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2021-04-22

【アメフト】CFLが開幕を2カ月順延、シーズンを4試合短縮 

「グレイカップ」を場内に示す、カナダの騎馬警官=2018年の第106回グレイカップで、photo by Getty Images

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カナダのプロフットボールCFLは、現地4月21日に、2021年シーズンの開幕を、当初予定していた6月10日から8月5日へと約2カ月間順延するとともに、レギュラーシーズンを4試合減らし、18試合から14試合に短縮することを発表した。

 これに伴い、CFLの王座決定戦「グレイカップ」の開催日は、11月21日から12月12日に移動した。

2019年のCFL王座決定戦、第107回グレイカップで対戦するウィニペグ・ブルーボマーズとハミルトン・タイガーキャッツ=2019年11月、photo by Getty Images
2019年のCFL王座決定戦、第107回グレイカップで対戦するウィニペグ・ブルーボマーズとハミルトン・タイガーキャッツ=2019年11月、photo by Getty Images

 新型コロナウィルス感染症によるスタジアムへの観客の入場制限が、カナダ各州の政府から解除される見込みが立たないため。

 カナダでは3月中旬から感染が拡大し、政府が警告を発していた。特に若年層の重症例が目立ち、集中治療室(ICU)に収容される患者が急増しているという。現在シーズンが進行中のプロアイスホッケーNHLでも、バンクーバー・カナックスの選手の大半が感染して3月下旬から23日間にわたって試合ができなくなるなどの影響も出ている。

 CFLのランディ・アンブロージーコミッショナーは「8月5日という日程は、公衆衛生当局と重ねてきた討議に基づいたものだ。今後、感染の第3波が通りすぎ、感染者は実際に減少していくだろう。ワクチンを接種する人が増えてきているので、6月上旬には(開幕のための)最終的な判断に必要な情報が得られるだろう」と話した。

 コミッショナーは、開幕のための2つの条件として
・ 2021年のシーズンを安全に過ごすために、選手、コーチ、そして最終的にはファンの健康を守るための計画が、全カナダの公衆衛生当局に承認されること。
・政府が、シーズン開幕時に、一定数以上の試合会場で、残りの会場でもなるべく早く、一定数以上の有観客開催を許可すること
を挙げた。

 アンブロージーコミッショナーは、スタジアムごとの収容人員数が異なることから、リーグ戦を行うためにはスタジアムの何%まで観客を入れることが必要か、具体的には言及できないと述べた。

2019年の第107回グレイカップで、観客でいっぱいとなったマクマーンスタジアム=photo by Getty Images
2019年の第107回グレイカップで、観客でいっぱいとなったマクマーンスタジアム=photo by Getty Images

 CFLは、今季から、カナダ、アメリカ以外の各国の選手を受け入れるために、4月15日にグローバルドラフトを開催。日本からXリーグの6選手が指名されていた。

 ロイター通信によると、4月20日現在、カナダの感染者数は約114万人。約3190万人が感染した隣国アメリカに比べると、大幅に少ないが、ワクチン接種が進み、1日の感染者数がピーク時の3割以下に減ったアメリカとは異なり、今月に入ってから感染のピークを迎えている。国内でワクチンの製造ができず、輸入に頼らざるを得ないため、接種が進まないことに加え、ブラジル型の変異株も猛威を振るっている。

XFLとの「統合」は否定

 CFLのアンブロージーコミッショナーは同日、CFLとアメリカの新興プロリーグ「XFL」の協議では、競技としての統合や新しいルールについての話し合いはなかったと語った。

 CFLとXFLは、3月10日、提携の可能性について本格的に協議することを発表した。

 この発表以来、カナダの多くのファンがSNS上で、提携がカナディアンフットボールに悪影響を与えると投稿してきた。具体的にはCFLがカナディアンフットボールをあきらめてXFLと統合し、同じアメフトのルールで戦う新リーグ発足に向かうのではないかという懸念だ。

 コミッショナーは、直近にあったXFLとの協議は、主に資金面での相互融通についてのもので、ルールやフィールドの大きさなどについては話し合っていないと述べた。

CFLのアンブロージーコミッショナー=2019年12月、撮影:小座野容斉
CFLのアンブロージーコミッショナー=2019年12月、撮影:小座野容斉

 一方で、CFLとXFLが合併して新たなリーグを作り、今年6月からドイツを中心にスタートする予定の欧州の新プロリーグEFLも加えると、全世界で横断的なプロフットボールのリーグができると憶測する人々がいるのも事実だ。

 カナダのスポーツ専門局、TSNのデーブ・ネイラー氏は「今はまだ、突飛な考えかもしれないが、XFLとCFLのコラボレーションにより、チームの3分の1がカナダ(CFL)、3分の1が米国(XFL)、3分の1がその他の地域で構成されるようなリーグになる可能性がある。(シーズンが競合しないように)NFLのカレンダーの反対側でプレーし、複数の国からテレビ収入とスポンサーシップを得て、世界中のスポーツ賭博の関心に支えられるようなグローバルリーグができ上るかもしれない」と語っている。

【小座野容斉】

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