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2026-06-25

【アメフト】オンライン賭博常習QBにNFLも「門前払い」 補足ドラフトを開催せず

優れた能力・実績で、カレッジトップQBの一人と目されていたブレンダン・ソーズビーだったが=Getty Images

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オンライン賭博常習選手は、NFLも受け入れなかった。

米プロフットボールNFLは、現地6月23日、2026年のサプルメンタル(補足)ドラフトを実施しないと決定し、補足ドラフトへのエントリーを申請していたテキサス工科大のQBブレンダン・ソーズビーと、各32チームに通知した。NCAAからの永久追放を受けて、プロフットボールへの転身を企図したソーズビーに対して、門前払いをした格好だ。

ソーズビーは、2004年生まれの22歳。過去4シーズン、インディアナ大とシンシナティ大でプレーし、今オフにテキサス工科大学に転校した。高い能力と優れた実績を備えた、NFLの各チームからも注目のQBだったが、今春にオンライン賭博の常習者だったことが発覚した。約9000という件数、さらに自校チーム(インディアナ大)に賭けていたことが致命的だった。

NCAAは、規則に基づき、全てのカレッジスポーツからの追放処分としたが、ソーズビー側が処分の取り消しを求めて提訴。地元テキサス州の裁判所が、NCAAの処分を取り消す判断を出した。これに反発した、他の多くの大学が、テキサス工科大との試合を全競技にわたってボイコットする動きを見せた。ソーズビーは提訴の取り下げとNCAAの追放処分を受け入れ、NFLの補足ドラフトエントリーを申請していた。
優れた能力・実績で、カレッジトップQBの一人と目されていたブレンダン・ソーズビーだったが=Getty Images

NFLが、ソーズビーに送った書簡を、NFLネットワークが入手して明らかにしているが、それによると「期限の3営業日前に提出されたあなた(ソーズビー)の申請は、裏付けとなる情報や書類が一切添付されておらず、NCAAの制裁を回避するための最近の訴訟活動を断念した後に提出されたものであり、リーグが(補足ドラフト開催の)計画を変更する根拠とはならない」と記されていたという。

NFLの言い分は、補足ドラフトへの申請書が、ソーズビー自身の行為について十分に言及しておらず、申請のタイミングがリーグによる十分な審査を行う時間を確保できなかったということだ。NFLは、独自の裁量により補足ドラフトを開催するか否かを決定するが、2019年以来、補足ドラフトでの選手指名はない。今年はソーズビーが唯一の申請者だったため、リーグはソーズビーが申請する以前には補足ドラフトを開催する計画がなかった。

ソーズビーの弁護士は米スポーツ専門局のESPNに対し、NFLが補足ドラフトを開催しないという決定は「CBA(労働協約)および法律に違反している。我々は直ちにNFLPA(NFL選手会=労働組合)と協力してこの件を追及する」と語った。しかし、選手が32チームのいずれかと契約するまでは、NFL選手会の会員ではない。このようなケースで選手会が動けるのかは不明だ。

NFLでのプレー機会を訴えて、補足ドラフト開催を法的に求める訴訟は可能だが、NFLのサマーキャンプはあと1カ月で始まる。裁判所がリーグに補足ドラフトの実施を強制できる可能性は低い。

カレッジフットボールの選手が、UDFA選手として契約するためには、ドラフトにエントリーして、指名されなかったという手順を踏む必要があり、各チームが個別にFA契約する可能性も、現状ではない。

隣国カナダのプロフットボールCFLは、すでに今季が開幕しており、競技としての違いもあるので、ソーズビーの加入を求めるチームがあるのか。元NFL選手も多くプレーする、春季プロフットボールUFLは、先日2026年シーズンが終わったばかりで、次の開幕は2027年春。論理的には、欧州か日本でもプレーは可能だが、これはもっと考えにくい。ソーズビーが2026年にフットボールを続けられる可能性は、限りなく低くなっている。

解説:「正論」振りかざしたNFL しかし過去の事例は
=Getty Images


NFLネットワークが公開した、NFLからソーズビーに対する書簡は、正論のオンパレードだ。

「リーグはNCAAの調査に関する完全な記録を保有しておらず、あなたも、申立書の中でそのような資料を一切提出していない。にもかかわらず、(報道などで)入手可能な情報によれば、あなたは大学在学中、競技の公正性を維持するために設けられたNCAA規則に対し、故意に繰り返し重大な違反を行っていたことが示唆されている。」

「報道されている行為には、自身のチームやチームメイトへの賭けを行うこと、おび発覚を避けるために、あなたに代わって賭けを行う仲介者の名義で口座を開設・資金提供することが含まれる。また、州の刑法に違反した可能性もあるとのレポートもある。」

「あなたの申し立て書には、これらの事柄について言及されていない。また、自身の行為に対する責任を認める姿勢も示されておらず、競技の公正性を規定する当リーグの規則や方針を、あなたが遵守するかどうか、あるいはどのように遵守するかも示されていない。」

「それどころか、5月にNCAAから大学での選手資格を剥奪する決定の通知を受けた後も、あなたは自身の行動に対する責任を受け入れるのではなく、訴訟を通じてその決定の結果を回避しようと試み、そうした努力を断念して初めてNFLへの入団を目指したのだ。」

しかし、多くの米メディアは、今回の決定は予想外だったとしている。補足ドラフトの開催とソーズビーのNFL入りを予測していたのだ。

NFLが、カレッジフットボール在籍中にスポーツ賭博を行った他の選手たちに対して、過去どのように対処してきたか、前例があったからだ。ESPNが直近の2選手の事例を報じている。

2023年のアイオワ州立大学QBハンター・デッカーズのケースが該当した。アイオワ州による刑事捜査の結果、デッカーズは、母親のアカウントを使用して、自校に最低1試合以上に賭けていたこと、さらに、それ以外にもNCAA細則に違反する賭けがあったことが判明した。デッカーズは2023年シーズン前に出場資格を剥奪された。

デッカーズは2023年にフットボールを休止、2024年シーズンはジュニアカレッジのアイオワ・ウェスタン・コミュニティ・カレッジでプレー。2025年にUDFAでニューオーリンズ・セインツと契約し、昨季はプラクティス・スクワッドで過ごした。NFLはデッカーズに何のペナルティも科していない。

またLSUのWRケイション・ブーテは、2023年にニューイングランド・ペイトリオッツからドラフト6巡指名で入団。2024年1月、ルイジアナ州立大(LSU)在学中の未成年者による賭博の容疑で、州警察に逮捕された。ブーテは2022年4月から2023年5月にかけて8900件以上の賭博を行い、少なくとも17試合のカレッジフットボールへの賭博、6試合はLSU対象だったことが、警察の捜査で判明したという。しかし、NFLはブーテに対してペナルティを科さず、警察による起訴は最終的に取り下げられた。

ブーテは過去2シーズン、連続で500ヤード以上をレシーブする活躍を見せ、今年2月のスーパーボウルでもプレーしていた。

NCAAから追放のジム・ハーボウには「お咎めなし」

賭博ではないが、ロサンゼルス・チャージャーズのジム・ハーボウHC(ヘッドコーチ)は、NCAAから、ミシガン大HC時代の複数の不正行為を認定され、事実上の永久追放処分を受けている。

ハーボウはミシガン大HCだった2021年にNCAAのリクルート規則に違反したとして、2024年8月に、4年間の「ショー・コーズ」処分を受けた。この処分は、NCAA傘下の大学コーチに留まる限り、1年の完全出場停止、さらに4年間のチーム遠征、練習、ビデオ分析、リクルーティング、チームミーティングへの参加禁止からなる。フットボール活動からの実質的な追放と言ってよい。

処分を見越していたハーボウは、NFL復帰へ進路変更。チャージャーズのHC(ヘッドコーチ)になった。それでもNCAAは、ハーボウの不正追及の手を緩めなかった。

2025年8月には、やはりミシガン大HC時代の、違法なスカウティングおよびサイン盗み作戦に関してコンプライアンスの推進やスタッフの監督を怠ったこと、さらにチャージャーズのHC就任した後も、記録の提出や聞き取り調査の要請に対して協力を欠いたことを理由に、前年にくだした4年間の「ショー・コーズ」処分に連続して、さらに10年間の同じ処分を追加した。

計14年の追放処分は、ハーボウが仮にどこかのカレッジに就任した場合、その時点で初めて発動されるため、2038年まで待てば「ほとぼりが冷める」わけではない。ハーボウの62歳という年齢を考えれば実質的な永久追放と同じだ。

しかしNFLは、ハーボウに対して、何のペナルティも科していない。何の見解も示していない。

「競技の公正性を規定する当リーグの規則や方針を、あなたが遵守するかどうか、あるいはどのように遵守するかも示されていない。」

そのようなことを言える資格が、いまのNFLに本当にあるのだろうか。偽善としか思えない。


NFLは、正論をまくしたてる一方で、決してソーズビーのNFLでのプレーを否定していない。同じ書簡で「2027年のNFL年次ドラフトを通じてNFLへの参入の可能性に備えることに注力することを推奨する」としている。結局は弱腰で、選手としての適格性判断を避けている。

今回のソーズビー側の一連の動きは、ご都合主義的で、自己保身であり、今後選手としてプレーが出来なくなったとしても仕方がないかもしれない。

ただ、

・NCAAは、カレッジスポーツが、スポーツ賭博の対象となっていることを容認している。

・NFLは、不正行為を犯したチーム、コーチ、選手に対して、本当に、的確な処分を科しているのか。

という根本の問題は依然として残っている。

スマートフォンで、簡単にオンライン賭博ができる以上、ギャンブル依存症の学生アスリートがソーズビーだけだというのも信じがたい。同種の問題はいずれまた起きる。そう感じてならない。

【小座野容斉】

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