愛知県・パロマ瑞穂スタジアムで10月19~21日にわたって、U20日本選手権(20歳以下)が開催。女子走幅跳はインターハイ女王の高良彩花(園田学園高3年)が頂点に立ってシーズンを締めくくった。その強さの裏には、勝ち続ける者の葛藤と国体での悔し涙があった。
写真上=U20日本選手権で優勝した高良彩花(写真/椛本結城)
女子走幅跳でインターハイ3連覇、日本選手権2連覇を果たしている高良彩花(園田学園高3年・兵庫)が、20歳以下が出場するU20日本選手権でもその強さを発揮した。
1回目に6m03(+2.3)を跳ぶと、2回目に6m14(+1.1)、3回目に6m20(+1.8)と計ったかのように微調整して距離を伸ばす。さらに、4回目に6m22(+1.7)をマークし、5回目には大会記録(6m30、高松仁美/1993年)に迫る6m29(+1.5)を跳んだ。
今シーズンの最大目標にしていたのが、自身と中野瞳の持つ6m44の高校記録の更新。最後の6回目も、リズムの良い助走から踏み切ったが6m27(+1.5)と、目標には届かなかった。それでも、その強さに会場から温かな拍手が送られた。
「高校記録を更新する最後のチャンスだったので少し悔しいです。調子も戻ってきていたので、少し記録には期待したのですが……。6m29のときは、悪いクセである空中動作で右脚が上がらず、着地で先に落ちていました。それでも、今までで1、2番目といえる安定感だったので良かったです」
少しホッとしたように笑顔で振り返った。
高良は中3の全日中優勝、インターハイ3連覇、日本選手権2連覇と、これまで圧倒的な強さを誇ってきた。国際大会でも活躍し、今年6月のアジアジュニアで6m44の高校タイ記録を跳んで金メダルに輝くと、7月のU20世界選手権ではこの種目史上初の銀メダルを獲得した。
勝ち続けてきたからこそ、苦しみもまた大きかった。3連覇を目指してきたインターハイのあとは「気持ちが切れてしまった」という高良。練習でもこれまでのように身が入らず、なかなか調子を上げられずにいた。テレビの密着ドキュメント取材も、少し距離を置いてもらった。
そして、2週間前の国体。1、2回目ファウルのあと、3回目も距離を伸ばせず、まさかのトップ8に入れず敗戦してしまい涙を流した。勝って当たり前、自ら記録を常に目指してしまう葛藤と重圧は相当なものだった。だが、高良は再びそこから這い上がる。
「国体は少し重心が後ろになってしまっていたので、助走がなかなか乗っていかなかったんです。ファウルが続いて焦ってしまって、最後も攻められませんでした。その悔しさがあったので、U20に向けて、もう一度頑張ろうと練習してきました」
気持ちで負けていてはいけない。密着取材も再び受け入れ、戦う姿勢を取り戻した高良は、やはり強かった。
「ずっと勝っているようですが、1年生のときは国体でも中学生に負けていますし、U18日本選手権も9位。結構、負けたのをバネにしているんです」
悔しさを糧にする力こそ、高良彩花の真骨頂だ。
「1年目でまさかインターハイを勝てると思わなくて、2年目は日本選手権も勝ってビックリの年。今年は不安も大きくて苦しみましたが、国体で負けてからもう一度、日本一になれたので良かった」
来年は大学に進学して競技を続ける予定。「自己管理をしっかりして、6m50、それ以上を狙えるように頑張ります」。高校新記録=U20日本新記録の6m45以上はお預けとなったが、この悔しさもまたバネにしてU20日本新記録の大ジャンプにつなげるはず。
「苦しい時期、負けたときも声を掛けてくださった方に感謝したいです。自分としては、最高の3年間だったと思います」
“園田”のハチマキを巻き、「いきまーすっ!」と飛び出し、数々の快挙を高校陸上界に刻み続けた157㎝の小さな巨人の3年間は、爽やかに幕を閉じた。
文/向永拓史
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