5月3日、アメリカンフットボールの春季交流戦で、日本大学と関西学院大学ファイターズが対戦し、日大が3-20で関学に敗れた。會田空都主将(4年=横浜立野、DL)率いる守備が前半サック2本を含む4ロスタックルで関学を苦しめ、攻撃も総獲得323ydと内容では上回ったが、計5つのターンオーバーが響いた。試合後のハドルで主将は涙を流しながら「もう4年は関学とはできない」と仲間に語りかけた。【北川直樹】前半は會田主将率いる守備が躍動、0-3で折り返し
試合は日大の最初の攻撃から始まった。最初のシリーズはパントに終わったが、続く関学の攻撃をLB山内凜太郎(4年=日大豊山)がインターセプト。日大ペースで試合の入りを掴んだかに見えた。
しかし好機を生かせず、逆に直後のシリーズで関学にインターセプトされて攻撃権を失う。それでも會田主将率いる守備が踏ん張った。関学が時間をかけてレッドゾーンに攻め込むと、會田が立て続けにサックを記録。スナップが乱れたところも見逃さず、関学を3rd&22という苦境に追い込んだまま第1Qを終えた。
第2Q開始直後にも會田のロスタックルで関学にFGトライを強いる。これも失敗に終わり、流れは日大に傾く。攻撃でQB川端迅(3年=千葉日大一)に交代した日大は、自陣からパントフォーメーションを取った場面でWR明本勇斗(4年=日大豊山)へのフェイクパントを成功させて1stダウンを更新。トリックプレーで攻め込み、敵陣でのFGトライまで持ち込んだが惜しくも失敗した。
第2Q残り3分台、WR余越海皇(4年=岩倉)がパントリターンで敵陣深くまで戻し、最大の好機が訪れる。QB川端からRB高岡力(1年=佼成学園)、WR岩崎充希(4年=佼成学園)へのパスでレッドゾーンに迫ったが、関学DBにチップしたパスを自らキャッチされてインターセプト。前半最大のチャンスを逃した。
0-3で折り返し。獲得ヤードでは関学を上回りながら、決定力を欠いてリードされた状態でハーフタイムを迎えた。
QB小林が走投で奮闘したがターンオーバーに苦しんだ(撮影=北川直樹)後半開始のTDで突き放され、関学DBにINT3本を奪われる後半に入って雨が降り始めると、試合の流れが一気に動いた。キックオフリターンを許して関学に好フィールドポジションを与えると、立て続けにビッグプレーで攻め込まれる。最後はQB星野からエンドゾーン右奥に走り込んだWR小段への38ydのTDパスを通され、0-10とされた。
日大は反撃に出る。4thダウンギャンブルをRB酒井佑昌(4年=箕面自由学園)のランで成功させ、QB小林伸光(4年=佼成学園)からWR余越への28ydのロングパスで敵陣に突入。だがレッドゾーン手前で関学DBに2本目のインターセプトを奪われ、好機を断たれた。
第3Q終盤、再びQB川端にスイッチした日大は、川端からRB高岡へのパスが25ydのビッグゲインを生んで1stダウンを更新する。しかし続くプレーで関学DBに3本目のインターセプトを奪われ、リターンも許して第3Qが終了した。
最終ドライブのFGで一矢報いるも、3-20で敗戦
第4Q開始早々に関学にFGを決められて0-13。日大は次のドライブでRB酒井の19ydのランや小林からWR森翔太郎(3年=千葉日大一)へのパスをつなぎ、レッドゾーンに到達した。だが攻撃中のファンブルを関学DBにリカバーされ、長いリターンで一気に敵陣深くへ持ち込まれてしまう。次のプレーで関学のTDパスが決まり0-20。決定機を一瞬で逆襲のTDに変えられた。
それでも日大は最終ドライブで意地を見せる。小林がスクランブルを2度織り交ぜ、TE窪田克喜(3年=日大豊山)、WR明本へのパスもつないで敵陣深くまで攻め込んだ。最後はK森翔太郎(3年=千葉日大一)の28ydFGを成功させて3点を返した。
日大の得点は森が成功させたFGの3点にとどまった(撮影=北川直樹)獲得ヤードでは日大が1stダウン17(関学10)、ラン獲得176yd(関学118yd)、総攻撃323yd(関学250yd)と上回った。ボール所有時間も28分20秒(関学19分40秒)と8分以上長く、3rdダウンコンバージョンも9/15と高い数字を残した。だが計5つのターンオーバーが結果に直結した。
守備陣の数字も光った。會田主将は6タックル、4ロスタックルで計21ydのロスを奪い、関学オフェンスを終始苦しめた。関学QB星野が試合後に「向こうのフロントはノーマルアラインで、スタンツも仕掛けてこない。リードでも1対1で、そこで負けていることが多かった」と振り返ったように、日大DLは1対1の地力で関学OLを圧倒。試合の構図は、内容で日大が上回りながら、結果が伴わなかった敗戦だった。


日大はアグレッシブなディフェンスで関学を苦しめた(撮影=北川直樹)下級生RB高岡・桑野の台頭、4年生の意地も敗戦の中にも収穫はあった。下級生では1年生のRB高岡が即戦力として攻撃に絡み、レシーブでも14ydを記録。2年生のRB桑野稜也(2年=日大一)も積極的なランニングで攻撃にリズムを与えた。
QBの起用にも明確な方針があった。須永監督は「10番(小林)と11番(川端)を交互に出すと決めていた。これまでのように自動的に交互ではなく、まず10番が出てよければ続け、悪ければ替えるという形で」と起用の意図を説明。実際、小林は前半に苦戦すると後半にWR余越への28ydパスや自身のスクランブルなど勝負所で見せた。
4年生もそれぞれの形でチームを引っ張った。RB酒井は10回63ydを走り、19ydのビッグランも記録。WR余越は計47ydのレシーブとパントリターンで好機を演出した。WR明本もフェイクパント成功時のパスキャッチを含むレシーブで最終学年の意地を見せた。
パントフォーメーションからのパスレシーブでダウンを更新した明本(撮影:北川直樹)「後半は地力の差が出た」日大・須永恭通監督前半は学生が頑張ったが、後半は地力の差が出て引き離された。そこがポイントだったと思います。ターンオーバーはこちらの完全な連携ミス。普段こういうミスは出ないので、練習の質が本当の意味でゲームライクになっていなかった。もう一回見直さないといけない。
QBはまず10番(小林)が出て、よかったら続け、悪ければ替える、その場その場で考えてやっていこうということで。だから結果的にこういう形になりましたけども、基本的には10番で行くつもりでした。下級生では1年生の高岡が即戦力で頑張っているし、桑野もよく頑張っています。
関学は一言で強い。今日も初めてのプレーしかやっていないと思う。それでもいいところでパッと取られた。狙いが分かるというか、すごく感覚でやっているチームです。今日の反省をしっかりして、いつか大きな舞台で関学に勝てるチームを作っていきます。
須永監督は選手、特に4年生への強い思いを口にした(撮影=北川直樹)4年生たちの無念さがにじんだ春の一戦試合前から日大の選手たちには、覚悟の決まった引き締まった表情が並んでいた。試合後のハドルで、會田主将は涙を拭いながらチームメイトに語りかけた。
「こういう結果になったけど、4年は関学戦はもうできない。できないけど、まだ慶應、去年優勝した立命があるから。もうこういう後悔はしたくない。毎日の練習の質が大事になる。雨の日だって、ディフェンスがもっとボールにパンチしていたらセキュリティが良くなったかもしれない。だからそういう一つひとつ、どれだけ練習にかけられるか。もう4年は関学とはできない。でも次がまだある。だから次に向けて頑張ろう」
今の4年生たちは、入学した2023年の夏に薬物事件が発覚し、年末に部が廃部となった世代だ。翌年5月に「有志の会」として活動を再開し、2025年6月に関東学生連盟への新規加盟が認められて2部から再出発。今年から1部下位のBIG8で戦う。本来の代であれば最上位カテゴリのTOP8で関学と公式戦の舞台に立っていたかもしれないが、その機会は4年間で巡ってこなかった。
試合後の囲み取材で、須永監督は最後に涙を浮かべながら4年生への思いを口にした。今の4年生は、事件とは無関係でありながら厳しい現実に直面した。甲子園ボウルという大きな目標が閉ざされた中でも、彼らは毎日の厳しい練習に黙々と取り組み続けてきた。
その姿を見続けてきたからこそ、最後の関学戦に臨んだ教え子たちへの強い慮りがにじんだ。オープン戦の1試合を超えて、4年生の無念さが痛烈に伝わるゲームだった。
會田は終始気丈に振る舞っていたが、ハドルでは感情があふれた(撮影:北川直樹)