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2023-12-25

【箱根駅伝の一番星】山梨学大の日本人エース、北村惇生はラストの箱根路に自然体で臨む

箱根予選会は自己新の1時間02分23秒をマーク。レースで外すことはなく安定感は抜群(写真/椛本結城)

陸マガの箱根駅伝2024カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では、出場23校の注目選手を紹介。実に頼れる存在となった。箱根予選会で2年連続チーム2番手となり、本戦出場に貢献。決して外さない安定感を身に付け、出走が予定される往路主要区間での活躍が期待される。

日本人エースの役割を全う

憮然とした表情を浮かべていた。通常よりも3校多い13校が本戦に進める第100回箱駅伝根予選会で、山梨学大は13番目にその名前が呼ばれた。14位の東京国際大とは3秒差という薄氷を踏む予選通過。4年連続37回目の出場を決めて歓喜に湧くチームメイトを尻目に、北村惇生(4年)はその輪に加わらなかった。

「見られていました? 予選会の後、学校でも先生や友達からけっこう聞かれました」

北村はばつの悪そうな表情を浮かべつつ、その真意を明かしてくれた。

「今年は3枠増枠されたわけですが、13位はギリギリの結果なので、そこで喜んでいたらシード権を取れる取れない以前の問題だと、僕は認識しているんですよね。もう少し高い目標というか志を持って陸上競技に取り組んでほしいなという思いから、そんな態度をとってしまいました」

自身は個人18位、自己新の1時間02分23秒でジェームス・ムトゥク(2年)に次ぐチーム2番手と日本人エースとしての役割をきっちり果たした。前回の予選会でマークした自己記録を44秒更新したことについては、「すごくうれしいです。63分は切りたいという思いはありましたが、今回の予選会はスタートから違ったじゃないですか。ペースも速かったですし、そのなかで攻めの姿勢を崩さず最後まで勝ちにこだわったからこそ、大幅自己ベストも実現できたのではと思います」と振り返った。

任された区間で役割は果たす

振り返ると、前回の箱根予選会が転機となった。チーム2番手と7位通過に貢献。飯島理彰監督からも「北村の成長は大きな収穫」とたたえられた。初の学生駅伝出場となった箱根では、4区を務め区間10位の走りを見せ、近年の山梨学大では最高位の総合14位に導いた。

最終学年になり日本人エースと周囲から一目を置かれるなか、着実に結果を残してきた。関東インカレ・ハーフは16位、8月の関東学生網走夏季記録挑戦競技会では5000mで13分56秒67の自己新をマーク。そして今回の箱根予選会と常に期待に応える走りを披露している。

来る本戦では2年連続の4区を希望する。

「アップダウンが多くタフなコースですが、自分が一番適正があると思っています。それに自分は単独走が得意なので、その2つの強みを最大限に生かせるのが4区だと思っています」

前回は前半抑え気味に入ってしまったといい、残り5㎞からのロングスパートも仕掛けが遅かったと反省している。今回は1年間の成功体験を積み重ねた自信を胸に、1時間01分40~50秒を目標タイムに掲げる。

「1分縮められたら大きいですよね。少しでも削れるように頑張ります」

チーム事情により希望する4区出走とは限らないが、往路の主要区間を任されることは確実。

「任された区間でしっかり役割を果たします。プレッシャーは感じません。今までやってきたことが出ると思いますし、緊張して走れないなんてもったいない。大学最後の大会なので楽しもうと思います」

自然体で臨む。山梨学大の日本人エースは最後の箱根での快走を誓う。

 PROFILE
きたむら・すなお◎2001年11月12日、広島県生まれ。松賀中→世羅高(広島)。高校2年時の全国高校駅伝2位メンバー。前回の箱根予選会でチーム2番手と頭角を現し、本戦では4区区間10位。今年度は5000mとハーフの自己記録を更新した。自己ベストは5000m13分56秒67(大4)、10000m28分41秒90(大3)、ハーフ1時間02分23秒(大4)。卒業後は中電工で競技継続。

文/石井 亮 写真/椛本結城

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