後半戦に入り、優勝争いも盛り上がってきた。平幕の照ノ富士は1敗を守ったが、関脇正代は大栄翔に敗れて2敗に後退。そして、全勝の朝乃山と2敗の御嶽海の好一番を迎えた。
※写真上=全勝の朝乃山が御嶽海の上手投げに手痛い初黒星を喫した
写真:月刊相撲
御嶽海は1学年下の朝乃山に大関に上がられ、悔しい気持ちもあっただろうが、「小学生のときから知っている石橋くんが大関に上がってうれしいですよ。悔しい気持ちはないけど、対戦したら気合が入るでしょうね」と語っていた。
気合十分で臨んだ朝乃山戦。過去の対戦は御嶽海が4勝2敗とリードしている。御嶽海は低く当たって朝乃山の上体を起こし、流れをつかむ。左手を伸ばして当たった朝乃山は左上手が取れず、中に入ろうとした御嶽海を振りほどいて右を差した。しかし、上手が取れないまま前に出たところを上手投げで転がされ、初黒星を喫した。
「何回もやっているので、廻しを取らせないようにと意識していた。自分らしい下から下からという相撲が取れた」と振り返った御嶽海。「この2日間、思いどおりに相撲が取れず負けてしまったけど、連敗は気にせず切り替えていった」と、ここ一番の相撲には強い。
場所前の出稽古禁止で部屋の幕下力士としか相撲が取れなかったが、「幕下相手だと勝ち続けないといけないし、連続で20番以上取ってスタミナはついた」と語っていた。「あと5日間ならもつと思うし、横綱戦も残っているので、楽しみにしていてください」と頼もしい。
土がついた朝乃山は、「右は差したけど、左が取れないまま出ていって上手投げを食った。焦ってしまった」と反省。「気持ちを切り替えて、明日から自分の相撲を取っていきたい」と気合を入れ直した。
これで全勝を守った白鵬が単独トップ。横綱1000回出場を白星で飾ったが、取組後のリモート取材を拒否。これには各社、困ったことだろう。
文=山口亜土