10月14日(月・祝)の出雲駅伝を皮切りに、2019-20駅伝シーズンがいよいよ開幕する。出雲駅伝は6区間45.1kmの“スピード駅伝”だ。昨年度の三大駅伝すべてで区間賞を獲得し、出雲では4区を担って青学大の優勝に貢献した吉田圭太(3年)。9月の日本インカレ5000mで自己ベストを更新した吉田には、青学大のエースとしての自覚が芽生えている。※吉田の吉は「土」に「口」
取材・文/生島淳 写真/藤井勝治

MGC組との練習が刺激に

出た、自己ベストが。

日本インカレの5000m、青山学院大の吉田圭太が両手でガッツポーズを作ってゴールした。タイムは13分43秒54。自己ベストをマークした吉田は日本人トップとなる3位に入り、押しも押されぬ青学大のエースであることを証明した。

夏から秋にかけて充実の度合いを深める吉田だが、今年はとにかく忙しかった。お正月の箱根駅伝では9区を走って区間賞。これで学生三大駅伝すべてのレースで区間賞を獲得することになった。2月に学年末の試験を終えると、自身が学ぶ地球社会共生学部で課せられた海外留学のため、同級生の神林勇太とともにニュージーランド留学に旅立った。

「結構、キツかったですよ。月曜から金曜まで、学校が朝の9時から午後の3時くらいまであり、帰ってから神林と練習。夜は食事をして寝るだけの生活です。学校への行き帰りは、丘がふたつある片道8㎞の道を自転車で通いました。まるで、高校の部活みたいで(笑)」

最初の2か月ほどは、海外の環境に適応するためのストレスもあったが、4月には兵庫リレーカーニバルに参加するための一時帰国を挟みながらも、環境に慣れ、淡々と練習に取り組むことができたという。

「向こうはちょうど夏から秋に変わるころで、気候はよかったですね。ニュージーランドは人が少ないし、クッション性の高い芝生がある公園が多いので走りやすかったです。でも、ちょうどラグビーシーズンが始まるころで、公園ではどんどんラグビーの練習をする人が増えていきました(笑)」

途中には日本陸連のマラソン合宿のメンバー、世羅高校、そして大学の先輩でもある藤川拓也(中国電力)、MGCで2位に入り、東京オリンピックの切符を獲得した服部勇馬(豊田自動車)などと一緒に練習をする機会もあった。

「マラソンで世界を目指す人たちはスタミナが違うなと実感しました。午前に30㎞走をやって、僕なんかヘトヘトになっているのに、午後になるとジョグに行くんですよ。ものすごく刺激になりました」

画像: 岐阜・御嶽合宿で

岐阜・御嶽合宿で

「地力がついたのかな、という自信になりました」

そして7月になってようやく帰国。日本に戻り、東京・町田にある合宿所に帰ると、解放感があったという。

「留学を終えた達成感と、日本に戻ってきた安心感がありました。みんなと一緒に走るのって楽だし、結構楽しいなと思って(笑)」。帰国してすぐ、7月17日のホクレン・ディスタンス北見大会に出場すると、5000mで13分49秒33の自己ベストをたたき出す。

「本当にうれしかったです。自己ベストを更新したのは、高校2年以来だったので、ようやく出た! という感じで。監督からは『時間の問題だよ』とは言われてたんですが、記録が出ないと、なんとなく焦りがありましたから。ホクレンでは絶好調というわけではなかったし、スピード練習も入れていなかったので、スタミナで押せてあのタイムが出たので、地力がついたのかな、という自信になりました」

夏合宿でもトラブルもなく、きっちり走り込みを行い、原晋監督も絶大な信頼を寄せている。
「吉田がついに本格化しましたね。彼が三大駅伝の主要区間で、他校との”直接対決“を制してくれれば、優勝に絡めると思いますよ」

原監督は駅伝の流れを変えられる選手を「ゲームチェンジャー」と呼んできたが、どうやら吉田はその領域の選手として認められたようだ。

そしてその力を証明するように、9月15日、数次にわたる夏合宿の合間に参加した日本インカレには調整をかけていない状態で臨み、13分43秒54の自己ベストが出た。岐阜・御嶽での合宿の最中、「13分45秒切りを目指したいところですが、長い距離の練習が多いので、どうなりますかね」と吉田本人は言っていたのだが、スピードを磨いていない状態でマークしたこのタイムは、エースと呼ぶにふさわしい記録だ。

今季は、森田歩希(現・GMOアスリーツ)ら、強力な4年生が卒業した青学大にとって、2区、3区、7区といった主要区間の穴をどう埋めるかが課題とされていた。しかし吉田が本格化したことで、往路の主要区間は安心して任せられそうだ。吉田本人にもエースの自覚が芽生えている。

「昨季は三大駅伝ですべて区間賞を獲得したとはいっても、負担の少ない区間でしたから。今季は往路の主要区間で勝負したうえで、区間賞を取りたいです。今年の青学は弱いと言われていますが、キャプテンの(鈴木)塁人さんとは、『前半の流れをつくりたいですよね』と話してます。狙うは箱根の優勝ですが、出雲、全日本でも流れを決定づける区間でいい仕事ができたらと思ってます」

学生にとって、伸び盛りの3年生の春は大切なシーズンだ。今年はユニバーシアードもあったにもかかわらず、吉田は淡々とニュージーランドで練習を重ねた。2月の段階では「不安がいっぱいです」と話していたが、自らの努力で南半球での時間を有効なものにした。

2019年は吉田圭太の年になりそうな予感がする。

※吉田圭太選手のインタビューを掲載した大学駅伝秋号(10月9日発売)は現在発売中です。

Profile
よしだ・けいた◎1998年8月31日、広島県生まれ。172cm・51kg、A型。高屋中→世羅高(広島)。青学大2年時に出雲で三大駅伝にデビューし、4区区間賞で優勝に貢献。全日本(6区)、箱根(9区)でも区間賞を獲得した。2~7月までのニュージーランド留学を終え、9月の日本インカレ5000mで日本人トップに入り、自己ベストを更新した。

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