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2020-12-14

【箱根駅伝の一番星】「次に出られなかったら終わり」憧れの5区へ向かい続けた「激坂王」創価大・三上雄太の1年

入学時からの目標にひたむきに向かっている三上 写真/矢野寿明

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陸マガの箱根駅伝カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」は出場20校の注目選手を紹介。創価大の三上雄太(3年)は大学入学時から目標に掲げていた5区出走への強い思いを胸に、この1年駆け抜けてきた。

「本当に心が痛くて、悲しかった。
だから来年は絶対に出てやろうと」


山上りへの思いは、誰よりも強いものがある。

創価大の三上雄太(3年)は前回大会、7区にエントリーされた。だが、それは当日に変更される前提でのこと。本来は5区での出走を狙っていたが、チーム内での争いに敗れていた。チームは10区の嶋津雄大(3年)の区間新&区間賞の爆走もあり、9位に入りシード権獲得。大いに盛り上がるチームメイトのなかで、三上はひとりだけ蚊帳の外にいるような感覚になっていた。

本番に合わせ切れなかった自分の力不足は十分に認識している。それでも、だからこそ悔しさばかりが残った。

「区間エントリーに名前が載ると、何年も連絡を取っていない友達やいろんな人から『出るんでしょ』という電話が来ました。当日は変更になるとは言えないから本当に心が痛くて、悲しかった。だから来年は絶対に出てやろうと」

三上は「次に出られなかったら終わり」という決意を胸に、今季を迎えた。

2月の神奈川マラソン・男子ハーフでは、それまで自己記録を1分14秒更新する1時間04分21秒をマーク。そのときは「たまたま記録が出ただけ」と信じられなかったが、夏にチームの1次合宿ではなく実業団の合宿に参加、大学よりもレベルの高い選手たちのなかでも、同じように練習をこなせたことで自信を付けた。その後、チームに合流すると2次、3次合宿では、Aチームで唯一ポイント練習を一度も外さず完ぺきにこなし、さらに自信を深めた。そして10月には実業団チームとのタイムトライアル10000mで、非公認ながら28分38秒を出して、その成果を実感したのだ。

「公認の自己記録は30分12秒58ですから、29分台を飛ばしちゃいましたね(笑)。でもそのときは後半の5000mの方が速くて、5000mの自己ベスト(当時は14分10秒53)と同じくらいの14分10秒くらいで走れたのがすごく自信になりました。自分はスピードタイプではなく同じペースで距離を押していくタイプなので、10000mやハーフの方が力を出しやすいと思う。ハーフの走り方も分かってきたので、コツをつかんだ感じです」

箱根5区の出走は、入学時からの目標だ。上りは元々得意であり、さらに遊学館高(石川)の先輩である田中龍誠(東洋大4年)が1、2年時に5区を走り、その前には五郎谷俊(東洋大、現・コモディイイダ)が2年連続で走っていたこともあり、憧れを抱いていた。

「去年は築館陽介さんにギリギリ負けたくらいで走れなかったんですけど、今年は自分もレベルが上がっているので自信はあります。箱根では上りの適性だけでなく、力も必要だと思いますが、そういう面ではだいぶ戦えるようになったんじゃないかなと思います」

こう話す三上は11月21日、ターンパイク箱根で行われた激坂最速王決定戦に出場。標高差981m 、13.5㎞の距離を駆け上がるレースを53分09秒で優勝を果たした。同大会には、招待で青学大の選手も複数出走、自分の力を見極める「仮想・5区」の大会で2位に1分53秒をつけ圧勝したことは、三上にさらなる自信を与えたことだろう。

「今になって思えば前回出られなかった経験が、逆に良かったかなと思います。今回はチームの目標である総合3位を達成するためにも、4区と5区でシード権を確実にできる足掛かりになる走りができれば。区間賞を狙っていきます」
 
箱根の山で三上の思いはどのように体現されるのか、注目したい。



チーム一丸となって総合3位を狙う創価大。三上(左)も手ごたえを十分につかんでいる 写真/矢野寿明


みかみ・ゆうた◎1999年6月10日、広島県生まれ。167cm・50㎏、B型。東城中(広島)→遊学館高(石川)。自己ベストは5000m14分01秒85、10000m30分12秒58、ハーフ1時間04分21秒(以上、2020年)。高校2年時に都大路3区39位。箱根駅伝、同予選会への出走歴はなし。三上にとっての箱根駅伝とは「目指すべき所」(箱根駅伝2021完全ガイドアンケートより)。

陸上競技マガジン 1月号

箱根駅伝2021完全ガイド(陸上競技マガジン1月号増刊)

文/折山淑美

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