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2026-05-17

【相撲編集部が選ぶ夏場所8日目の一番】決めきれずに焦った? 霧島に土! 若隆景、翔猿と3人が並んで後半戦へ

最初の攻めで決めきれず、豪ノ山の逆襲を受けて押し出され、霧島はついに1敗。幕内の全勝力士は消え、若隆景、翔猿と3人がトップに並ぶ形となった

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豪ノ山(押し出し)霧島

白星を目前にしたところに、落とし穴はあった。
 
霧島が負けた。きのうまで、あんなに快調に白星街道を走っていたのにだ。
 
いや。よく考えればそうではなく、実は「あんなに快調に走っていたからこそ」負けたのかもしれない。 

この日は今場所好調の、突き押しの豪ノ山との対戦。直近の対戦は霧島が3連勝しているが、基本的には豪ノ山が押して霧島がそれをかわす、という展開になることが多く、霧島が立ち合いでしっかり当たれていて余裕があればそれが決まり、当たれていなくて余裕がなければ危ない、というイメージではあった。
 
ただ、霧島が好調な今場所は少し展開が違った。立ち合い当たり合った後、霧島に左ハズに入られそうになった豪ノ山が引き、そこを出た霧島が、アッという間に土俵際まで攻め込む展開になったのだ。
 
おそらく霧島は「きょうはいただき」と思ったのではないか。しかし豪ノ山も今場所は好調。何とか土俵際で回り込み、左を差されてつかまりながらも残った。
 
こうなると、いったん勝ったと思ったであろう霧島に、「手にしたはずの白星を早く現実のものにしたい」という心理が働くのは自然なことだろう。ここに、今場所ここまでは完璧だった気持ちに揺れが出たとみる。
 
本来は、もうつかまえかけているのだから、しっかり廻しを取ってから落ち着いて攻めればよかったところだが、霧島は左から強引な掬い投げ。これを残されるといったん突き上げた後に引きと、「早く決めたい」という焦りが見て取れるような攻めを展開。引いたところをついてこられ、そのまま押し出された。

「投げがよくなかった」と霧島。まさにそこに「途中から前に攻めようと切り替えた。しっかり相手を正面に置いていこうと思った」という豪ノ山の攻めがハマった、という形になった。
 
豪ノ山はこれで6勝2敗と、自らを優勝争いの第2グループに引き上げた。まだ三役戦は2番を消化しただけだが、今場所は三役の出場人数が少ないので、残すは3番。今の調子なら、それほど星を崩さず乗り切れる可能性もある。もしも直接対決で若隆景を破ることができれば、優勝争いへの本格参入もあり、「足も出ているので、残り1週間、集中して白星を積み重ねていきたい」という後半戦に期待は膨らむ。
 
霧島は、これで、この日も厳しい相撲で王鵬を退けた若隆景、物言い取り直しの末に宇良を倒した翔猿の1敗グループにのみ込まれることになった(琴栄峰は藤凌駕に敗れて2敗に後退)。ただ本人も、「途中までは素晴らしかった。これを忘れずにやっていく」と、この日の取組を振り返っているように、あす以降に響くような負けではあるまい。
 
またあすから改めて白星を積み重ねていけば、という形ではあるが、とにかく霧島と若隆景の星勘定が並びになったことにより、優勝争いはこの二人の直接対決(果たして何日目に組まれるか?)にかかるウエートがより大きくなってきたことは間違いないだろう。

文=藤本泰祐

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