明日7月7日、カナダのホワイトホースで、第15回世界男子選手権が幕を開ける。その名の通り、男子ソフトボールの世界一決定戦だ。参加国は17カ国。2つのプールに分かれて予選を行い、4位以内に入れば決勝トーナメントへ進出できる。
日本はここ5大会連続でベスト8敗退と、メダル獲得まであと一歩届かずに終わっている。1996年の第9回大会では3位、そして2000年の第10回大会では準優勝と、2大会連続でメダルを獲得したが、それを最後に世界4強の壁を破れていない。
世界との差は、近いようで遠い。現在はニュージーランド、オーストラリア、そして今回の開催国であるカナダが「世界3強」と位置付けられており、そのほかにも成長著しいアルゼンチンやベネズエラも高い実力を持つ。これらの国に対し、日本は接戦に持ち込む力はあるものの、勝ち切れるまでには至っていない。
特に海外の投手を打ち崩すのが至難の業だ。彼らは130キロ(野球だとおよそ180キロ!)以上の剛速球に加え、鋭い変化球を上下左右に投げ分ける。大一番で、そういった投手から得点できるかどうかが、すなわちメダルを獲得できるかどうかの指針となる。
先日、そんな男子日本代表の世界選手権へ向けた壮行会が行われた。集まった関係者を前に、岡本友章ヘッドコーチは「行くからには金メダルを獲りたい」と意気込みを語った。
男子日本代表のスタッフ陣。下段左から三村奈弓マネジャー(ホンダエンジニアリング)、田岡幸一トレーナー(Body Laboratory)。上段左から浜口辰也アシスタントコーチ(ホンダエンジニアリング)、岡本友章ヘッドコーチ(高知パシフィックウェーブ)、吉村啓アシスタントコーチ(平林金属)
岡本ヘッドコーチは、2大会続けてメダルを獲得した日本の黄金時代の主砲だった。そんな自身の経験を踏まえ、打力を重視したチームづくりを進めてきた。
「打ち方、タイミングの取り方など、外国人対策はしてきた。刺し込まれることがないように、しっかりとボールをとらえたい。日本の投手力は世界でも4強のレベルいるので、やっぱり“打”。打力がどこまで上がっていけるか、どこまで粘れるかだと思う」
海外の猛者を打つために必要なのは、技術やパワーはもちろん、月並みではあるが精神力も重要となる。19歳から世界と戦い、自らのバットで勝利をつかんできた指揮官は、「たとえすごいと思っても、無理と思ったらその時点で終わる」と、強気を選手に求めている。
日本のバッテリー陣。下段左から松田光(投手・平林金属)、客野卓也(投手・愛媛ウエスト)、大石司(捕手・ホンダエンジニアリング)。中段左から山脇佑也(投手・デンソー)、片岡大洋(捕手・高知パシフィックウェーブ)、岡﨑建斗(投手・大阪桃次郎)。上段左から森勇紀(投手・Neo長崎)、高橋速水(投手・高知パシフィックウェーブ)
昨年の西日本リーグMVPであり、国内屈指の「二刀流」として最多勝と打点王を獲得。まさに日本ソフトボール界の至宝といえる松田光が、自身3度目となる世界選手権に向けた思いを語ってくれた。
「前回大会で良い結果が出ないとき、バットを変えたりフォームを変えたりと迷い、それが悪い方向に出てしまった。今回は2、3試合打てなくても、自分のスタイルを変えないようにしたい」
二刀流で鳴らす松田だが、すでにヘッドコーチから四番を言い渡されており、打者としての役割を強く意識しているという。このように、今回のチームは一人ひとりの役割をはっきりさせて、やるべきことをクリアにしている。
岡本ヘッドコーチは言う。「自チームでは四番でも、七番、八番を打つ選手もいる。与えられたところで活躍してもらうために、役割をしっかり伝えたい」。この方針は、「自分やチームメイトの役割が決まっていると、戦い方が見えるのでやりやすい」と、松田も歓迎している。
また、雰囲気の良さもこのチームの長所だ。ベテランと若手が支え合い、声もよく出ている。キャプテンを務める高橋速水も「雰囲気の良いチームをつくりたい。それができれば、一番良い色のメダルに近づける」と、チームのムードを重視している。
一体感ができやすい雰囲気の中で、個々が自分に課せられた役割を120パーセントこなす。そういったチームになることで、悲願のメダルが近づくはずだ。
多士済済の内野陣。下段左から米良孝太(旭化成)、糸瀬勇助(ホンダエンジニアリング)、古敷谷亮(高知パシフィックウェーブ)。上段左から浦本大嗣(ホンダエンジニアリング)、澤田優生(大阪桃次郎)、小見山敦吏(平林金属)
強打者ぞろいの外野手トリオ。左から森田裕介(豊田自動織機)、川田直諒(旭化成)、床井優介(ホンダエンジニアリング)
今回選ばれた17人は、全員が日本リーグに所属している。最年長は投手の森勇紀(35歳)で、最年少は捕手で20歳の大石司だ。
投手陣の中心は松田と高橋、そして22歳の若きエース・岡﨑建斗となる。岡﨑は日本最速の130キロをたたき出す豪腕で、そのライズボールは外国人投手にも引けを取らない。また、抑え役が予想される山脇佑也は変化球のキレが持ち味の技巧派で、連投を苦にしないタフさも売りにする。
野手陣は国内で指折りのパワーヒッターがそろう。これも、外国人投手に負けないようにという岡本ヘッドコーチの思惑がうかがえる。その中で、世界選手権をすでに2度経験し、海外の投手の感覚を肌で知る浦本大嗣、片岡大洋、川田直諒、米良孝太、そして松田のバットには期待がかかる。
初戦の相手はベネズエラだ。ここには130キロ台のボールを投げるラモン・ジョネスがいる。それだけに岡本ヘッドコーチも「とにかく初戦に全力を注ぎたい」と話す。このエースを打てるかどうかが、大会を占う試金石となるだろう。
女子ソフトボールが2020年の東京でオリンピック競技に復活することで盛り上がりを見せる今だからこそ、男子ソフトボールの存在感を示す絶好期と言える。日本ソフトボール界の悲願の一つである「男女そろってオリンピック競技になる」という夢に近づくために、まずは今回の世界選手権で、日本男子ソフトボールの力を見せつけてほしい。
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