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2026-08-04

【連載 泣き笑いどすこい劇場】第40回「プライド」その1

平成15年冬巡業での短距離走の勝負で横綱朝青龍をかわしてトップを走る白鵬。今にして思えばのちの相撲界を暗示していたのか・・・

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女は愛に生き、男はプライドに生きる。
そう言いませんでしたっけ。
確かに、もっとほかに楽な道がいっぱいあるのに、男ほど生き方にうるさい生き物はいません。
とりわけ、勝負に生きる男たちはそうです。
だから、人一倍努力もするし、どんな試練にもジッと歯を食いしばって耐えるんです。
つらいですよね、男って。
でも、だからこそ、人々を引きつけてつけてやまない魅力にあふれていることも確かです。
そんなプライドにこだわる土俵上の男たちのエピソードを集めました。
※月刊『相撲』平成22年11月号から連載された「泣き笑いどすこい劇場」を一部編集。毎週火曜日に公開します。

始まりは短距離走

プライドは負けん気にも通じる。力士たちはみんな、この負けん気が強いが、とりわけ、負けることが大嫌いだったのが横綱朝青龍だった。

平成15(2003)年12月、九州場所後の九州各地を回る冬巡業中のことだった。宮崎県都城市の巡業会場の隣にあるグラウンドで、若い力士たちが面白半分、遊ぶ半分で30メートル競争を始めた。よくある光景と言っていい。

ただ、この30メートル走がちょっと違った色合いを帯びていたのは、この輪の中に朝青龍、白鵬という大相撲を背負って立つ大物、有望力士が加わっていたことだ。ちなみにこのとき、朝青龍は横綱になって5場所目。直前の九州場所では、惜しくも大関栃東(現玉ノ井親方)との千秋楽相星決戦に敗れて賜盃を逃したが、その前の秋場所には4回目の優勝をしている。年齢は23歳。伸び盛り、働き盛り、もうひとつ付け加えれば生意気盛りだった。

白鵬も、当時はまだ幕下だったが、九州場所、9枚目で6勝1敗の好成績を挙げ、翌場所、番付運に恵まれて18歳9カ月という戦後10番目(当時)の若さで十両昇進を決めている。こちらもやる気満々、上を目指して目をギラギラさせているときだった。

「いいか、行くぞ。それっ」

と番付頭の朝青龍の掛け声で力士たちはいっせいにスタートを切った。人一倍、体の大きな集団のかけっこだから、ドスドス、バタバタとまるで重戦車の総攻撃のような賑やかさだったが、ゴールインしてみると、トップはなんと幕下の白鵬で、言い出しっぺで足にも絶対の自信を持っていた朝青龍は微差の2位だった。

大いにプライドを傷つけられた朝青龍。いつものわがままで、「おかしいな。よし、もう1回やろう」と再戦を所望し、強引に名誉挽回の2回戦に持ち込んだ。ところが、またまた結果は白鵬が1位で、朝青龍はその後塵を拝することに。

「なんだ、つまらねえ」

と朝青龍が機嫌を悪くしたのは言うまでもない。このときから朝青龍の白鵬を見る目が違ってきた、と周辺は話している。のちに大相撲ファンを二分する“青白対決”の始まりだった。

月刊『相撲』平成26年2月号掲載

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