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2026-05-15

【相撲編集部が選ぶ夏場所6日目の一番】全勝の琴栄峰を止めたのは業師の宇良! 霧島が6日目にして単独トップに

業師の宇良の土俵際での投げに遭い、琴勝峰はついに1敗。この日勝った大関霧島が、単独トップに立つ形となった

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宇良(上手投げ)琴栄峰

初日から連勝を続けていた新鋭を止めたのは、幕内きっての業師だった。
 
宇良がきのうまで5連勝の琴栄峰に土をつけた。決まり手は、宇良としては珍しい、右からの「上手投げ」だった。
 
立ち合いは、まず、速く、低く立った宇良が当たり勝った。この辺は、相手の警戒を利用して先手を取ったというところで、宇良の業師たるゆえんだ。
 
琴栄峰は左差し狙いで立ったが、宇良はそうくるのを読んでいたように、これを右から強烈におっつける。左も差した手を返して攻め込んだ。いつもの押し相撲ではなく、四つでの攻めでいい形をつくった宇良は、相手が起きたところで右上手。だが上手を取ったため、自分の頭も上がってしまった。
 
ただ、そうなったあとの宇良の動きは素早かった。一転、体を開いて右へ回りながら上手出し投げを狙う。琴栄峰が右の廻しを狙いながらついてきたため、少し呼び込む形になり、出し投げにはならなかったが、宇良は俵に詰まりながらも左手で相手の頭を押さえながらなお投げを継続。タイミングとしては前に出た琴栄峰とほぼ同時に倒れたが、琴栄峰が先に右手をついており、宇良が白星を得た。
 
宇良としては珍しい決まり手である、この上手投げ。この日、NHKで解説を務めた舞の海秀平さんが指摘していたが、結果として相手を呼びこんだようにも見えるが、見方によっては自分は俵に足が掛かって少し踏ん張れ、相手は回り込もうとすれば土俵の外に出てしまう、という土俵際に相手を誘い込んだように見えなくもない。宇良は自身の取組内容については全く語らないのが常なので、この辺りは確かめようもないが、もしかしたらそこに、業師の計算があったという可能性もある。
 
さらに、四つで攻めての上手投げというのは、宇良には意外な攻め手に見えるが、実は先場所のこの対戦(最後は右小手投げで琴栄峰の勝ち)でも、宇良は左を差しにくる琴栄峰の腕を手繰り、その後、右上手を狙う動きを見せている。つまり、相手の左差し狙いを利用し、それを嫌ったあと。右上手を取って攻める、というのは、先場所からのプランの延長である可能性もあるのだ。これも、本人が語らないので真相は分からないが、いずれにしても、この日の勝負は宇良が業師たる一面を若手に見せつけた一番だと言えるだろう。

「左を差して起こしていこうと思ったけど、うまくいかなかった」と琴栄峰。左差し狙いを、先場所は手繰られ、今場所はおっつけられ、と、業師にうまく利用されているところもあるだけに、果たして次はどうするか。この辺も、気鋭の若手にとってはいい勉強だろう。土はついたが、場所はこれからがまだまだ長い。中盤戦、さらに終盤戦と、勢いを保って暴れ続けてもらいたいところだ。
 
きのうまで全勝だったもう一人の大関霧島は、この日は王鵬に土俵際まで攻め込まれたが、辛抱して攻め返し白星。6日目にして単独トップに立った。また、1敗の小結若隆景は、うるさい藤ノ川に対し、立ち合いサッと上手を取って相手の動きを止めると、右はハズで距離を取って潜らせず、小さい相手に自らが頭をつけるという厳しい相撲で白星を挙げた。これで全勝霧島、1敗で若隆景、豪ノ山、琴栄峰、翔猿、藤凌駕が続く形となったが、だんだん霧島と若隆景のマッチレースになっていきそうな色が濃くなってきたか。大関と小結だが、二人の直接対決をどこで組むかには、審判部も頭を悩ませることになるだろう。この日、熱海富士を倒した豪ノ山も、ここから続くであろう上位戦を好成績で乗り切れれば面白い存在になる。

文=藤本泰祐

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