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2021-01-16

【NFL】アメフトと宇宙飛行の共通点は?宇宙ステーションの野口さんがスティーラーズQBドブスと公開トーク 

画面に向かってパスを投げる野口さん。中央がグローバー飛行士、右はホプキンス飛行士=NASA Videoから

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米プロフットボールNFLのピッツバーグ・スティーラーズQBジョシュ・ドブスが、国際宇宙ステーション(ISS)で任務中の野口聡一さんら3人の宇宙飛行士と交信した。東京大学ウォリアーズでプレー経験を持つ野口さんは、ドブスに、アメリカンフットボールと宇宙飛行士のミッションの共通点や親和性を説明し、ドブスも頷いていた。

交信は米東部時間の1月15日に行われ、米航空宇宙局・NASAのface bookやyoutube公式アカウントなどで公開された。オンラインで募った一般学生からの質問をドブスが3人に尋ねる形で進められた。

ドブスと交信したのは第64次長期滞在クルーの3人で、野口さんのほか、ビクター・グローバー飛行士、マイケル・ホプキンス飛行士が参加した。東大でWRだった野口さんに加え、グローバー飛行士は高校時代にQBとRB、ホプキンス飛行士はイリノイ大学でDBと、3人とも本格的なフットボール経験者で、ドブスと話が弾んだ。

宇宙滞在は、グローバー飛行士は初めて、ホプキンス飛行士も2回目だが、野口さんは2005年以来3回目で、3人の中では一番のベテラン。スペースシャトルでの飛行に加えて、ロシアのソユーズ宇宙船での飛行、そして今回は、初めてのISSへの有人飛行となったスペースX社の「クルードラゴン」宇宙船に乗り組んだ。

2011年で運用が終わったスペースシャトルは、30年以上に渡って宇宙に人とモノを送り続け、アメリカの宇宙開発の象徴だった。3人の中で唯一、スペースシャトル搭乗経験を持つ野口さんに、ドブスは、他の宇宙船との違いを熱心に質問した。

野口さんは「三つの違う宇宙船に乗ってきたが、一番大切なことは、これらの宇宙船は人間を載せているということだ。安全に打ち上げられ、安全に地上に戻るとい意味では、三つともに偉大だ。クルードラゴンは内部は薄暗いが、2日間の飛行では、窓の外の景色を楽しむことができた。これは我々にとっては重要なことだ」と話した。.

またドブスは、宇宙飛行士のミッションと、フットボールの共通点はあるかと質問。3人の中では、最も高いレベルでプレーをしていたホプキンス飛行士が「フットボールフィールドの経験が、宇宙飛行士になるうえで、非常に大きな部分を形成した」と語った。

ホプキンス飛行士は、前回2013年の宇宙飛行で初めて船外活動を体験した際、「ステーションのハッチが開いて、真空の宇宙空間に飛び出す瞬間、以前に似た経験をしたことがあると思いだした。暗いトンネルを抜けて、満員の観衆が待つフットボールフィールドに飛び出していく(選手入場の)瞬間に似ていた。緊張、興奮、そして集中が同じだった」と語った。

スティーラーズQBドブスの質問に答える野口さん。中央がグローバー飛行士、右はホプキンス飛行士=NASA Videoから
スティーラーズQBドブスの質問に答える野口さん。中央がグローバー飛行士、右はホプキンス飛行士=NASA Videoから

続いてマイクを握った野口さんも「フットボールで、フィールドにいる22人の選手たちにはみな違う役割がある。今、この宇宙ステーションにも、いろいろな国から来た7人の飛行士がいるが、7人はみな違う才能を持っていて、チームの成功のために違う貢献をすることができる。それはフットボールとよく似ている」と答えた。

最後は、野口さんが画面に向かってオモチャのフットボールを投げて交信を終わった。

スティーラーズの三番手QBドブスは、子どもの頃から宇宙飛行士にあこがれ、テネシー大学では宇宙工学を学んだ。アメフトでは2シーズン、エースQBとして活躍する一方で、学業も非常に優秀で、GPA4.0という満点の成績で、同大の学生として最高の栄誉である「トーチベアラー賞」も受賞した。昨年のオフシーズンには、エクスターンシップとしてNASAで働くなど、今も宇宙に強い関心を抱き続けている。フットボール引退後は、その方向に進む可能性もある。

宇宙ステーションの3飛行士と、QBドブスの交信=NASA Videoから
宇宙ステーションの3飛行士と、スティーラーズQBドブスの交信=NASA Videoから

【小座野容斉】

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