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2020-03-09

【相撲編集部が選ぶ春場所2日目の一番】 北勝富士(送り倒し)鶴竜

初日は上位安泰だったが、2日目は貴景勝、鶴竜が敗れ、横綱大関の勝ちっ放しは白鵬だけとなった。大関取りの関脇朝乃山は近大の先輩で先場所の覇者・德勝龍を下して連勝。

※写真上=相撲勘が戻らないのか捨て身の首投げをかわされ、黒星を喫した鶴竜
写真:月刊相撲

 鶴竜は小結の北勝富士と対戦。鶴竜が頭から低く当たったが、北勝富士は立ち合いから圧力をかけず、モロ手で鶴竜の肩を押さえ左に動いてイナした。バランスを崩して前のめりになった鶴竜に体勢を立て直すスキを与えず、左からおっつけて後ろ向きにさせると、相手の首投げをかわして送り倒した。

「立ち合いで相手がずらしてくるのに対応ができなかった。相手の作戦勝ちだったと思います」と鶴竜。しかし、北勝富士は「狙ったわけじゃないけど、反応がよかった。おっつけがうまくいった」と振り返った。

 初日は「緊張して空回りした」と言う北勝富士だが、ツラ相撲力士だけに連敗しなかったのは大きい。時間前の激しく顔などを叩く動作で気持ちを高めていく北勝富士にとって無観客での取組はやりにくいだろうが、「気持ちを切らさずに頑張る」と自らを鼓舞していく。

 一方、敗れた鶴竜が心配だ。「あの立ち合いは想定していたんだけど……」と、3場所連続休場で相撲勘が戻っていない様子。

 今場所の成績次第で進退問題も取りざたされるが、まだ帰化が認められていないので、協会に残るためには引退ができない。

「修正点は立ち合い。まだ始まったばかりだから、明日から切り替えていく」と、ときおり笑顔を見せながら、努めて明るく振る舞って会場をあとにした。

文=山口亜土

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