※写真上=初の賜盃を抱き、後援者らと記念撮影する貴景勝。右は父・佐藤一哉さん
写真:月刊相撲

 最終的に3横綱、1大関が休場した九州場所は、小結の貴景勝が13勝2敗で初優勝。部屋が消滅し、千賀ノ浦部屋へ移籍となったが、精神力の強さを見せてくれた。小結の優勝は平成12年夏場所の魁皇(現浅香山親方)以来、18年半ぶりだった。

 貴景勝は秋場所も小結で9勝しており、来年初場所で11勝すれば、大関昇進の目安である三役で3場所33勝に届く。しかし、八角理事長(元横綱北勝海)は大関取りの場所になると明言しなかった。今場所、横綱不在だったこともあるが、来場所は九州のようには勝てないと思っているのではないだろうか。

 九州場所の貴景勝は徹底して突き放し、自分の距離で戦った。そして、相手が出てくるところをタイミングよく左から突き落とし。この技が猛威を振るった。だが、来場所の対戦相手は皆、研究してくるだろう。やはり、突き切る、押し切るだけの馬力がもっとほしい。

 途中休場した稀勢の里については初日の相撲がすべてだった。貴景勝に負けた上に右ヒザを負傷。2日目以降は本来の相撲が取れなかった。ただ、横綱ならば、少々悪いところがあっても勝たなければいけない。ケガを補う地力もなくなっている。今辞めたら悔いは残るだろうが、そろそろ腹をくくらなければ。悔いなく現役を辞める力士は、ほとんどいないのだから。

 秋場所の三賞は史上初の該当力士なしだったが、今場所は平幕力士の奮闘が目立った。それなのに優勝した貴景勝が殊勲と敢闘のダブルで、11勝の阿武咲が敢闘賞をもらっただけだった。隠岐の海碧山も11勝している。師匠の阿武松審判部長(元関脇益荒雄)に気を遣ったのか?

 プロが選ぶのだから、番数だけでなく内容も重視してほしい。西7枚目の松鳳山は14日目までに9勝。千秋楽は大関栃ノ心と当たっていた。勝てば白星も二ケタに乗る。何よりも今場所の松鳳山は、地元でいい相撲を見せたいと気持ちがこもっていた。見ている者の魂が揺さぶられる相撲を取っていた。絶対に条件付きでも敢闘賞候補に挙げなければいけなかったはずだ。

文=山口亜土

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