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2020-11-02

【全日本大学駅伝】「今日は自分が主役だと思って走った」皇学館大・川瀬翔矢が史上最多の17人抜きでトップランナーの実力を証明

2区で大会史上最多となる17人抜きを演じた川瀬(写真/JMPA)

史上最高ともいわれる今大会のハイライトは早くも2区で訪れた。
21位でタスキを受け取った川瀬翔矢(皇学館大4年)が17人抜きを達成。
ハーフマラソン現役日本人学生最速ランナーが大舞台で自身の力をいかんなく発揮した。

 快挙にも「少し物足りない結果」

ハーフマラソンで現役日本人学生最速の1時間01分18秒を持つ川瀬翔矢(皇学館大4年)が、2年続けて前半のエース区間2区に起用された。

タスキを受けたのは21位と後方ながら、1位の順天堂大とは39秒差と射程圏内だった。走り始めたときは順位がよく分からなかったそうだが、前の選手たちがつながっていたことから、「先頭まで行けるかな、と感じていた」という。

10kmを28分ひとケタで入ろうと考えていたが、28分15秒前後の通過に。風の影響もあって後半はきつかったが、「他の選手の力をうまく利用できた」と、競り合いながら順位を上げ、気づけば17人を抜いていた。

2区は前回、伊藤達彦(東京国際大、現・Honda)が14位から先頭に立った区間。当時3年生だった川瀬は伊藤のすぐ後ろでタスキを受け、いったんは付いたものの置いて行かれ、区間11位で終えた。そのときの印象が強く残っていたといい、「自分もあんな走りをしたい。前回は伊藤さんが主役、今日は自分が主役だと思って走りました」と、伊藤の持つ区間記録(31分17秒)の更新を目指した。

「区間記録に届かず、先頭まで行くこともできなかったので、少し物足りない結果です」

レース後の川瀬に笑顔はなかったが、伊藤の記録に迫る31分24秒で、東海地区の大学としては1990年1区の許績勝(名商大)以来、日本人選手に限ると81年3区の川口孝志郎、4区の鯖戸育宏(共に中京大)以来、39年ぶりに区間賞を獲得した。

三重・名張南中から同じ名張市にある近大高専に進学。インターハイなど主要大会の出場経験はなかったが、4年が経ち、高校の有力選手たちが集う関東の学生をしのぐトップランナーに。「監督や仲間たちのおかげです。地道にコツコツとやってきた成果だと思います。あとは、レースでも練習でも、いろいろなチャレンジをしてきたから」と、飛躍の要因を語る。

残りの学生生活で達成したい目標は、5000m13分20秒台、10000m27分台。現在の自己記録は5000mが13分36秒93、10000mは2週間前に出したばかりの28分18秒25だが、今の川瀬の力なら可能だろう。

冬期シーズンも主役の座は譲らない。

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文/石井安里

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