早くつかまえたい意識があるのだろう、豊昇龍はこの張り差しを多用するが、どうもこれをやると上体が立つ形になりがちで、もちろん成功することもあるのだが、好調な相手に対しては危険な立ち合いだ。果たしてこの一番でも、自分も右下手は取れたが、立ち合いで霧島に左上手を引かれてしまった。
 
こうなると次の流れは投げの打ち合い。今場所好調で動きのいい霧島は、次の動きも早かった。すかさず左に回りながら、先手で上手投げ。調子が悪いときには、これで呼び込む形になって、腰を寄せて前に出られたり、外掛けや切り返し気味の技を食う、あるいは逆に間隔が空きすぎると、足を前に入れられ逆転の投げの打ち返しを食う、という可能性がある技だが、さすが今場所の霧島はうまかった。左の太ももを絶妙な距離で豊昇龍の前に入れながら、ほとんど相手に何の反撃も許さず。そのまま投げ捨てた。

「気合が入った。よかった」と霧島。
 
これで自らは単独トップを守り、豊昇龍は3敗となって2差。この日、ほかの2敗勢は、琴勝峰は義ノ富士を叩き込んで2敗をキープ、豪ノ山は琴櫻を攻めきれず、逆襲を食らって押し出され、3敗に後退した。
 
霧島としては、優勝へ大きく前進。そしてそれは、今場所後の大関復帰へも大きく前進したことを意味する。これで一応、近年昇進の目安とよく言われる直近3場所33勝に到達。先々場所は上位総当たりの平幕だが、この後、星を重ねて優勝を手にすることになれば、「起点が平幕だからダメ」という人はいないだろう。
 
だがしかし、まだ安心するのは早い。1差で、昨年7月場所で優勝した実績を持つ琴勝峰がついてきているからだ。霧島はあすは王鵬と対戦、番付どおりなら残り2番は大関戦となるが、この展開となっては霧島-琴勝峰戦なしで優勝決定というわけにはいかないので、おそらくは霧島-安青錦の割が崩され、琴勝峰との対戦が組まれることになるだろう。
 
となれば、琴勝峰が優勝した昨年7月場所、14日目に霧島が突き合いからイナされ、上手投げでかわされて2敗の平幕琴勝峰を止められなかった一番が思い出される。琴勝峰は、優勝争いの中でこういう冷静な相撲が取れる力士。もし対戦が組まれれば、霧島が波乱を呼ばないような相撲が取れるかどうかが試される。
 
もちろん、琴勝峰は霧島と1差以内で当たらなければ逆転は難しいので、その前にあすの豊昇龍戦という大きなハードルを越えなければならないが、もしそれができた場合は、「場所はまだ、終わらない」という状況が続くことになる。

文=藤本泰祐

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