東京女子の夏のビッグマッチ「SUMMER SUN PRINCESS '26」7・18後楽園に向けたインタビュー第三弾(ラスト)は荒井優希の保持するプリンセス・オブ・プリンセス王座に挑戦する山下実優。荒井の防衛ロードに満を持して飛び込んできたエースが今宵の一戦を語った。
「SUMMER SUN PRINCESS '26」
★7月18日(土)東京・後楽園ホール(11:00)
▼プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合(30分1本勝負)⑨<王者>荒井優希vs山下実優<挑戦者>
※第17代王者4度目の防衛戦
▼プリンセスタッグ選手権試合(30分1本勝負)⑧<王者組>渡辺未詩&辰巳リカvs中島翔子&ハイパーミサヲ<挑戦者組>
※第21代王者組2度目の防衛戦
▼インターナショナル・プリンセス選手権試合(30分1本勝負)⑦<王者>鈴芽vs上原わかな<挑戦者>
※第17代王者4度目の防衛戦
▼15分1本勝負⑥瑞希vsウィロー・ナイチンゲール
▼20分1本勝負⑤上福ゆき&隈取&ハットリ桜vs髙木三四郎&今成夢人&桐生真弥
▼15分1本勝負④アジャコングvs遠藤有栖
▼20分1本勝負
③愛野ユキ&風城ハルvsMIRAI&凍雅
②シン・広田・葛飾さくら&HIMAWARI&芦田美歩vsらく&原宿ぽむ&七瀬千花
▼さとうももデビュー戦(20分1本勝負)①高見汐珠&小夏れんvs神嵜志音&さとうもも
――デビュー前に練習をずっと見ていた荒井選手とついにタイトルマッチをすることになりました。
山下 いつかそういうシチュエーションはあるんだろうなとは思ってましたけど、このタイミングでっていうのは割と特別なのかなみたいなのはちょっと思ったりもしますね。
――当時の荒井選手の素質はどう見ていました?
山下 最初荒井がDDTに出て初めて知ったんですけど、その時に速攻で髙木さんに連絡するくらい、アイドルの子なのにすごい闘う目をしてるなみたいな印象があったんで。この子割と興味あるならいいと思いますけどみたいな感じで連絡をしていたくらいいいなって思ってて。で、そこから1年ぐらい空いたのかな。練習を一緒にするようになって。その時ぐらいからブーツの当て勘とかはいいなって思ってたので、体幹もいいし割とすぐ強くなるんじゃないかなみたいなのは印象としてありましたね。
――山下選手はDDTでのアイアンマンバトルロイヤルには出てないですよね。
山下 見てたんですよ、配信で。伊藤とか上福とかが出てた気がするんですよね。そこで髙木さんに連絡して、形になったって感じですよね。
――本人は「豆腐プロレス」時代などプロレスにおいては劣等生と言っていましたが、実際に練習を始めてそう感じました?
山下 いや、そんな印象はなかったですけどね。割とできてたんじゃないかな。やっぱり豆腐プロレスで練習してたものもあったからだと思いますけどね。
――そこからデビューして、当初はよくタッグを組んでいました。
山下 最初の頃はこれからだなというか、もちろん技量に関してはまだまだだなとは思ってましたけど、その頃からやっぱりリングに立って向かい合った時に強い目してるなみたいなのは思ったので。技量が追いついたら割とすぐ強くなるんじゃないかなみたいなのは思ってました。
――調印式の際も言っていましたが、当時から特に“目”が印象的だったと。
山下 印象的でしたね。強い目してるなみたいな。
――そこまでの強い目はあまり他の選手では感じないですか?
山下 そうですね。いろんな種類あるんですけど、何て言うかまっすぐに闘いを楽しんでる感じというか、執念を感じる目してるなみたいなのは荒井からはよく感じてました。
――ただただ睨みつけてるとかではないと。
山下 ですね。見てくる感じが割と強いなみたいなのはあります。
――山下選手からもそれを感じる時はありますよ。
山下 似てるなとは思いますね。根性がある感じというか。
――ちなみに当時はアイドルもやりながらだったので特別扱い感はありました?
山下 どうなんですかね。まあでもやっぱスケジュールがあるんで、そういうところの調整だったりとかっていうのはありましたけど。割と設営とかもしてましたし、そんなに特別みたいなのは感じなくて。
――では吸収は早い子でしたか?
荒井 早いと思います。あとタフですね。アジャさんと闘った次の日にライブしてた気がするんですよね。それ見てびっくりしてたんで、タフさを感じましたね。ただ都内でやってるだけじゃなくて名古屋で行ったり来たりしてたんで、移動も含めるとやっぱすごい体力だなとは思ってました。
――そこまでしてでも彼女はプロレスしたいという思いだったんですよね。
山下 その気持ちはやっぱり嬉しいですね。結果プロレス一本になっても東京女子を選んでプロレスラーとしてやっていきたいって思ってくれたのはすごく嬉しいなと思いますね。
――荒井選手に対して明確に覚えてるアドバイスなどはありますか?
山下 自分はやっぱり打撃の部分に関して教えてたので、ブーツの角度だったりとかっていうのは結構教えてましたね。あとはFinallyとかですよね。
――ブーツの角度とは?
山下 いろんなブーツがあるじゃないですか。それこそ上福もブーツしてるし、いろんな人がしてますけど。その中でもその違いをやっぱり見せた方がいいと思うっていう意味で。その角度一つ、よりえぐみが出る角度だったりとかっていうのは自分も打撃やってるんでその部分で教えられるものを教えてましたね。
――違いを意識して教えていたんですね。
山下 打撃ってやっぱりシンプルなので、だからこそ差別化、その人が出すならではの味っていうのを出した方が多分いいと思うのでそこは意識させましたね。それが身について、いまは荒井風のブーツになってんじゃないかなと思います。
――ちなみに練習を教えてたっていうのはどのくらいまでですか?
山下 どれくらいだろう…。デビューしてからは通常練習に入ってたので。あとは必要な時に行くって感じでしたね。なので主にデビューするまでです。
――この5年間で駆け上がっていく姿はなかなか想像できなかったと思います。
山下 頑張って駆け抜けてるよなとは思いますね、未詩に勝ってプリプリ背負ってやってる姿を見てても。インターナショナルも取ってましたけど、インターナショナル取ってる姿とはまた違う形で色出せてていいなとも思いますし。そういう意味ではタイトルマッチで闘うのが初めてなので、私と荒井が。そこがまた荒井がチャンピオンで私が挑戦者っていうところも面白いなとも思いますし。
――リーダーから見てのチャンピオンぶりはいかがですか?
山下 本当に素晴らしいです。アメリカでもJ-RODと防衛戦してたし、上福ともそうだし。やっぱいろんな闘いをチャンピオンなりに、チャンピオンだけど挑戦する姿勢というか。それが生きてるなっていう、その印象はありますよね。そこから経験積んでやってってるなっていう。でもまだまだ本人も気づいてない、誰も知らない強い荒井がありそうな気がするんで、そこは引きずり出したいなみたいなのはありますね。
――逆に前哨戦を通して感じた弱みはありますか?
山下 どうですかね…。弱さとかではないんですけど、お互い全部出し切ってない部分、まだ溜めてる部分ってあると思うのでそこの部分のワクワク感はありますね。それを全部引き出して、強い荒井の状態でぶっ倒したいなみたいなのはありますね。
――山下選手自身はこのベルトに約1年ぶりの挑戦になりますが、思いはやはり強いですよね。
山下 強いです。4度取ってますけど、だからこそそのベルトを持っていい部分と悪い部分…悪い部分というかきつい部分、頑張んなきゃいけない部分っていうのがあるので。やっぱタイミングって自分の中ですごく大事だし、求められるものっていうのも多いと思うので。そういう部分でもタイミングっていうのは割とずっと見てたかなと思いますね。
――で、このタイミングになったと。
山下 ちょうどイギリスでベルト取って、一番に浮かんだのがプリプリもこのタイミングで欲しいなと。二冠狙いたいなっていうのはあったんで、それでもう考えましたね。その時ってまだ後楽園で上福と荒井どっちが勝つかわからない状態だったんで、それはもうどっちが相手になっても闘いたい相手だったので。ベルト一直線っていうのはありましたね。
――あの日はイギリスから無理なスケジュールを通して後楽園に来ました。ファンからはどういう声が多かったですか?
山下 その前からそもそもベルトいってほしいですっていうのが結構多かったので、その声も後押しっていうか背中を押してくれたなっていうのはありますね。だからいった後にやっとだって喜んでくれるファンの人たちは多かったかなと思います。
――そろそろ5回目を取ってほしいと。世代交代的な意味も含めて、そこに否定的な声はなかったですか?
山下 それが意外となくて。世代が交代したってなったとしても別に終わりではないので。終わりと思った時点でもう終わりだったんですけど、別に負けて終わりってわけではないから。別にそこに関しては周りがどう思ってもこちらには関係ないかなみたいなのは正直思ってて。なので、あんまりそんなネガティブなことは聞かないですね。SNSでも見ないんで。むしろ私、昔より応援されてると思うんで(苦笑)。
――それはなぜでしょう。
山下 単純に勝ってほしいって思うとか、応援しやすくなったんじゃないかなって思いますけどね。逆に世代抗争になったからこそ、そうなってるんじゃないかなみたいなのは思ったりします。当時は世代が固まってたと思うんで、ベルトに絡んでいくのが初期世代というか。みんなが強くなって回ることで、自分たちの世代も光るようになると思うし…っていう感じのものだと思いますね。割とお客さんもそれに乗ってきてくれてる感じはあると思います。
――なるほど。荒井選手とのシングルは昨年末の秒殺が印象的です。
山下 自分がその前に荒井のことはすごく気になってて、闘いたいなって思ってたタイミングで谷さんが引いてくれたんですごいワクワクして興奮した状態で試合をして。で、いざリングで目を合わせると思ったよりワクワクしなかったんですよね、荒井を見て。そんなに闘う目をしてないな、迷ってんだろうなみたいな、いろいろ考えてんだろうなみたいなのを思って。それって結構闘いに出るので、ああいう結果になったって感じですかね。
――何に迷ってたんですかね。
山下 それは本人次第ですけど自分的にはそう映ったというか。頑張り方というか、頑張りどころを難しく考えすぎてるんだろうなみたいなのは思いました。
―――特にそういう相談は受けたりは?
山下 ないですね。でも割と最初の頃にずっと話とかも聞いてたんで、まあそこにぶつかってんだろうなみたいなのはなんとなく想像はつきましたね。別にネガティブなわけではないんでしょうけど、誰しも考えるのかなみたいなのは思います。何も考えずにやってるわけではないので。それでぶつかって、迷いというか、定まってないんだろうなみたいな印象は受けましたね。
――そのシングルで迷ってる荒井選手を突き落としたと。
山下 ぶっ刺しましたね、はい(笑)。
――ただ、そこから1カ月しないで這い上がってきたわけですね。
山下 そういうとこですよね。多分荒井の強みってそこだと思うんで。悔しい気持ちとか、いろいろそういうところもパワーにできる人だと思うんで。だからこそ、もう2週間もしれないうちの試合で自分が意識されて、サソリで仕留められたって感じだったんで。もちろん悔しかったですけど、来たなみたいな。それだよそれって感じのはありましたね。そうじゃないと面白くないですから、やっぱり。
――結果的にその試合で挑戦権をつかんだ荒井選手が3月の両国国技館でプリプリ王座を手にしました。今度取れば5回目の戴冠になりますがビジョンなどは?
山下 ここでは名前出せませんけど、自分がベルト取ったらすぐ闘いたいなみたいな人はいるんで、1人。そこに行きたいかなっていうのはありますね。…ちょっと振り返ってもらったら多分すぐ出てくる人です(笑)。あんまり私も普段言わないんで、誰かと闘いたいみたいなことは。
――…どのタイミングで言ってました?
山下 去年のプリンセスカップの時に言ってましたね。ただそれがその時にできなかったので。自分は心に残ってるんで、やっぱ闘いたいなみたいなのはあります。チャンピオンになったら言えるじゃないですか。だから自分でそこ行きたいなみたいなのは決めてますし、やっぱ2冠で最多防衛更新したいなみたいな。
――自身が2019年に樹立したV10を更新すると。ただ今回取ることで、初めてリーダーとしてのプリプリ王者が誕生します。
山下 リーダーと闘う時はちょっと自分の中で違うので。リーダーとして闘うというよりは、自分がイチレスラーとして闘うっていう感じのイメージでやってはいますね。
――リングを下りたらリーダーだけど試合は違うと。
山下 その感覚でやってますね。
――それでもリーダーという立場であり、EVEの王者になったことで海外でも試合頻度も増えて相当忙しい時期だと思います。
山下 忙しいですね。ずっとスケジュールほぼほぼ埋まってる感じではありますね。まあでも忙しいぐらいがちょうどいいんで、割と楽しくやってるかなみたいなって。…いやまあ疲れますけど、まあ何もないよりかは疲れるぐらいがちょうどいいなみたいなのはありますね。
――ちなみに過去4回のプリプリ王者時代はそのたびに自分の中でテーマはあったのですか?
山下 ありますね。1回目は思うようにできなかったので反省どころがいっぱいあって。だから2回目はとにかく楽しむこと。いろいろ考えずに楽しむことっていうのでやってて。3回目は余裕がちょっとあったんで、より楽しみつつ視野を広げてちゃんとチャンピオンだからこそ見れるもの、やれるものっていうのを広げていくっていうところをテーマにしていて。4回目も割と一緒ですよね。その頃には海外の試合もあって両国とかもやってたんで、そういうところでしっかり存在感を作れるというか。その3回目までにできてた存在感を超えなきゃいけないっていうところがあったので、そこは更新できるようにっていうのは意識してましたね。
――なるほど。5回目の戴冠へ、前哨戦を含めて荒井選手のサソリ固めがひとつのテーマになっているようなかんじがあります。
山下 やっぱり腰入れられると結構しんどいので、そこはちょっと怖いかなと思いますね。名古屋でも決められそうになってましたけど、自分がプッシュアップして入らないようにはしてましたね。なので研究はしてます。サソリはやっぱ受けたくないのですごく警戒してますね。
――デビュー前にはビッグブーツやFinallyを教えていましたが、そこは教えていない部分ですよね?
山下 はい。最近のは見てるだけなんで、タイミングだったりは本人が選んでやってると思うんで。そこはしっかり見なきゃいけないなとは思いますね。
――では他に荒井選手の脅威はありますか?
山下 うーん…やっぱ似てるところがあるなって思う部分は、追い込まれたら強くなるタイプなんで、そこですよね。追い込まれた時に出てくる荒井には気をつけたいかなって。引きずり出すって言ってたんですけど、そこは気をつけつつって感じで。そこになった時の境地、その境地になった時の荒井優希っていうのがちょっと怖いな、ちょっと危ないなっていう部分はありますけど、それもありつつワクワクしつつって感じ。自分もそのタイプで分かってるからこそやばいだろうなみたいな。でも、楽しい。そこの荒井に会えたら会えたで楽しいなみたいなのはあるので、それをもって蹴り倒したいなみたいなのはありますね。
――お互いにそれが出てぶつかると…。
山下 すっごい楽しい試合になるんじゃないかなみたいなのはありますね。
――ちなみにキャリアの差などは関係なさそうですか?
山下 ですね。やっぱ重ねてきたものっていうのももちろんあれですけど、それこそアイドル自体を換算すれば同じぐらいの時にデビューしてますからね。私は17歳、2013年の時で、本人も2013年くらいにアイドルデビューしたみたいで。多分アイドルキャリアも含めると同じぐらいなんですよ。だから、やっぱりまったく繋がってないことって多分ないんですよ、アイドルとプロレスが。人前で何か表現するとか、闘いの中でもプロレスは伝えるものっていうのがあると思うので。そういう部分では一緒だから、そういうものもひっくるめると経験は形は違えど同じぐらいしてきたのかなみたいなのは思いますけどね。
――どっちみち負けられない闘いなのは変わらないですね。
山下 そうですね。内容も含めて全てで勝ちたいかな、みたいなのは思います。
――もし荒井選手が防衛したら、より団体のトップであることが際立つかなと思います。
山下 勝つにしても勝ち方じゃないですか。内容も大事だと思うので、それもひっくるめて荒井がもし私を倒したら、まあそういう存在になると思うし。まあ、そうはさせませんけどって感じではありますけどね。
――主人公とラスボスのどっちが勝つのか、という見方もできます。
山下 どっちも面白いし、やっぱ広がると思うんですよね、どっちにしても。自分が倒せばまたあの人はめっちゃ来るだろうし。それはそれで話が広がるだろうし。だからどう転ぶかですよね。自分はもちろん自信あるし倒す気でしかないですけど、闘いなんで勝ち負けはあるんで。そこがどっちに何が起きて転ぶのかっていうのはわかんない。その緊張感を含めて闘いだと思ってるんで、そこは自分を信じつつ過信しすぎず、倒しに行きたいなみたいなのはありますね。