15日、東京辰巳国際水泳場で第36回コナミオープンが行なわれた。女子200m平泳ぎは渡部香生子(JSS)が優勝。苦しんだ2019年から、着実に歩みを進めている。
写真上/女子200m平泳ぎを制した渡部(撮影◎菅原淳/スイミング・マガジン)
前半100mは現在の平泳ぎの第一人者である青木玲緒樹(ミズノ)から1秒22遅れの1分9秒90で折り返した渡部だったが、得意の後半に入り100mから150mでその差を0秒37まで縮めると、最後はきっちりと逆転し、2分24秒77で制した。
「最後は少しへばってしまいましたが、競り勝てたことは4月(の日本選手権)に向けても、これからの練習の中でもモチベーションになります」
東京五輪代表選手選考会となる日本選手権へ、自信を深めるレースとなった。
昨年は苦しいシーズンだった。光州世界選手権最終選考会となったジャパンオープンでは、優勝したにもかかわらず代表権を得ることができずに、表彰台の真ん中で号泣した。
東京五輪へ向けて動き出した8月末には、陸上トレーニング中に手をついた際に左肘を骨折。ケガ自体は治ったものの、まだ腕を伸ばしきることはできない。練習できない期間があったため、冬季の強化のための泳ぎ込みも万全とは言い難い。復帰戦となった2週間前に同じ辰巳国際水泳場で行なわれたKOSUKE KITAJIMA CUPでは、200m平泳ぎで2分26秒62だった。
それから合宿を経て挑んだ今大会。
「タイムが出るか不安もありましたが、思い切ってやらなければ、出るものも出ない。練習はしっかりできていたので、できることをやろうと思って、今大会には挑みました」
4月の日本選手権へ向け、肘を伸ばしきることよりも、筋力を戻すことを優先した。肘が伸びきらない状態でも泳げるように取り組んでいる。
最初は自分の思うように動かないことにもどかしさがあったというが、最近は肘が曲がった状態で泳ぐことにも慣れてきた。徐々に肘も伸びるようになってきており、違和感もほとんど無くなった。
「伸びないことは仕方がないし、今ある自分の体でできることをやらないとどうしようもない。現在、自分が動かせる中でどれだけ状態を上げることができるか。ポジティブにできていると思います」
勝負の日本選手権まで残り1カ月半、時間は少ないし、やることは山ほどある。それでも悲観することは無く、しっかりと前を向く。
「最後のスタミナの部分もそうですが、前半の入りが今回は思ったよりも速くなかった。スピードの面でももう少しやっていかないといけません。もちろん、持久力も継続して強化します」
2015年世界選手権では同種目で金メダルを獲得した渡部。東京五輪派遣標準記録の2分24秒18も視野に入った。完全復活の日も、そう遠くはなさそうだ。
文/早川大介(スイミング・マガジン編集部)
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