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2021-03-21

【相撲編集部が選ぶ春場所8日目の一番】宇良、際どい相撲で炎鵬との業師対決を制す

十両注目の業師対決は物言いがついたものの、炎鵬を攻め切った宇良の押し倒しに軍配が上がった

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宇良(押し倒し)炎鵬

幕内の優勝争いは1敗でトップの3人のうち、千代の国が敗れ、照ノ富士と髙安が直接対決。髙安が勝って単独トップとなったが、8日目は十両の注目対決を取り上げたい。

相撲ファンが待ち望んでいた炎鵬と宇良の業師対決をテレビ視聴者の多い日曜日に持ってくるあたり、審判部も最初から考えていたのだろう。前日はテレビ解説の北の富士さんも「今場所一番!」と楽しみにしていた。

この2人、プロでは初対決だが、学生時代に1回対戦している。宇良が関西学院大3年で炎鵬が金沢学院大1年のときだ。このときは宇良が押し出して勝っている。

行司の軍配が返り、互いに低く頭から当たり合った。中に入ろうとする炎鵬を宇良は下から突いて入れさせないが防戦気味。宇良が土俵際で足を滑らせてバランスを崩すと、炎鵬はここで引いてしまった。宇良は落ちずに出足よく前に出て、炎鵬を一気に押し倒した。

宇良の快勝に見えたが、物言いがつき約1分半の長い協議。スローで見ると炎鵬は倒れるときに体を半転させてなかなか落ちない。勢い余った宇良が足をつくのと炎鵬が倒れるのはほぼ同時だったが、協議の結果、軍配どおり宇良の勝ちとなった。相撲の流れは宇良だったので、当然の結果だろう。

リモート取材に応じた宇良は、「しっかり見て押したので、危ないところがあったのかなと思った。際どかったですかね? もう1回ってなったら気持ちが持たなかったので、あれで決まってよかったです」と振り返った。

生涯2度目の対戦だったが、「学生のときに1回対戦しているけど、何年も前で互いにもっと小さかったから参考にならないですよ」と語る。「あれだけ小さい体で正面からきて、怖い雰囲気はあった。自分もそういうオーラを出せるようにしたい」と言うが、宇良にもオーラはあると思う。

敗れた炎鵬は開口一番、「あーくそっ!」と悔しがった。「相手より低くいこうと思って、立ち合いから流れというか、攻め方はよかったんですけど、最後に引いてしまったのが弱いところですね」と肩を落とした。

炎鵬にとって宇良は憧れの力士で、宇良が幕内で活躍しているのを見て、プロ入りを決めたほど。「緊張で足がガクガクでしたね。やっぱり宇良関しか持っていない雰囲気というか、すごいものがありました。負けはしましたが、楽しかったです。大学1年のときに対戦して、もう1回対戦したいなと思っていたので、こうやって対戦できたのはうれしいことですね」と負けても感激の様子。

これでともに2敗となり、十両優勝争いのトップグループを形成。千秋楽に決定戦で顔が合う可能性もあるが、次は幕内での対戦が見たい。「もうひとつ上でやれたらなと思います」と炎鵬も語っていた。

文=山口亜土

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