11月4日(日)愛知県・熱田神宮から三重県・伊勢神宮への106.8km8区間で行われる全日本大学駅伝対校選手権は、25大学が日本一の座をかけ激突する(ほかにオープン参加2チーム)。10月に行われた出雲駅伝を制し学生三大駅伝(出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝)で三冠を目指す、優勝候補の青山学院大をエントリー選手から展望していく。
※写真上=出雲駅伝で優勝した青山学院大
写真/太田裕史(陸上競技マガジン)
全日本大学駅伝は今年から各区間の距離が大幅に変わった。各チームとも手探りの部分は多少なりとはあり、区間配置、展開などが三大駅伝でもっとも読みにくくなっている。まずは前回までと今回からの距離変更をみてみよう。
区間 | 前回 | 今回 |
---|---|---|
1区 | 14.6 | 9.5 |
2区 | 13.2 | 11.1 |
3区 | 9.5 | 11.9 |
4区 | 14.0 | 11.8 |
5区 | 11.6 | 12.4 |
6区 | 12.3 | 12.8 |
7区 | 11.9 | 17.6 |
8区 | 19.7 | 19.7 |
8区以外の7区間で変更があり、後半に行けば距離が延びる傾向にある。一見すると後半が重要に見えるが、駅伝の基本戦術ともいえる先手必勝と最長区間の8区にエース格の選手を配置するパターンは不変だろう。
昨年までは1、2、4区に主力を投入し流れを作り(3区は主にスピード型の選手や1年生)、8区にエースを投入するというのがよく見られる作戦だった。
今年は1区から3区で主導権を握るために主力を、8区にエース格を投入するのが基本となりそう。そこでポイントとなるのが17.6kmと2番目に長い区間となった7区だ。主力級の選手を配置する区間が増えるだけに、7区にどんな選手を置けるのか。選手層の厚さがポイントとなりそうだ。
そうなると、俄然、有利になるのが青山学院大だ。
[青山学院大エントリーメンバー]
【4年】小野田勇次、梶谷瑠哉、橋詰大慧、橋間貴弥、林奎介、森田歩希
【3年】鈴木塁人、竹石尚人、吉田祐也
【2年】岩見秀哉、神林勇太、吉田圭太
【1年】湯原慶吾
出雲駅伝では1区で橋詰がトップに立つと、2区でも鈴木が区間賞、3区は森田が区間2位と、原晋監督が「三本柱」と呼ぶ3選手の好走でがっちりと首位固め。4区でも三大駅伝初出走となった吉田圭が区間賞、5区はスピードランナーの生方敦也(3年)が区間2位、最終の最長6区でも竹石が区間2位と最後まで1度も先頭を譲ることなく2年ぶり4回目の優勝を果たした。
今回は生方を除いた出雲出走の5人に加え、箱根駅伝の6区山下りで絶対的な強さを誇る小野田、昨季の箱根駅伝MVPにあたる金栗杯を獲得した林、出雲駅伝にエントリーされながら出走できなかった選手で行われる出雲市記録会5000mで13分58秒70のトップだった神林もエントリーされ、これだけで8人の名前が上がる。さらには梶谷、橋間は昨季の箱根駅伝優勝メンバーで、吉田祐は日本インカレ10000m3位(日本人トップ)の実力者。岩見、湯原の下級生も次代を担う実力を備える。
選手層では他のチームの追随を許さない。区間数が増えていくにつれ、青山学院大のアドバンテージは大きくなると言っても過言ではないだろう。
原監督は森田、橋詰、鈴木の三本柱は三大駅伝すべてで起用すると明言しており、この3人は故障がない限り今大会も出走するだろう。区間配置はこれだけコマがそろっているから思いのままだ。
オーソドックスに区間配置を予想すれば1区・橋詰、2区・鈴木と出雲と同じ流れで主導権を握り8区に森田か。前半重視であれば1~3区に出雲と同じく三本柱を並べても、7、8区に単独走でもたんたんと走れる林に、「今季、箱根で山の神になりますよ」と原監督が太鼓判を押す竹石と実力者を起用できる。後半重視であれば7、8区に森田、鈴木を残すパターンも可能だ。
出雲を優勝し勢いに乗る青山学院大。全日本を制し、三冠に王手をかけることができるか。
文/早川大介
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