※写真上=髙安を左半身の守りの姿勢にさせ、長い相撲を制したのは苦労人・竜電だった
写真:月刊相撲
自己最高位の西前頭3枚目まで躍進した竜電。初めての上位総当たりとなった今場所は、さすがに家賃が高く、1勝5敗と苦戦していた。
この日、対戦する髙安は同じ二所ノ関一門の大関。普段から目をかけてもらい、巡業などで稽古をつけてもらっている。勝って恩返しをしたいところだ。
軍配が返り、両者が激しくぶつかり合う。髙安のカチ上げに威力がなく、すぐに右上手、横ミツのいいところを取った竜電。髙安は左半身の守りの体勢で我慢。竜電が圧力をかけるが髙安は動かない。
髙安としては相手が疲れるまで辛抱するしかなかったが、腰痛持ちだけに我慢できず強引な左下手投げ。これで竜電の重心がさらに下がり、頭をつけられ左前ミツも許してしまった。絶体絶命の体勢でも粘った髙安だが、1分59秒、ついに力尽きて土俵を割った。
全勝だった貴景勝が敗れており、勝てば1敗でトップグループに入る髙安だったが、敗れて支度部屋では無言。
ケガで回り道をした竜電は大関初挑戦で勝利し、「(辞めずに)やってきてよかった」と涙を流して喜んでいた。
文=山口亜土