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2020-07-27

【相撲編集部が選ぶ7月場所9日目の一番】 照ノ富士(寄り切り)佐田の海

2年半ぶりに幕内復帰を果たした元大関照ノ富士が、髙安に敗れただけで順調に白星を重ねて、給金相撲を迎えた。

※写真上=佐田の海に何もさせず寄り切り、9日目に勝ち越しを決めた照ノ富士 
写真:月刊相撲

 この日の対戦相手は佐田の海。照ノ富士は当たってすぐに左上手を取ると右も差し込んで一気に前に出る。佐田の海は全く抵抗できずに照ノ富士の勝ち越しが決まった。

 大関時代の平成29(2017)年5月場所以来の幕内勝ち越しを決めた照ノ富士は、「今場所で一番いい相撲。いつもどおり、右四つで攻めようと思っていた。一生懸命頑張ってきてよかった」と感無量の表情。

 記者から「これまでの勝ち越しとは違いますか?」と聞かれても、「特には変わらないです」と語ったが、そんなことはあるまい。ただ、まだ9日目なので、本人が「場所が終わったわけじゃないので。まだありますから」と語るように、気を緩めるわけにはいかない。

 師匠の伊勢ケ濱親方(元横綱旭富士)からは、「やってきたことを信じてやるだけだ」と言われていたそう。休場が続いて番付が落ち続けていたとき、師匠には「5回は辞めさせてほしいと頼んだ」が、「今は親方のことを信じてよかったと思う」としみじみ。

 白星を二ケタに乗せれば、敢闘賞も固いだろう。元大関には三賞受賞の基準が厳しいが、序二段まで落ちて戻ってきたのだから、勝ち越しただけであげてもいいくらいだ。

 優勝争いにも1差で追走しているが、「一番一番に集中して、自分にできることをやるだけ。とりあえず、明日の一番に勝つためにやる」と無欲で臨む。

 昨年の11月場所で幕下優勝したとき、NHKのインタビュー前に白鵬の土俵入りを見ながら、「もう一度、対戦したいなあ」とつぶやいていた照ノ富士。このまま勝ち進んでいけば、今場所で白鵬との対戦が実現するかもしれない。

文=山口亜土

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