close

2021-04-11

【ボクシング】ジェルウィン・アンカハスがV9。スーパーフライ戦線はさらに燃え立つ

アンカハスの右フックがヒット。楽な試合ではなかったが、1年4ヵ月ぶりの勝利を手にした(Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME)

全ての画像を見る
 IBF世界スーパーフライ級チャンピオンのジャーウィン・アンカハス(フィリピン)が10日(日本時間11日)、アメリカ・コネチカット州アンキャスビルで同級3位の指名挑戦者ジョナサン・ロドリゲス(メキシコ)を12回判定で破り、9度目の防衛に成功した。採点は115対112、116対111、117対110の3-0

挑戦者の粘りに苦しみながらもダウンを奪う

 かつては井上尚弥(大橋)の対抗チャンピオンだったアンカハスは今も115ポンド階級のタイトルを守り続けている。2016年9月にマクジョー・アローヨ(プエルトリコ)からIBF世界スーパーフライ級王座を奪取し、マニー・パッキャオが興したプロモーションに初めての世界タイトルをもたらしてから、足掛け6年。帝里木下(千里馬神戸)や船井龍一(ワタナベ)らの夢も阻んだサウスポーは、現役世界チャンピオンの中では最も長い連続防衛回数を誇る。しかし、この9度目の防衛戦は「今まででいちばんタフな戦いだった」と言うように、やや精彩を欠いた。一昨年末にメキシコでミゲール・ゴンサレス(チリ)にTKO勝ちして以来1年4ヵ月ぶりの実戦で、長い空白の影響は少なからずあっただろう。

 両者ともに慎重なスタートから、先に仕掛けたのはチャンピオン。2回には右ジャブから左のボディストレートを伸ばし、上下攻撃で試合をリードしていく。世界初挑戦で国外遠征も初めてだった挑戦者ロドリゲスは、対サウスポーでは頻発するバッティングに気をそがれ、チャンピオンのボディ攻撃にも苦しんだ。エンジンがかかり出したのは中盤。高いKO率を誇るチャレンジャーが強打を合わせ始めた。相手が手を出し始めると、アンカハスのチャンスも増えた。打ち始め、打ち終わりに的確なコンビネーションを差し込み、8回終盤、左の上下打ちを機に連打。ダウンを奪った。9回には左ボディアッパーを効かせ、追い込んでみせる。

 しかし。ここから挑戦者の粘りに遭い、打ち疲れたアンカハスははっきりと失速。ロドリゲスの猛反撃を許して試合を終えることになった。

スーパーフライ級統一戦競争に参戦をアピール

 判定を聞いて表情を緩めた29歳のチャンピオンは、「勝つことができてとてもうれしい。この日のために一生懸命トレーニングしてきてよかった。ダウンを奪ったとき、彼が自分のコーナーの方を見ていたから試合はそこで終わるかと思った。立ち上がって戦い続けたロドリゲスに敬意を表したい」と話した。戦績はこれで36戦33勝(22KO)1敗2分。リング上でのインタビューでこの先の目標を聞かれ、「統一戦がしたい。エストラーダとチョコラティートのどちらと」とアピールすることも忘れなかった。WBOチャンピオンの井岡一翔(Ambition)と同じように、このスーパーフライ級のチャンピオンたちはやはり、彼らとのビッグビジネスを熱望している。

 3月に行われた大注目の統一戦で、WBC王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)がWBAスーパー王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に僅差判定勝ち。8年ぶりの再戦で雪辱を果たしたが、判定結果をめぐって議論が沸騰し、ふたりの“第3戦”が最優先される状況となった。WBCはエストラーダを指名試合の義務から解放するために“フランチャイズ王者”に格上げ。WBCの正規王座は、現1位シーサケット・ソールンビサイ(タイ)と現3位カルロス・クアドラス(帝拳=メキシコ)の元WBC王者同士のリマッチで決する。この世界スーパーフライ級“トーナメント”に絡んでいくチャンスを、長期政権を築くアンカハスも狙っている。

 敗れたロドリゲスは、24戦22勝(16KO)2敗。

文◎宮田有理子 Text by Yuriko Miyata

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事

RELATED関連する記事