いよいよ11月4日(土)から、今年の日本女子1部リーグ決勝トーナメントが始まる。今回もリーグ戦の上位4チームが、チャンピオンを目指して最後の決戦に挑む。
今年の日本女子リーグは記念すべき第50回にあたる。そのメモリアルイヤーの頂点に立つのは、いったいどこか。これから展望してみたい。
その前にまず、決勝トーナメントの概要を紹介しておこう。
今年の決勝トーナメント進出チームは、ビックカメラ高崎(リーグ1位)、トヨタ自動車(リーグ2位)、太陽誘電(リーグ3位)、豊田自動織機(リーグ4位)。会場は、開幕戦も行ったナゴヤドームだ。
決勝トーナメントは2日間に渡って開催され、初日はリーグ1位vs同2位、同3位vs同4位の2試合が行われる。
翌日は、1位と2位の試合の敗者と、3位と4位の試合の勝者が対戦。そこで勝ったほうが前日の1位と2位の試合の勝者に挑む形で、決勝が行われる。詳しくは、下のトーナメント表の通りだ。
初日の第1試合は、リーグ1位のビックカメラ高崎と2位のトヨタ自動車による顔合わせとなる。
この両チームは、トヨタ自動車が5度、ビックカメラ高崎が4度(前身チーム含む)と、昨年までの9年間で優勝を分け合っている「2強」だ。
しかし今年は、ビックカメラ高崎がわずか1敗でリーグ戦を制したのに対し、トヨタ自動車は5敗を喫して何とか2位に滑り込んだ。リーグ戦を終えた段階では、ビックカメラ高崎の充実度が勝っている。
昨年はケガで苦しんだエース・上野由岐子が復調。濱村ゆかり、中野花菜との「日本代表トリオ」で万全の投手陣を築き、接戦で無類の強さを発揮した。
攻撃面では内藤実穂、糟谷舞乃らの若手が次々と台頭。それを山本優や森さやかといった実績のあるベテランが支え、勢いに乗ったら止められない強力打線を形成した。
チーム防御率0点台、チーム打撃率3割台は、いずれもリーグ唯一の好成績。見事に投打がかみ合い、独走でリーグ1位をつかみ取った。
注目の選手は、三番を打つ糟谷だ。
5年目の若手は今年、打撃が覚醒。2試合で満塁本塁打3本という離れ業を演じ、26打点で打点王を獲得した。
また、ランキング2位タイの.426という高打率が示すように、シーズンを通じて好調を維持したところも成長の証となった。後は大舞台で結果を残せば、リーグを代表する打者へのステップアップになるはずだ。
そのビックカメラ高崎に挑むトヨタ自動車は、ここ8年続けてリーグ1位を守ってきたが、それをライバルに奪われた格好となる。
今年は2度の連敗を喫するなど、苦しい時期を味わった。それでも2位に食い込んだところは、長く培った勝負強さを示している。
その勝負強さは、短期集中のトーナメント戦でこそ発揮されるだろう。
大黒柱のモニカ・アボットの安定感と、リーグ最少失策の堅守で、失点を計算できるのが何よりの強み。堅実に得点を奪う攻撃に徹して、目の前の勝利を確実にものにする戦い方は熟知している。
対ビックカメラ高崎、そして上野由岐子を相手に戦うという意味では、カギを握るのは中心打者の長﨑望未か。
リーグ戦では敗れたものの、孤軍奮闘して上野から3安打を放った。優勝した全日本総合選手権でも上野と対戦し、二塁打を打っている。
今季も.426の高打率を残し、日本有数の打撃技術に磨きをかけている。長﨑の前にチャンスをつくるか、長﨑がつくったチャンスをものにするかが、大きなポイントになりそうだ。
初日の第2試合は、2強への挑戦権をかけ、リーグ3位の太陽誘電とリーグ4位の豊田自動織機が対戦する。
太陽誘電は昨年、リーグ2位になり、決勝トーナメントでも準優勝と結果を残した。
今年も、トヨタ自動車と同じ勝敗での3位(順位は直接対決の結果による)。昨年の躍進を見事につなげた。
今年の特徴は、タレント豊富な打線にある。
円熟味を増すベテランの河野美里、力強い打撃が光る佐藤みなみ、投打二刀流で知られる大砲の藤田倭、堅実さと長打力を併せ持つ原田のどか。この日本代表の4人を同時に抑えるのは至難の業だろう。
もちろん、右の藤田、左の尾﨑望良の両投手も実力十分。尾﨑も打席に立つ二刀流であり、この2人を山路典子監督が巧みに起用するスタイルは、相手にとって悩みの種となる。
1993年以来の優勝を達成し、古豪復活を成し遂げられるか。その力は、十分に備わっている。
対する豊田自動織機は、一昨年まで22年連続で決勝トーナメント進出を果たしてきた、リーグ有数の名門チーム。しかしその記録は昨年、途切れてしまった。
復活を期した今季は、開幕から順調に白星を積み重ねて上位をキープする。前半戦の終盤に連敗して順位を落としたが、中断期間できっちり調整。順位争いを制して4位に入った。
昨季の低迷の要因となった得点力が、今年は飛躍的に向上。チーム得点数を一気に44点も増やした(54得点→98得点)。
その得点力を支えたのが、選球眼と機動力だろう。四球の数はリーグ2位、盗塁数はリーグトップだった。
各自がボールを見極めて出塁を重視し、塁に出れば積極的に足を使う。永吉慎一監督の目指すスタイルは浸透している。
だが、リーグ戦の太陽誘電との対戦は、藤田の前に2試合で1得点のみと抑えられた。
ケイラニ・リケッツ、栗田美穂、海部栞菜と、投手陣は万全なだけに、いかに藤田から得点を奪うかが勝敗を分ける。
この決勝トーナメントの模様は、BS11で放送される。
11月4日、5日ともに、放送時間は午後8時から9時54分まで。どちらも解説は宇津木妙子(元日本代表監督)さん。
残念ながらナゴヤドームまで来ることができない人は、ぜひテレビで観戦を!
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