米プロフットボール、NFLの2021年ドラフトが、オハイオ州クリーブランドで現地4月29日夜、開催された。32選手が、1巡指名権を保持していた27チームに指名された。32選手を短評付きで紹介する。
■1巡32位
DE ジョー・トライオン ワシントン大
スーパーボウル王者は、エッジラッシャーのトライオンを指名した。レッドシャツを経て大学3年目の2年生の時に12.5ロスタックル、8サックと大ブレークした。昨季はオプトアウトしたため、試合経験が足りない。プロではローテーションでDEを回すチームに向いている。
■1巡31位 ボルティモア・レイブンズ
DE ジェイソン・オウエイ ペンシルバニア州立大
196センチ115キロながら、傑出した身体能力を持った怪物プレーヤー。2年前に40ヤードを4秒33で走ったとして話題になった。直近の測定でも4秒38だったという情報がある。課題は経験不足で、昨シーズンはQBサックゼロだった。
■1巡25位 ジャクソンビル・ジャガース
RB トラビス・イーティエンヌ クレムソン大学
カレッジNo.1評価のRBでQBローレンスと並んでクレムソン大のオフェンスを支えてきた。ジャガースでも2人のコンビが継続することになる。スピード、アジリティ共に一流で、大学2年で、1回平均8.1ヤード、3年時も7.8ヤードを記録した。ゴール前も強くランだけで通算70TD。さらにパス捕球能力も高く、2020年は588ヤードを記録した。
■1巡24位 ピッツバーグ・スティーラーズ
RB ナジ-・ハリス アラバマ大
過去3シーズンのチームラン成績が31位、29位、32位とリーグ最低ランクだったスティーラーズ、伝統のラン攻撃を強化するために、RBハリスを指名した。大型ながらスピードもあり、昨シーズンはラン1466ヤード26TD。パスキャッチも巧み。
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今ドラフト、アラバマ大からは1巡指名が6人となった。
■1巡23位 ミネソタ・バイキングス
OL クリスチャン・ダリソウ バージニア工科大
大学1年目の最初の試合からLTとして先発出場、以来3シーズン、AACの強豪大学のパスラッシャーと対峙してきた。2020年オールACC選出。
■1巡22位 テネシー・タイタンズ
CB ケレブ・ファーリー バージニア工科大
事前の予想では、今ドラフトNo.1の評価だったCB。長身で運動能力に優れ、滑らかな動きとリカバリースピードが特徴だ。昨年のオプトアウトに加え、3月に背中を手術、プロディに参加できなかったのが指名順位が下がった理由か。
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■1巡21位 インディアナポリス・コルツ
DE クウィティー・ペイ ミシガン大
巨体と運動能力、そして過酷な運命からのし上がったハードワーキングが魅力のDE。120キロを超す身体で40ヤード4秒5台、ベンチプレス36回をプロディで記録した。リベリアの隣国、ギニアの難民キャンプで生まれ、6カ月でアメリカに移住。母の苦労に応えて全米トップ選手となった。学業も優秀で、ツイッターのアカウントには、「GPA3.5でミシガン大を卒業した」投稿がトップに固定されている。
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■1巡20位 ニューヨーク・ジャイアンツ
WR ケダリアス・トニー フロリダ大
直ぐ近くにいるディフェンダーがタックルできない忍者のような奇怪な動きを見せるレシーバー。RB、リターナーとしてもプレーできる。ラッパー「Yung Joka」としても活動する現役ミュージシャンでもある。
■1巡19位 ワシントン・フットボールチーム
LB ジェイミン・デービス ケンタッキー大
運動能力が豊富な好タックラー。2020年は10試合で102タックル3インターセプトと、アンダーニースでオフェンスを断ち切る。
ここまで、エッジラッシャーよりも、パーソンズ、コリンズ、デービスと「キークリータイプ」のサーチ&デストロイのLBが多く指名されているのが、今ドラフトの守備指名の特徴だ。
■1巡18位 マイアミ・ドルフィンズ
DE ジェイレン・フィリップス マイアミ大
地元のマイアミ大から長身のパスラッシャーを獲得した。高校時代2シーズンで31.5サックという驚異的な活躍ながら、カリフォルニア大では脳震とうに苦しみ、一度は選手生活を断念。ブランクを経てマイアミ大で復活した。
■1巡17位 ラスベガス・レイダース
OL アレックス・レザーウッド アラバマ大
全米王者アラバマ大の鉄壁のOL陣のリーダー。2020年アウトランドトロフィー受賞のパワフルブロッカー。巨体と運動能力、そしてハードワーキングが魅力だ。
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ここまでアラバマ大は、すでに5人が1巡で指名された。
■1巡16位 アリゾナ・カーディナルス
LB ゼイベン・コリンズ タルサ大学
大型でありながら運動能力が高く、なによりもプレーリードに優れる。2020年に記録した2本のピック6は、高校時代はトップ級のQBだったコリンズのプレー理解の深さを裏付ける。今ドラフトではマイカー・パーソンズに匹敵するLB。
■1巡15位 ニューイングランド・ペイトリオッツ
QB マック・ジョーンズ アラバマ大学
タゴバイロア(現ドルフィンズ)の負傷で2019年途中から先発QBとなり、20年は圧巻のパス成績で、チームを全米王者に導いた。パス成功率とレーティングでは史上最高記録を更新。いずれも、一昨年のバロウを上回った。OLが強大で、RB・WRもスター揃いのアラバマ大のため、割り引いた評価を受けるが、一部のQB経験者は「トム・ブレイディに似ている」と見ている。
場内からすごいブーイング。「アラバマ大からペイトリオッツ」と、常勝チームを辿るQBの宿命か。
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■1巡14位 ニューヨーク・ジェッツ
OL アライジャ・ベラタッカー 南カリフォルニア大学(USC)
トレードアップしてきたジェッツが、LTベラタッカーを指名。QBウィルソンを守る役目だが、当初はガードとして先発するか。
■1巡13位 ロサンゼルス・チャージャーズ
OL ラショーン・スレーター ノースウェスタン大学
昨年のルーキーQBハーバートを守るLTとして、理想的な人材を、トレードアップをせずに指名した。チャージャーズのグッドピック。LTとしては小柄だが、スピードとフットワーク、ハンドテクニックは折り紙付き。1昨年は強豪オハイオ州立大のDEチェイス・ヤング(現ワシントン)を完封して1サックも許さなかった。
■1巡12位 ダラス・カウボーイズ
LB マイカー・パーソンズ ペンシルバニア州立大
指名順位を2つトレードダウンしたカウボーイズは、LBパーソンズを指名。カレッジNo.1のLB。傑出したスピードとプレーリードで、QBであろうとRBであろうと、ボールキャリアーを逃さない。直前に名LBだったショーン・リーが引退したカウボーイズにとっては、理想的な補強となった。リーもペンシルバニア州立大で、先輩から後輩にバトンが渡る形となった。
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■1巡11位 シカゴ・ベアーズ
QB ジャスティン・フィールズ オハイオ州立大学
本来はジャイアンツの順位だが、ベアーズがトレードアップ。2017年の1巡2位指名だったQBトゥルビスキーを今オフに放出した後釜に、QBフィールズを指名した。フィールズは1昨年41TDパスに対しわずか3インターセプトというミスの少ないQB。今年1月のカレッジフットボールプレーオフでは、QBローレンスのクレムソン大に、パス6TDで圧勝した実力を持つ。
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■1巡10位 フィラデルフィア・イーグルス
WR デボンテ・スミス
カウボーイズの順位にイーグルスがトレードアップして、選んだのはWRスミス。体重80キロに満たない細身だが、卓越した技術と身体能力で、レシーブを積み重ね、29年ぶりのハイズマントロフィーに輝いた。QBウェンツを放出したイーグルスの先発QBはジェイレン・ハーツで、やはりアラバマ大出身。2018年まではスミスとはコンビだった。ここでも「ホットライン再結成」が起きた。
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■1巡9位 デンバー・ブロンコス
CB パトリック・サーティンⅡ アラバマ大学
直前のトレードで、パンサーズからQBテディ・ブリッジウォーターを獲得していたブロンコスは、QB指名に動かず。CBサーティンを指名した。サーティンⅡの父は、ドルフィンズなどで活躍した名CBサーティン。運動能力に優れ経験も豊富。インタビューでは(同地区の)QBマホームズのパスをどう防ぐかと問われ、「準備はできている」と力強く答えた。
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■1巡8位 カロライナ・パンサーズ
CB ジェイシー・ホーン サウスカロライナ大学
かなりサプライズに近いピック。ホーンはサイズと運動能力に恵まれるが、CBとしてはポジション3番目か4番目の評価だった。父のジョー・ホーンは、セインツなどで活躍したWRだった。パンサーズは2年目のマット・ルールヘッドコーチがディフェンス強化を主眼にした。QBはドラフト前にサム・ダーノルドをジェッツから獲得しており、QB指名には動かなかった。
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■1巡7位 デトロイト・ライオンズ
OL ペネイ・スウェル オレゴン大学
今オフの超大型トレードで、QBがジャレッド・ゴフに代わったライオンズは、カレッジでNo.1のレフトタックル(LT)と評価の高かったスウェルを指名した。巨体とスピード、柔軟性を併せ持ち、19歳で全米最優秀ラインマンに贈られるアウトランドトロフィーを受賞した、数年に一度の逸材と目される。
■1巡6位 マイアミ・ドルフィンズ
WR ジェイレン・ワドル アラバマ大学
ドルフィンズの指名は、直前のベンガルズととても良く似たものとなった。昨年の1巡指名QBタゴバイロアを守るために、OL指名かと予想されたが、WRワドルを指名。ワドルもアラバマ大でタゴバイロアとコンビを組んでいた。「ホットライン再結成」が今ドラフトのトレンドか。ワドルは昨年は負傷に泣いたが、高校時代に40ヤード4秒4を切っていたというスピードモンスター。
■1巡5位 シンシナティ・ベンガルズ
WRジャマール・チェイス ルイジアナ州立大学(LSU)
ベンガルスは昨年の全体1位、QBバロウを守るためにOLの指名が予想されたが、WRを選択した。チェイスはバロウと同じLSUで、1年前までホットラインを形成していた。カレッジでは全米王者を勝ち取ったコンビがシンシナティに栄冠をもたらすか。壇上のインタビューではホットライン再結成に、とてもうれしそうな様子を見せた。
■1巡4位 アトランタ・ファルコンズ
TEカイル・ピッツ フロリダ大学
QB指名には動かなかったファルコンズ。198センチ110キロで40ヤード4秒4というサイズ・スピードを兼ね備えたカレッジ最高のTEを指名した。まだ20歳。次のスーパーTEとして期待される。
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■1巡3位 サンフランシスコ・49ers
QBトレイ・ランス ノースダコタ州立大学
大方の予想とは異なり、マック・ジョーンズでも、ジャスティン・フィールズでもなかった。ただ、ランスは、かっての先発QBキャパニックに似たところもある。カレッジでは下位のFCSで、シーズンをフルに戦ったのは2019年だけという面は懸念されるが素材は一級品だ。
■1巡2位 ニューヨーク・ジェッツ
QBザック・ウィルソン ブリガムヤング大学
自宅で家族とともに指名を迎えたローレンスに対し、ウィルソンは会場で待機していた。ジェッツの帽子をかぶり、グッデールコミッショナーと壇上で握手を交わした。強肩と滑らかな動き、余裕のあるクオーターバッキングは、見るものを魅了する。
■1巡1位 ジャクソンビル・ジャガース
QBトレバー・ローレンス クレムソン大学
ロジャー・グッデールコミッショナーが壇上で高らかに名前を読み上げた。高校時代から全米で知られ、クレムソン大で1年生から先発。エリートの中のエリートQB。カレッジフットボールから転身のアーバン・マイヤーヘッドコーチがどう育成するか。
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