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2026-09-21

【相撲編集部が選ぶ秋場所9日目の一番】藤ノ川が2敗対決で琴櫻を倒しサバイバル。V争い中心へもジリッと接近

最後は藤ノ川の体も飛んだが、琴櫻の体が先に土俵に落ちて、藤ノ川が2敗をキープ。優勝争いの上でも、だんだん中心的存在に近づいてきた⁉

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藤ノ川(上手投げ)琴櫻

「後手後手だと、自分は誰にも勝てないので。止まらないことだけを考えていきました」
 
その気持ちから引き出された思い切りのよさが、白星を引き寄せた。
 
関脇藤ノ川が2敗対決で体重差58キロの大関琴櫻を上手投げで倒し、優勝争いの上でもサバイバルに成功した。
 
対横綱戦にはめっぽう強いことで知られる藤ノ川だが、この日の相手の大関琴櫻とは過去1勝2敗。うまく起こして突き出したこともあるが、やはり体格差の大きいこの相手は難敵だ。
 
立ち合い、藤ノ川は早く踏み込んだが、この日は前へ出ようという意識を強く持っていたことがうかがわれる大関にはね返された。右差しはならず、はじかれる形であっという間に土俵際だ。それでも何とか左に回ってイナシながら残すと突いて起こしに出た。なおも前への攻めを継続する琴櫻が突き返したあと左四つ。琴櫻は下手、藤ノ川は上手に手を掛けた。
 
このまま止まってしまえば、やはり体格に勝る琴櫻が有利になるはず。藤ノ川は完全にホールドされる前に勝負をかけた。右に回ると思い切って上手投げ。少し腰を引き加減に組んでいた琴櫻は体を寄せ切ることができず、最後は藤ノ川の体も飛んだが、先に琴櫻の体が土俵に落ちた。

「(相手が先につく)手が見えたんで。慌てたというか、ヒヤッとした。立ち合いは組み止めにくるかと思ったけど、突っ張ってきた。うまく回り込めた」

と藤ノ川は取組を振り返った。
 
琴櫻のほうは、この日は攻めようとする意識を見せたのはよかったが、まあ結果論で言えば、組んですぐに下手の引きつけと右からの抱えで完全に相手の体をホールドしきれなかったところに敗因が求められることになるか。
 
この日はこの対戦で敗れた琴櫻のほか、2敗勢に多く黒星がつき、一方大の里は、引き技を出す形になりながらも1敗をキープ。1敗の単独トップに大の里、2敗で熱海富士、藤ノ川の両関脇、平幕の美ノ海、金峰山が続く形となった。
 
本命大の里、対抗熱海富士という優勝争いの図式は変わらないが、この日のサバイバル戦に勝ち残ったことで、藤ノ川も「カギを握る存在」から、だんだん自らが主役に近い位置へと参入してきた格好。本人は「(優勝争いは)まだまだ。13日目くらいなら考えるけど、まだ勝ち越してない。気を抜かずに頑張ります」と、むしろ発言は慎重になりつつあるが、もともとこの場所は、「二ケタを狙いたい」と言って入った場所であり、初日にこれまで対戦成績5連敗していた義ノ富士に勝ったときも「苦手とか言ってられない。そこに勝たないと二ケタ勝っていけない」というコメントもしていた。これで7勝。藤ノ川はその目標を、自らの力でしっかりと引き寄せつつある。
 
きのうも書いたとおり、藤ノ川はまだ上位で二ケタ勝利したことはなく、またその体の小ささもあって、見ているほうは「優勝争いとなるとどこまでいけるか……」というようについつい枠をはめて見がちだが、本人にとっては、そんな枠など存在はしないし、もしそこで自らの可能性に枠をはめるような性格なら、プロの力士の道には進んでいないだろうし、ここまで強くなってもいないだろう。そんな気持ちの持ちようこそ、藤ノ川にとっての最大の武器なのだ。

その武器を手に、189キロの大の里や197キロの熱海富士との優勝争いに斬り込んでいく勇姿を、ここから先もワクワクしながら見守りたい。

文=藤本泰祐

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