ラスベガス・レイダースが現地8月20日、テキサス州ヒューストンでのアウェー戦でヒューストン・テキサンズを22-20で下した。第1クオーター(Q)だけで17点を失う苦しい立ち上がりから、後半に19点を挙げて逆転した。キッカーのKansei Matsuzawaこと松澤寛政は、第3QのTFPを成功させ、日本国籍の選手として初めてNFLの試合で得点を記録。ただし第4Qに2本を外し、この日のTFPは3本中1本だった。プレシーズンは第1週から3試合が3週連続で組まれ、レイダースは開幕ロースターが決まる最終カットまで残り1試合。ベテランKマット・ゲイとの争いにあって、松澤にとっては評価を左右する一戦となった。【北川直樹】ラスベガス・レイダース ○22-20● ヒューストン・テキサンズ(リライアント・スタジアム)ピック6が生んだ17点差、内容と裏腹の前半試合を動かしたのはテキサンズだった。第1Q残り10分6秒、RBウディ・マークスが20ヤードを走り切って先制する。
続く展開で、レイダースは大きなアクシデントにあう。今季ドラフト全体1位指名のQBフェルナンド・メンドーサが投じたパスを、テキサンズのLBウェイド・ウーダズがインターセプト。80ヤードを走り切られ、残り8分18秒に0-14とされた。さらに残り3分4秒、Kカイミ・フェアバーンに51ヤードのロングフィールドゴール(FG)を決められ、第1Qだけで17点を失った。
レイダースの反撃は第2Q。残り13分34秒、ゲイが52ヤードのFGを成功させて3点を返す。しかし第2Q終了間際の残り38秒、フェアバーンに57ヤードのFGを許し、3-20で前半を折り返した。
前半、キッキングはすべてゲイが担当している。試合開始のキックオフを蹴ったのもゲイで、松澤はヘルメットを外したままサイドラインで待機していた。
松澤が刻んだ1点、キックオフは62ヤード後半、レイダースが息を吹き返す。
第3Q中盤、QBエイダン・オコネルのショートパスと相手のパスインターフェアランスで敵陣深くへ進むと、RBディラン・ラウビーが14ヤードのパスを捕ってゴール前4ヤード。残り4分57秒、そのラウビーが自ら走り込んでタッチダウン(TD)を奪った。
このTFPで、松澤がフィールドに送り出された。蹴ったボールはやや右にそれながらもポストの間を抜け、日本国籍の選手として初のNFL得点が記録された。
続くキックオフは62yd。松澤は第1戦のアリゾナ・カーディナルス戦で、キックオフがランディングゾーンに届かず反則を取られていた。記録は41yd。1週間で飛距離の課題を解消してみせた形だ。
4QにTFPを2本、いずれも右へ逸れるしかし第4Qで2本のTFPを落とす。
残り7分36秒、RBデア・オグンボウェイルの19ヤードTDランのあとのTFPが右へ外れた。さらに残り14秒、オコネルが自ら1ヤードを走って決勝のTDを奪った直後のTFPも、同じく右へ外した。高さはいずれも十分で、方向だけが同じ側に狂った。
この日のFGはゲイが担当し、松澤にトライは回ってこなかった。キックオフは3本すべてを蹴り、62ヤード、61ヤード、60ヤードといずれも60ヤードを超えている。相手のエンドゾーンの手前に落とすコントロールはうまくいっていた。
レイダースは後半をテキサンズ無得点に抑え、19点を挙げて逆転した。
400対219、数字が示す逆転の必然ゲームスタッツは、前半のスコア差と乖離していた。
総獲得ヤードはレイダースの400ヤードに対しテキサンズが219ヤード。パスは241ヤード対141ヤード、ランは159ヤード対78ヤード、ファーストダウンは22対13。いずれもレイダースが大きく上回っている。時間の支配も30分35秒対29分25秒でレイダースだった。
それでも前半を17点差で折り返したのは、ウーダズに与えたピック6が大きい。ターンオーバーはレイダース1、テキサンズ2。数字の上では圧倒しながら、1本のインターセプトが17点差を生んでいた計算になる。逆に言えば、ターンオーバーの傷が癒えた後半に地力が出た試合だった。
サードダウン成功率はレイダースの4/12に対しテキサンズが7/17。反則はレイダースが9回83ヤード、テキサンズが4回25ヤードで、レイダースの規律面には課題が残った。オコネルは15/24、166ヤードを記録している。
松澤に目を移すと、2試合を通して課題の所在が分かる。第1戦のキックオフは41ヤードで届かず反則。この日は3本すべてが60ヤード超。飛距離、コントロールは改善された。一方、第1戦の38ヤードFGは右のアップライトに当てて失敗しており、この日のTFPも成功した1本目を含めて3本すべてが右に流れた。
2試合で蹴った4本のキックが、いずれも同じ側へ外れている。タイミング、コンビネーション、コンディションなど、想定される影響はいくつかあるだろう。ただし、本人はそのことについては頑なに口にしない。ハワイ大学時代に正確無比なキックを積み上げてきた松澤は、難しい局面にいる。
レイダースのユニフォーム、ヘルメットを身につける松澤寛政(撮影:北川直樹)残り1試合、ロースター最終カットへレイダースのプレシーズンは、現地27日のサンフランシスコ49ers戦が最終戦となる。プレシーズンにバイウィークはなく、第1週から3試合が3週連続で組まれている。
この試合を終えると、各チームは登録を53人に絞る最終カットに入る。キッカーのイスは基本的にチームにひとつ。松澤に残された実戦は、あと1試合しかない。
日本国籍の選手として、初めてNFLで得点を挙げた歴史的な日。27歳が、その先へ進めるかどうかは、次の一戦にかかっている。