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2020-06-11

世界のトップスイマーが語る試合への臨み方

世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス。東京五輪も延期となり、スポーツ界、水泳界にも甚大な影響を与えた。果たして、世界のトップスイマーはどう対処するのか。女子自由形短距離の第一人者であるケイト・キャンベル(オーストラリア)に、試合への臨み方とともに、東京五輪へ向けた心構えを聞いた。

写真上/ケイト・キャンベルは新型コロナウイルスの影響で泳げない中でも、常にポジティブな姿勢を見せた(写真◎Getty Images)

勝利するための思考

 競泳だけではなく、どの競技でも言えることだが、本番で実力を発揮するということは、最重要課題ともいえるだろう。ケイト・キャンベル自身、2016年リオ五輪では女子50、100m自由形の優勝候補と言われながら、個人種目ではメダルなしに終わった苦い過去を持つ。その経験から「精神面で成長することができた」とも言う。一体、どのようにして試合に臨むようになったのだろうか。

「ウォームアッププールに向かう前の心構え、ウォームアップ中のレースに対する集中力の高め方、落ち着き方。自分が取るべき姿勢を書き出していきます。私はレースのちょうど1時間前にウォームアップを終えるのですが、そこからレースまでの道のりもすべて決めています。例えば聴くミュージックなどまで、細かくビジュアライゼーション(可視化)しています。このルーティンを磨くことで、ネガティブな思考を追い出し、『今』に集中できるようになるのです。ここ!というレースで、将来のことを気にしてはだめです。『今』に集中し、生きるのです」

 ウォーミングアップに向かう段階からレースまでの行動を書き出し、それを実行することで集中し、余計な感情が入る余地を作らないようにする。ただ、それは自分がコントロールできることに集中するのだ。
 それは、新型コロナウイルスの影響で練習できない現在にも置き換え、活用できるという。

「例えば、今の新型コロナウイルスのパンデミックも同じことです。自分でコントロールできることには限りがあります。だけど、私たちはコントロールできないものに嘆き、自分を傷つける方向で考えるクセがある。そういうときは、自分がコントロールできることを紙に書き出すとよいでしょう」

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