前回は東海大が10年ぶり4回目の優勝。關がフィニッシュテープを切った(写真/陸上競技マガジン)
出雲駅伝は三大駅伝のなかでも最も距離が短く、スピード駅伝とも言われる。前回は現3年生にタレントをそろえた東海大が、16年度の三冠王者・青山学院大を抑えて10年ぶり4度目の頂点に立った。
今回も東海大と青山学院大が勝負の中心となりそうだ。
連覇を狙う東海大は【4年】湊谷春紀、湯澤舜、【3年】鬼塚翔太、郡司陽大、關颯人、館澤亨次、西川雄一朗、中島怜利、髙田凜太郎、【1年】須崎乃亥というエントリー。關、鬼塚、館澤の3年生3人がチームの軸となる。一方で主力では三上嵩斗(4年)、阪口竜平(3年)が外れた。
アジア大会1500m代表の館澤はここまで順調で、距離の短い出雲駅伝では強さがより引き立つだろう。エース格の關はシーズン前半にケガがあり出遅れたが夏前には回復。9月23日の故障明け最初の記録会では5000m13分53秒46で走り復調をアピールした。鬼塚は夏前までは順調にきていたが、9月上旬の日本インカレはエントリーしていたものの回避した。關、鬼塚の状態が勝負のカギを握りそうだ。
昨季、箱根駅伝で4連覇を達成した青山学院大は【4年】梶谷瑠哉、橋詰大慧、森田歩希、生方敦也、【3年】鈴木塁人、竹石尚人、【2年】神林勇太、吉田圭太、【1年】飯田貴之、湯原慶吾というエントリー。大エースと呼べる存在はいないかもしれないが、全選手のレベルが高く穴のない布陣だ。
主力でメンバーから外れたのは箱根駅伝6区山下りで驚異的な強さを誇る小野田勇次、昨季の箱根駅伝でMVPに当たる金栗杯を受賞した林奎介(共に4年)だが、故障ではなく、チームの戦略上のこと。層の厚さが伺える。
軸となるのは昨季の箱根駅伝でエース区間の2区で区間賞を獲得した森田、今季5000mで日本人学生トップの13分37秒75をマークしている橋詰、そして来季のエース候補の鈴木の3人。この3人が主要区間を担うことになるだろう。
前回はスピードで勝る東海大が先手を取り、最長区間(10.2km)の最終6区で關が逃げ切った。ただ、今回は青山学院大にはスピードのある橋詰がおり、激しい主導権争いが繰り広げられそうだ。
また、最長6区を誰が走るのかもポイントになるだろう。青山学院大は森田、鈴木であればこの距離を苦にせず走ることができる。スピード型の選手が多い東海大は昨年区間賞を獲得した關が同様に走ることができれば万全だが、シーズン前半のケガの影響で、どこまで練習が積めているか。他の選手が走るにしてもできるだけリードを奪っておきたいところだろう。
青山学院大、東海大に続くのは東洋大だ。昨季の箱根駅伝で1~3区を走り、往路優勝の原動力となった西山和弥(2年)、相澤晃(3年)、山本修二(4年)が今季も主力。序盤でリードを奪い、東洋大らしい粘り強い走りをすることで箱根駅伝往路の再現を狙いたい。
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