出雲駅伝では初優勝を果たした国学院大、駒澤大に次ぐ3位となった東洋大。課題はいくつか残るものの、11月の全日本大学駅伝、1月の箱根駅伝での王座奪還に向け、戦力が整いつつある手応えをつかんだ。

※写真上=出雲では自身初の区間賞を獲得した相澤(左)
撮影/牛島寿人(陸上競技マガジン)

「100点とは言えませんし、目の前で優勝テープを切られた悔しさはあります。ただ、1区が10位から始まって追い上げた。十分に中身のあるレースで、収穫でした」

 東洋大・酒井俊幸監督の表情は清々しかった。昨年は優勝した青山学院大を5、6区の連続区間賞で追撃したが、12秒届かず2位。今年は3位で1つ順位を下げたものの、優勝した国学院大とはわずか11秒差でとどめた。5強とも、6強ともいわれた大混戦のなか、きっちりトップ3に入った。

 1区は北海道学連選抜のローレンス・グレ(札幌学院大2年)が抜け出し、日本人選手の集団は超スローペースで始まった。終盤一気にスピードアップしたことから、疲労骨折明けでキレが戻っていない西山和弥(3年)には厳しい展開となった。それでも、2区では今季力をつけた大澤駿(3年)が、区間2位の力走で5人を抜いて5位に浮上。3区はエースの相澤晃(4年)が出雲駅伝で自身初の区間賞を獲得し、先頭争いまで引き上げた。

画像: 2区では5人抜きを果たし、チームに勢いを与えた大澤 撮影/佐藤真一(陸上競技マガジン)

2区では5人抜きを果たし、チームに勢いを与えた大澤
撮影/佐藤真一(陸上競技マガジン)

 三大駅伝初出場の4区・宮下隼人(2年)は区間4位、6区の定方駿(4年)が区間3位といずれも好走。前期には体調不良で1レースしか出ていなかった今西駿介(4年)も、前回区間賞を取った5区で2位と復調をアピールした。キャプテンの相澤は、「2区の大澤が単独走ながら前を追ってくれて、自分も勇気をもらいました。また、アンカーは昨年と同じような展開でしたが、定方が頑張ってくれました」と、チームの走りに手応えを得たようだ。

画像: シーズン前半のうっ憤を晴らす走りで5区2位となった今西 撮影/佐藤真一(陸上競技マガジン)

シーズン前半のうっ憤を晴らす走りで5区2位となった今西
撮影/佐藤真一(陸上競技マガジン)

 今大会は、昨年6区で区間賞の吉川洋次(3年/「吉」は「土」に「口」)をはじめ、渡邉奏太(4年)、鈴木宗孝(2年)ら三大駅伝の経験者を欠いたなか、新戦力が穴を埋めた。初出場の選手が結果を残すチームカラーは、酒井監督就任後の2010、12、14年に箱根駅伝で優勝したときと重なる。次戦の全日本大学駅伝、さらに箱根駅伝に向けて、希望が持てるレースとなった。

 11月3日の全日本大学駅伝では、鈴木がエントリーメンバーから外れているが、シンスプリントの影響で今大会を回避した川らが登場するとみられる。酒井監督は「新戦力を思い切って起用したい」と、1年生を4人もエントリー。蝦夷森章太(2年)、児玉悠輔(1年)ら下級生の出番がありそうだ。指揮官によると、今大会で補欠にまわった児玉は現地でレースを観て、次戦へ意欲を燃やしているという。

 1区で本来の走りができなかった西山も調子を上げてくるはず。レース後には相澤から、「グレ選手が飛び出したときに付いて行かないと……。ビビっていてはいけない」と激励された。相澤は、「西山は実績があり、エースと呼ばれる選手。来年はチームの中心になるのだから、心を決めてほしい」と、強い気持ちで勝負に挑むよう願う。キャプテンの思いは、「過去2年、全日本で結果を出していないので、今年こそ区間賞争いを」と誓った西山に届いたに違いない。

 4年ぶりの王座奪還へ、11月3日の伊勢路で強い東洋大の走りが見られることだろう。

文/石井安里

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