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2020-07-24

曙、貴乃花、若乃花、武蔵丸、朝青龍、白鵬、鶴竜、日馬富士、稀勢の里 邪気を払う横綱の神々しさを、いまこそ【BBMフォトギャラリー14】

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未曾有のコロナ禍に見舞われる中、相撲ができることはなんだろうか。邪気を鎮めるという神事としての側面も持つ相撲にあって、横綱たちの勇姿は元気を与えてくれる。歴代横綱たちの貴重なショットをお届けします。

写真・文◎椛本結城

邪気を払う象徴としての相撲

 古来より相撲は、五穀豊穣を願い、邪気を払うという神事的な要素があった。

 その相撲の象徴が、横綱である。

 新横綱が誕生したときすぐに撮影することは、実は意外に難しい。ケガをして休んだり、引退することもあって、タイミングが合わないことが多いのだ。そうなると、巡業、花相撲などで撮影するチャンスを生かすことになる。

 そんな横綱たちの姿をここに集めてみた。

同期生3人横綱
66代・若乃花、64代・曙、65代・貴乃花、67代・武蔵丸

平成12年(2000年)宇都宮巡業=栃木県宇都宮市

NIKON F4 50mm f5.6 1/500秒 ISO200

 長い相撲の歴史の中で横綱は、72人誕生している。

 このカットは、若乃花の引退後に実現。現役中に4人がそろうことがなく、曙が巡業に途中から参加することを聞いて撮りに行ったもの。

 私が相撲の取材を始めたころ、横綱は曙と貴乃花だった。二人は、昭和63年春場所の入門の同期。その後、若乃花が横綱になり、「同期生3人横綱」は、明治43年1月入門の、26代・大錦、30代・西ノ龍、31代・常ノ花以来、2度目となった。

史上初の兄弟横綱
若乃花と貴乃花

平成12年(2000年)藤沢巡業=神奈川県藤沢市

NIKON F4 35-70mm f5.6 1/500秒 ISO200

 若乃花が引退後の春巡業が行われた藤沢で撮影したもの。

 史上初の兄弟横綱。だがこのころ、お互いが距離を置いていたようで若乃花が昇進してすぐに撮影を依頼したが叶わず、引退をした後の撮影となった。若乃花のお礼奉公がなければ実現できなかった1枚だ。

武蔵丸と貴乃花

平成14年(2002年)富山巡業=富山県富山市

NIKON F5 35-70mm f8 1/125秒 ISO200 

「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!!」と、当時の小泉純一郎総理大臣に言われた優勝のあと、右ヒザの大ケガから7場所休場し復活した貴乃花。平成14年秋場所千秋楽、武蔵丸が12勝同士の相星決戦に勝って優勝した。

 久しぶりに2横綱がそろって撮影し、雑誌『相撲』12月号の表紙を飾ったのだった。

貴乃花と朝青龍

平成15年(2004年)4月の藤沢巡業=神奈川県藤沢市

NIKON F5 35-70mm f8 1/125秒 ISO200

 朝青龍は貴乃花と入れ違いで横綱に昇進したため、同時期に横綱に在位したことはないが、貴乃花が引退後の春巡業に「お礼奉公」で参加、藤沢巡業で2ショットが実現した。朝青龍は貴乃花との対戦は2回だけだったが、結局、貴乃花には一度も勝てなかった。

朝青龍と武蔵丸

平成15年(2003年)2月2日花相撲=両国国技館

NIKON F5 35-70mm f5.6 1/500秒 ISO200

 貴乃花が引退したすぐ後の平成15年初場所後、朝青龍は第68代横綱に昇進した。直後の花相撲で、横綱武蔵丸との2ショットが実現し、その年の雑誌『相撲』5月号付録の名鑑の表紙に使われた。

 しかし武蔵丸はその後、休場続きで同年九州場所で引退、結局本場所ではこの2人の横綱同士の対戦は一度も実現しなかった。

モンゴル出身横綱
朝青龍と白鵬

平成19年(2008年)6月2日 旭鷲山引退相撲で国技館でのお披露目。新しい時代の始まり=両国国技館

NIKON D2X 24-70mm f6.3 1/250秒 ISO400

 朝青龍が横綱になってからモンゴルの後輩が続いた。69代横綱・白鵬が誕生、2度目の外国出身の2横綱となった。

 この日は、モンゴル人力士のパイオニア・旭鷲山の断髪式。国技館で初めて横綱姿のお披露目となった。

モンゴル出身3横綱
鶴竜・日馬富士・白鵬

平成27年(2016年)12月の南さつま巡業=鹿児島県南さつま市

NIKON D4 24-70mm f6.3 1/500秒 ISO800

 朝青龍の引退後、70代・日馬富士、71代・鶴竜が誕生し、史上初となる外国出身の現役3横綱となった。この写真は雑誌『相撲』1月号の表紙を飾った。

17年ぶり4横綱
稀勢の里・白鵬・日馬富士・鶴竜

平成29(2018年)年7月熱田神宮奉納土俵入り=名古屋市・熱田神宮

NIKON D4S 24-70mm f13 1/250秒 ISO800

 平成29年初場所後、稀勢の里が待望の第72代横綱に昇進、17年ぶりの4横綱となった。

 しかしケガなどでなかなか全員がそろうことがなく、5カ月後の同年7月の熱田神宮奉納土俵入りで、ようやく勢ぞろいすることになった。過去の例を見ても、4横綱が長く続いたことはない。これを逃したら、2度と撮影ができないかもしれない、と思って名古屋に向かい、相撲協会と熱田神宮の協力もあって撮影することができた。

 その時代の横綱を並べて撮影するのは、記録として残すため。それが、使命だと思っている。

 八角信芳理事長も語っているように、力士、特に横綱の力強い四股は、大地を踏みしめ、邪気を鎮めるという意味を持っている。このコロナ禍での大相撲開催の意義もそこにあると言えるだろう。横綱以下、力士たちに力強い四股を踏んで、新型コロナウィルスを踏みつぶしてほしいと願っている。

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