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2026-05-29

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第38回「子煩悩」その2

平成30年春場所で4回目の優勝を果たした鶴竜は、長男のアマルバイスガラン君(10カ月)を抱いて喜びに浸る

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季節が過ぎ去るスピードって速いですね。
時間が過ぎるのと一緒で、あっという間に移ろっていきます。
5月の野山は若葉色に染まり、空には鯉のぼりが泳いでいます。こどもの日ですね。
土俵の上では死闘を繰り広げている力士たちですが、土俵を降りれば良きパパ、良き父親って力士もたくさんいます。
ご存じですか。令和4年春場所、初優勝した若隆景は、まだ27歳なのに1男3女のお父さんですよ。
あの優勝の活力源はきっとかわいい子供たちだったに違いありません。
力士たちは、地方場所などで離れている時間が多いこともあってみんな子煩悩なんです。
そんなパパたちの子供とのホットな結びつきをにじますほのぼのエピソードです。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

ゲン直しは子供と

我が子をエネルギー源にしていたのが横綱の鶴竜(現音羽山親方)だった。元号が令和に変わったばかりの令和元年夏場所の鶴竜は白鵬が全休したため、ひとり横綱だった。責任重大だ。
 
その11日目。関脇栃ノ心、西前頭8枚目の新鋭、朝乃山と1敗で優勝争いの先頭を走っていた鶴竜は、東前頭5枚目の妙義龍(現振分親方)に思わず引いてしまったところを押し出された。1歩後退だ。

「引いたらダメ、あんな悪い癖が出ちゃったら、どうしようもない」
 
とホゾを噛んだ鶴竜。こんなときは、夜の街にでも繰り出してパーッと憂さ晴らしするに限る。ゲン直しだ。
 
しかし、この夜の鶴竜は一歩も家の外には出ず、長男のアマルバイスガラン君と過ごした。この日がちょうどアマルバイスガラン君の2歳の誕生日だったのだ。プレゼントは自分がバスケットボール好きなことから、子供用バスケットのゴール。最近、アマルバイスガラン君は、

「ヨイショッ」
 
と掛け声をかけると、小さな足を上げて四股を踏むことを覚えたそうで、

「とてもかわいいですよ」
 
と鶴竜は、翌朝、朝稽古を取材に来た報道陣に目を細めて明かしている。
 
家庭サービスの効果はてきめんだった。翌12日目、鶴竜は西前頭5枚目の竜電を危なげなく寄り切り、再び優勝争いの先頭に浮上した。前日、単独トップに立ったばかりの朝乃山が敗れたのだ。ニコニコ顔で引き揚げてきた鶴竜は、

「しっかり自分の相撲に集中できた。明日もこの勢いで」
 
と気合を入れていたが、残念ながら必死の粘りもここまで。13日目から2連敗して朝乃山の逃げ切りを許してしまったのだ。アマルバイスガラン君の誕生日がもう2、3日続いたら、よかったんですがねえ。

月刊『相撲』令和4年5月号掲載

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