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2026-08-12

歴史はアイドルフェスから動き始めた――TIFプロレスが見せた女子プロレスの未来【週刊プロレス】

NGT48・清司麗菜

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東京女子プロレスがTIFに参加する、というニュースは東京女子プロレスの後楽園ホール大会の試合中にサプライズ発表された。

 が、正直、客席の反応は薄かった。個人的には「おおーっ!」となっていたので、ちょっと拍子抜けしたが、ほかの記者から「TIFってなんなの? すごいイベントなの?」と聞かれて合点がいった。プロレスファンにはTIFのなんたるかがわからないから、反応のしようがなかったのだ。

 TIFとはTOKYO IDOL FESTIVAL(トーキィーアイドルフェスティバル)のこと。毎年、フジテレビを中心としたお台場エリアで開催される世界最大のアイドルフェス。トップアイドルから新進気鋭のルーキーまで、とんでもない数のアイドルが参加するので、開

催期間はお台場のかわいい人口密度が急激にアップする。地方を拠点としているローカルアイドルや、メジャーデビューを目指すグループにとって、TIFに参加することは大きな目標であり、参加できたら、それは大きな勲章になる。あらゆるアイドルファンが会場に詰めかけるので、ここで「見つかる」ことでイッキにブレイクできる可能性がある夢舞台。プロレスでいえば、G1クライマックスのような真夏に一大イベントなのだ。

今回のコラボレーションのきっかけとなったのは、TIFが日本のアイドル文化を海外へと発信するプロジェクト「TIF ASIA TOUR」。その中で、アイドルとプロレスという日本発のカルチャーをともに海外へ届ける取り組みとして東京女子プロレスとの連携が始まり、その流れがTIF2026会場内での開催へとつながった。[咲吉1] そんなビックイベントに東京女子プロレスが参戦する。それも会場の一角にリングを常設し、1日2回、3日間で計6回のイベントを開催。リングはオープンスペースに組まれているので、TIF来場者は誰でも無料で観覧可能。というか、たくさんのステージが展開されているエリアの出口にリングがあるので、基本的に移動する際に多くの人がリングの前を通過する。延べ人数でいったら、日本プロレス史上最高の視線がリングを通過していったのではないか(お台場からゆりかもめに乗ると、テレコムセンター駅の手前で車窓にリングが見えるので、TIF観覧者以外の人たちの目にも映っていた!)。

 東京女子プロレスを運営するサイバーファイトの髙木三四郎副社長は「もともと全日本女子プロレスさんはクラッシュギャルズなどを歌手デビューさせて成功するなど、アイドルとの親和性が高かった。だから、このTIFプロレスは昭和からの女子プロレスの正統的な後継イベントだと思うんですよ。しかも全女を中継していたのはフジテレビ。プロレス×アイドル×フジテレビという方程式が成立しているわけです。本当にいろんな方の尽力で実現したんですよ」と語る。

 そう、ただ単にアイドルフェスで女子プロレスを見せるだけでなく、積極的にアイドルとプロレスをリンクさせることがTIFプロレスの大きな特徴。約1時間半のイベントの中でプロレスを2試合とアイドルのライブをリングで披露するだけでなく、いまやプロレス界だけが独占している紙テープ投げをアイドルの登場時にリングサイドの観客が体験できるイベントや、プロレスラーとアイドルによるゲームコーナーなど盛りだくさんの構成になっていた。その中で24時間365日、いつでもどこでもベルトに挑戦できるアイアンマンヘビーメタル級王座が3日間でたくさんのアイドルの腰に巻かれる、という破天荒な展開も話題となった。

 その中でも、もっとも注目されたのがNGT48のメンバー・清司麗菜の「プロレスデビュー」。時間差入場バトルロイヤルという特殊なルールの試合への参戦となったが、デビュー戦とは思えない動きで観客を多いに沸かせただけでなく、わずか1分間だけだがアイアンマンヘビーメタル級王座も戴冠し、あのウルフアロンに次ぐ「デビュー戦でいきなりチャンピオン」という偉業もサラッと実現させてしまった。

 体力自慢の女子を集めたテレビ番組『KUNOICHI』(『SASUKE』の女子版)に出演経験もあり、スケートボードで鍛えた絶対的な体幹を誇る清司。さらにアイドル活動で培ったリズム感と無尽蔵のスタミナをリング上で爆発させたら、プロレスラーとしての才能がイッキに開花してしまった。対戦した選手たちも「ほかのアイドルさんたちはステージ衣装のまま、リングにあがっていたのに、清司さんはわざわざ試合用のコスチュームまで作ってきて、あっ、本気なんだってびっくりしたし、とてもデビュー戦とは思えない動きで二度、びっくりさせられました」と目を丸くした。

 SKE48出身の荒井優希が現在、最高峰王座を保持している東京女子プロレスのリングはNGT48の清司麗菜を完全にウエルカム状態。当の本人は今後のことは未定としながらも「自分の意見を取り入れてもらったかわいいコスチュームを作っていただいたのに、1回しか着ないというのはたしかにもったいないですね。一瞬ですけどベルトも手に入れて、それを奪われてしまったのは、やっぱり悔しいんですよ」。その場に居合わせたプロレス関係者がほぼ全員「逸材」と認定しただけに、ここはぜひ、継続参戦に期待したいところである。

 さらなる波及効果として、清司の応援のためにリングサイドに陣取ったNGT48のメンバーたちが「いままでプロレスを観たことがなかったけど、清司さんがすごくかっこよくて、ものすごくプロレスに興味を持ちました」とリング上で興奮気味に語ったことも特筆モノ。アイドルフェスの会場にリングを常設するという大胆な試みは、プロレスとまったく無縁の人生を送ってきたアイドルたちの意識を大きく変えてしまったようだ。清司麗菜という逸材を発掘したことで、このイベントが令和の女子プロレスの歴史を大きく変える起点となる可能性すら出てきた。いつだって歴史はある日、突然、激変する。その予兆を全女を中継してきたフジテレビのお膝元で感じてしまったのは、もはや運命ではないか、とときめくレベル。今後の清司麗菜の言動に大いに注目したい。(小島和宏)

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