ワールドアスレティックス(世界陸連)のセバスチャン・コー会長が4月上旬、ビデオ会見方式で「陸上競技マガジン」を含む世界の陸上競技数媒体の取材に応じた。昨今の世界情勢を踏まえ、質問は多岐にわたった。
上写真/現在の世界情勢のなか、陸上競技の今後について語ったコー会長
撮影/Getty Images
世界で蔓延する新型コロナウイルスの影響は多くの人々の生活や業務に支障をきたすなか、現在63歳のコー氏も「最近はこうしたオンライン会議システムにも慣れてきた」と冗談を交えつつ、イギリスの自宅から1時間以上にわたって記者たちの質問に答えた。「幸い、私も私の家族も健康です」と冒頭で述べつつ、新型コロナウイルスに感染した自国のボリス・ジョンソン首相(後に退院)の例を挙げ、陸上界のみならず社会全般を憂慮している様子を伺わせた。
世界陸連の会長としては、東京オリンピックの延期、それに伴い来年開催予定だった世界選手権の1年延期というカレンダーに大きな変更が生じたため、「パズルをもう一度組み直さねばならない状況」だとし、世界陸連をはじめ各国、各地域の陸連が苦慮していると話した。一方で、東京オリンピックや22年世界選手権の他にも、23年の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)や24年のパリ・オリンピックなど、大規模な国際大会が今後数年、連続して行われることで「われわれの競技がスポーツ界の中心たる位置に来る」可能性について言及。「現在、世界は苦境にありますが、これを乗り越えられればわれわれの競技にとって良い状況が待ち受けていると信じている」と語った。
世界陸連としてはいつの段階から新型コロナウイルスが現在のような世界的危機になる可能性があると認識していたかについて、コー会長は「私も皆さんと同じように毎日、朝起きて新聞を開いたり、メディアを通してこのコロナウイルスというのものの脅威が徐々に大きくなっているのは感じていました」と話した。オリンピックの延期が本格的に議論される1週間ほど前に行った世界陸連内での協議では、世界陸連や陸上選手がどんな意見を述べようとも、この収束時期の見えないウイルス禍では延期という裁定が下れば「それに従わざるをえない」という結論に達したという。
「延期の結論が出る1週間ほど前からこのコロナウイルスとの戦いに、われわれは今すぐには勝てないだろうという認識を持っていました」
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