初日から3連敗を喫していた新十両の魁勝(かいしょう)がうれしい初勝利。胸を張って花道を引き揚げてきた。
※写真上=右で廻しを取り、形勢を逆転させた魁勝(左)。左下は魁勝の師匠・浅香山親方
写真:月刊相撲
「うれしいです。全敗するかもと思っていたので、ホッとしました」と満面の笑み。この勝利は十両昇進が決まったときよりもうれしかったかもしれない。
先場所は西幕下4枚目の4勝3敗で、新十両をあきらめていたところに朗報が届いた。うれしいというよりも、驚いたというのが本音だろう。元大関魁皇の浅香山部屋からは初めての関取誕生で、本人よりも師匠の喜びのほうが大きかった。
4日目の対戦相手は3連勝中の押し相撲が得意な木﨑海。立ち合いの当たりが強烈な力士で、「吹っ飛ばされないようにと思っていました」と言う。立ち合いからの流れは、木﨑海に先手を取られ防戦一方だったが、必死に残して右で廻しを取ると頭をつけて形勢逆転。師匠の浅香山審判が座る向正面に寄り切った。
「土俵下に座ったときに、師匠がいることに気がついて緊張しました」と語る魁勝。浅香山親方は顔色ひとつ変えなかったが、内心は飛び上がりたいぐらいうれしかったはず。
その師匠からは、「ワキが空いているから、ワキを締めて思い切りいけ」と言われていた。アドバイスどおり、ワキを固めて下から廻しが取れた。
集まった報道陣は、魁勝に四股名にかけた「快勝です」と言わせたがったが、「今日は快勝じゃないです。『快勝です!』と言えるような相撲が取りたいですね。1つ勝ったので、残りは思い切りいけそうです」と初々しかった。
文=山口亜土