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2026-07-12

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所初日の一番】休場明けの大の里が義ノ富士に敗れ、上位陣でただ一人の黒星スタート

立ち合いは当たり勝ったように見えた横綱大の里だが、そのあとすぐ見せた引きについてこられて義ノ富士に押し出され、黒星スタート。あす以降立て直していけるか

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義ノ富士(押し出し)大の里

名古屋場所が始まった。
 
先場所優勝の若隆景が、左太モモの「外傷性コンパートメント症候群」という耳慣れない(したがってどれぐらいで回復してくれるのかイメージがしづらい)症状で休場となってしまったのは何とも残念だが、それでも「先場所休場の豊昇龍・大の里両横綱の回復具合は?」「レベルの高い優勝なら、が条件の霧島の綱取りは?」「カド番琴櫻は大関を守れるか?」「安青錦は10勝以上挙げて大関に戻れるか?」と、上位力士がそれぞれの焦点を抱えた、話題の多い場所となった。
 
上位陣の出来が注目されたその初日。結果から先に言うと、関脇以上力士の多くが白星を挙げた中、横綱大の里だけが、義ノ富士に敗れて黒星スタートとなった。
 
この日の義ノ富士は、確かに横綱にとって、休場明けで不安を抱える初日に迎える相手としては、これ以上ない嫌な力士だと言えた。義ノ富士は今場所が新小結だが、平幕上位でずっと実績を残してようやく三役を手に入れたので、その実力は間違いがないところ。そして何より、過去の対戦成績は0勝3敗と、大の里は勝ったことがないのだ。うち1敗は不戦敗だが、残り2つは、一番は引いたところをついてこられての負け、一番は右を差して出ようとしたところを、左からの上手投げでかわされての負けと、攻めても受けても負けているのだ。
 
ただこの日の相撲を見ると、立ち合いまでは横綱は悪くなかったように思う。義ノ富士が2回突っかけて待ったのあとの3回目。両腕をたたんで立った大の里は、立ち合い義ノ富士をはじくことに成功したように見えた。
 
しかし、潜ることを狙った義ノ富士に左右とも浅く入られそうになるともういけない。大の里はすぐに右から相手の頭を押さえるような引き技。「引かれたときにヤバいと思ったが、ついていけた」という義ノ富士に難なくついてこられて、押し出された。
 
大の里は、「集中して、またあした、頑張ります」と、いつもの敗れた後のコメントだったが、立ち合いしっかり当たれたことは一つプラス材料としても、気になるのはそこからの流れを簡単に手放してしまった点だ。立ち合い当たり勝っているのだから、少々相手の差し手が入っていようと、本来はそのあとはおっつけるなり、上手を取って挟みつけるなりという動きに行きたいところ。そこで体の反応が先に引きに行っているということに、横綱の相撲勘がまだ戻っていないのではないか、ということが感じ取れるのだ。
 
この本場所中にそれを取り戻すことができるかどうか。立ち合いの当たりを生かしてそのまま攻め切ってしまうような相撲が本場所で早く取れればリズムも戻ってくるのだろうが、少なくともあすは小兵の藤ノ川戦で、勢いに任せたような立ち合いはできない。また違った相撲を取っていく中で相撲勘を戻していかなければならないのが、場所中の難しいところであり、なかなか厳しいところだろう。
 
この日、他の関脇以上の上位陣はそれぞれに白星。左足への負担を避けるように左に動いての上手投げで勝った安青錦は勝ってなお不安を残す内容ではあったが、豊昇龍は先場所休場の原因となった右太モモ裏のケガの影響は感じさせず、霧島は藤ノ川を圧倒する強い内容だった。もちろんまだ初日を終わっただけなので、もう少し見なければ、というところはあるが、印象としては、霧島を中心に、豊昇龍がついていくかどうか、という優勝争いになるのか、という予感。そして、熱海富士、琴勝峰両関脇がこの日見せてくれた力強い相撲からは、「霧島と誰かの争い」という、ここ数場所の形だけでなく、これら関脇陣や義ノ富士も含めた、新たな優勝争いの形が見せてもらえるのではないか、という期待もわいてくる、初日の土俵だった。

文=藤本泰祐

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