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2020-12-23

【箱根駅伝の一番星】「自分の役割を果たす!」3度目の箱根路に拓大・吉原遼太郎は静かに燃える

箱根予選会はチーム3番手の全体42位と本戦出場に貢献した(写真/椛本結城)

陸マガの箱根駅伝カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」は出場20校の注目選手を紹介。吉原遼太郎(4年)は大学入学後に力をつけ、主力に成長した。拓大らしさを象徴する選手の一人で、往路前半が予想される3度目の箱根路では、目標に掲げるシード権獲得のカギを握る存在となる。

 地道な練習を積み重ねた副将

 ハーフマラソン学生歴代3位となる1時間00分13秒の記録で箱根駅伝予選会を制したジョセフ・ラジニ(2年)という絶対的なエースを擁する拓大。チーム内の戦力を語るとき、山下拓郎監督が彼に次ぐ存在として真っ先に名前を挙げるのが吉原遼太郎(4年)だ。

「求められる役目をしっかりと果たしてくれる選手。練習からチームを引っ張ってくれていますし、チームの中心メンバーの一人です」

 拓大入学時、5000mベストは15分04秒77と学年のなかでも下位。全国の舞台も経験しておらず、目立つ存在ではなかった。だが地道な練習を積み重ね、指揮官の信頼を得るまでに成長した努力家だ。今季は副主将も務める。

 10月の予選会は自己ベストとなる1時間02分43秒でチーム3番手の42位。ほぼ目標どおりの結果であり、チームの通過に大きく貢献したが、本人は結果にも内容にも満足していない。

「15キロ付近まで同じ集団で走っていた選手は(1時間)2分前半や1分台で走っています。そこに差を感じました。後半の粘りが課題ですが、だからといって前半を抑えては意味がありません。スピードもスタミナももっと伸ばす必要があると感じました」

 吉原だけでなく、予選会では拓大の選手の多くが15キロからペースを落とした。そのため直後からチームとして距離走後にロングのインターバル走を行うなど、後半対策に積極的に取り組んでいる。また吉原はスピード対策にも抜かりはなく、11月には10000mで自己ベストを更新し、16人のエントリーメンバーのなかで日本人トップ。今まさに上昇気流に乗りつつある。 


前回は4区を務め、10位で石川佳樹(現・4年)にタスキリレー(写真/桜井ひとし)

 2年時から三大駅伝を走っており、経験値は高い。副主将として、最終学年として最後の箱根には足跡を残したいと静かに闘志を燃やす。

「往路前半区間を走ることになりそうです。2区はラジニだと思いますので、彼にいい位置でタスキを渡すか、またはラジニのつくった流れを維持させるかが自分の務めだと思います。ラストスパートはあまり得意ではないので、自分としては3区を希望しています」

 シード権獲得、さらに9位まで目指す今回の拓大。山下監督は「何としても往路を5番以内で終えたい」ともくろんでいる。その前半5区間のなかに吉原が入ることは間違いないだろう。スピード区間で他大学の主力と真っ向勝負する覚悟はできている。今回も確実に自分の役目を果たすだけだ。

よしはら・りょうたろう◎1998年7月22日、千葉県生まれ。172cm・53kg、AB型。おゆみ野南中→千葉南高(千葉)。自己ベストは5000m14分56秒11(2018年)、10000m28分56秒37、ハーフ1時間02分43秒(共に20年)。2年時の出雲5区で三大駅伝デビューし、同校最高位の4位入賞に貢献した。箱根は2年時に7区、3年時に4区に出場。吉原にとっての箱根駅伝とは「人生で一番輝ける場」(箱根駅伝2021完全ガイドアンケートより)。

陸上競技マガジン 1月号

箱根駅伝2021完全ガイド(陸上競技マガジン1月号増刊)

文/加藤康博

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