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2021-03-21

【ボクシング】新KOスター、バージル・オルティス、強敵倒して17連続KO

パワーは圧倒的。オルティスは迫力満点のパンチで攻め込む

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 3月20日(日本時間21日)、アメリカ・テキサス州フォートワースのディッキーズアリーナで、WBO世界ウェルター級2位のバージル・オルティス・ジュニア(アメリカ)が元WBO世界スーパーライト級チャンピオンのモーリス・フッカー(アメリカ、27勝18KO2敗3分)に7回37秒TKO勝ち。かけられていた空位のWBOインターナショナル・ウェルター級タイトルを獲得するとともに、デビュー以来の全KO記録を17に伸ばした。

強烈なボディショットでKOを引き寄せた

 “バトル・オブ・テキサス”と銘打たれた注目の一戦。ふたりはともに開催地からほど近い街の出身だが、歓声の大部分はオルティスに向けられていた。ベテラン、ビッグネームが居並ぶ全17階級のなかでも、今最も充実しているウェルター級のトップ戦線に、名乗りを挙げることができるかどうか。ゴールデンボーイ・プロモーション傘下で、徐々に対戦者の質をあげてきた22歳の“KOアーティスト”オルティスにとって、大事なテストマッチだった。今回の相手フッカーは、世界チャンピオン経験者。3年前に1階級下の世界王座に就いたあと、統一戦に敗れて無冠となり、ウェルター級に上げて再起した痩身のカウンターパンチャーだ。

右を浴びてへなへなと崩れ落ちたフッカーはそのまま立てず。拳を痛めたという
右を浴びてへなへなと崩れ落ちたフッカーはそのまま立てず。拳を痛めたという

 リーチ差12センチ、経験でも優るその元チャンピオンに対し、オルティスは開始から臆することなく仕掛けて出た。迎え撃つフッカーのジャブ、右ストレートにこつこつ叩かれ、オルティスの顔は早い段階で赤みを帯びた。4回には、右カウンターを機にフッカーの攻撃が勢いづく。しかし5回、踏ん張りどころでホープは左アッパーをみぞおちに突き刺し、優位を引き寄せてみせるのだ。6回、激しい上下攻撃から左ボディを効かせて追撃し、ダウンを奪う。そして7回、ワンツーでフッカーをひざまずかせ、試合を終わらせた。

クロフォード、スペンスもリングサイドに

「顔面を打っても耐えられてしまうから、ボディから崩そうと考えたんだ」。元世界王者を相手にまたひとつKO勝利を積み上げたオルティスは、世界を狙う位置に来たと言っていいのだろう。充実の階級に新風を吹かせる、楽しみな存在であることは間違いない。この日は、フッカーのチームメイトであるWBC王者テレンス・クロフォード、地元出身のWBC・IBF同級王者エロール・スペンスという、現ウェルター級の“ツートップ”がリングサイドで観戦。オルティスは勝者インタビューでクロフォードに呼びかけた。「彼がパウンドフォーパウンドのトップ選手であることは承知している。時期尚早だろうと、それが僕の望む戦いだ」。勇敢なホープのチャンピオンロードに注目したい。

エストラーダ(右)はかく乱戦法でカウンターを狙うアナベル・オルティスの7年の王朝を打ち砕く
エストラーダ(右)はかく乱戦法でカウンターを狙うアナベル・オルティスの7年の王朝を打ち砕く

軽量級女王アマベル・オルティスはV13ならず

 前座で行われたWBA女子世界ミニマム級タイトルマッチでは、1位の挑戦者セニサ・エストラーダ(アメリカ)がチャンピオンのアナベル・オルティス(メキシコ)を3-0の判定で下し、新チャンピオンとなった。

 変則リズムと積極性で勝利を重ねてきたエストラーダは、これが世界初挑戦。10年以上世界のトップに君臨し、来日経験も豊富なオルティスから、2回に右ストレートで痛烈なダウンを奪った。左右に構えをスイッチし、カウンターを狙うチャンピオンを攪乱。終始ヒットを重ねて圧倒し、100対89、100対89、99対90の大差判定でタイトル奪取に成功した。

「作戦どおりに戦うことができた。(ボクシングを始めた)7歳のころからの夢が叶った」と喜んだエストラーダは20戦全勝8KO。「ミニマム級、ライトフライ級で全王座を統一したい」と目標を語っており、現WBO女子世界ミニマム級チャンピオンである多田悦子(真正)、WBO女子世界ライトフライ級チャンピオンの天海ツナミ(山木)もターゲットということになる。

 オルティスは13度目の防衛に失敗。このタイトルは2013年7月に日本で多田から奪って以来7年半にわたって守ってきたものだった。戦績は35戦31勝(4KO)4敗。

文◎宮田有理子 Text by Yuriko Miyata 写真◎Photo by Sye Williams/Golden Boy/Getty Images

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