
春場所は12日目まで無事に終了。新型コロナウイルス感染者が出たら打ち切りだったが、何とか千秋楽まで完走できそうだ。
※写真上=正代にモロ差しを許した白鵬は手痛い2敗目を喫した
写真:月刊相撲
12日目は優勝を争う力士同士の対戦が2番組まれた。1敗の碧山は2敗の御嶽海と対戦し、一方的に押し出して快勝。御嶽海は脱落した。2敗同士の朝乃山-隆の勝戦は、朝乃山が押し倒して白星を二ケタに乗せた。
今日の一番はこの2番のどちらかだったのだが、1敗の白鵬に思わぬ落とし穴が待っていた。対戦相手の正代に対しては、過去9勝1敗と圧倒しており、正攻法の力士なので、一発の怖さもあまりない。それがどうしてあんな雑な相撲になってしまったのか。
立ち合い、白鵬は右から張っていった。右差しを狙うも果たせず、再三右から張った。左は相手の頭を押さえて中に呼び込んでしまい、モロ差しを許して万事休す。痛恨の2敗目を喫した。
顔を上げて胸から当たる正代にはカチ上げは効かないので張っていったのだろうが、ムキになりすぎた。前日、右差し、左上手狙いの鋭い踏み込みを見せていただけに、同じ立ち合いでよかったのではないか。白鵬は支度部屋に戻るとき、NHKアナの問いに答えず、帰り際も呼びかける記者たちを無視して険しい表情で立ち去った。
白鵬から3年ぶりに白星を挙げた正代は、「あまり覚えてないですけど、何とか残ることができて、とてもうれしいです。いつも出稽古に来ていただいて、恩返しできたと思います。自信につながるし、残り3日頑張れそうです」と笑顔。その左ほほには白鵬の手形が残っていた。
これで平幕の碧山が1敗で単独トップ。2敗で白鵬、鶴竜、朝乃山の3人となった。昔は上位と当たらない位置の平幕が早めに勝ち越したら、小結、関脇と当てていったものだ。それを突破されたら大関、横綱の出番となる。碧山の明日の相手は平幕の隆の勝で、ここまで三役以上との対戦はない。
審判部は何をやっているのか。先場所に続いて横綱、大関の割を崩さなければならなくなってきた。
文=山口亜土
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